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このミステリーがすごい!2018年版【国内編】ベスト10作品の紹介

このミステリーがすごい!2018年版が発売されましたね。毎年、宝島社から出版されている、国内・海外の今もっとも面白いミステリーが集結した『このミス』。今回は国内編の上位10作品についてご紹介していきたいと思います。

【国内篇】このミステリーがすごい 2018年版ベスト10作品の紹介


それではこのミステリーがすごい!2018年版で発表されたベスト10作品を思う存分堪能してくださいね!表記はタイトル、あらすじ、感想の順になっています。それでは第10位から順にご紹介していきたいと思います。海外編ベスト10入り作品についてはこちら。

このミステリーがすごい!2018年版【海外編】ベスト10作品


10位 開化鐵道探偵

明治十二年晩夏。鉄道局技手見習の小野寺乙松は、局長・井上勝の命を受け、元八丁堀同心の草壁賢吾を訪れる。「京都‐大津間で鉄道を建設中だが、その逢坂山トンネルの工事現場で不審な事件が続発している。それを調査する探偵として雇いたい」という井上の依頼を伝え、面談の約束を取りつけるためだった。井上の熱意にほだされ、草壁は引き受けることに。逢坂山へ向かった小野寺たちだったが、現場に到着早々、仮開業間もない最寄り駅から京都に向かった乗客が、転落死を遂げたという報告を受ける。死者は工事関係者だった!現場では、鉄道工事関係者と、鉄道開発により失業した運送業者ら鉄道反対派との対立が深まるばかり。そんな中、更に事件が…。( 東京創元社より引用)


第10位『開化鐵道探偵』は、文明開化の時代の本格ミステリ。探偵は元八丁堀で助手は鉄道技手見習い、日本版ホームズとワトソンといった感じです。


一見難しそうな印象をうける本作ですが著者が鉄道会社勤務というだけあって分かりやすく説明してくれるので、かなり読みやすくなっています。犯人を導き出す過程がとても論理的、すごいトリックがあるわけでも、奇抜な展開があるわけでもなく派手さはないのですが、事件の規模に比して真相は闇が深い!明治の文明開化時代の時代背景を味わいながら、まったりと楽しめる作品です。

9位 盤上の向日葵

埼玉県天木山山中で発見された白骨死体。遺留品である初代菊水月作の名駒を頼りに、叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志していた新米刑事・佐野のコンビが捜査を開始した。それから四か月、二人は厳冬の山形県天童市に降り立つ。向かう先は、将棋界のみならず、日本中から注目を浴びる竜昇戦の会場だ。世紀の対局の先に待っていた、壮絶な結末とは―!?(中央公論新社より引用)


第9位『盤上の向日葵』は、骨太な将棋ミステリー。名駒という将棋の駒と共に埋められた遺体の遺棄事件を追う刑事と異例の天才棋士の幼少期、2つの時間軸を交互に描きどう交わるのかを楽しむ作品。


将棋に関してほとんど素人の私でも臨場感あふれる対局模様と、最後までどこへ行きつくのかという焦燥感で凄く楽しめましたし、題名の意味の切なさも心に残る作品でした。エンディングはまるで映画の様で味がありましたよ!

8位 かがみの孤城

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 (ポプラ社より引用)


そして8位は、辻村深月さん『かがみの孤城』些細なことで、学校での居場所を無くし、行けなくなってしまった少女こころが主人公。部屋の鏡の中に引き込まれ、出会った同じように学校に行けない少年少女たちと…あっという間に物語の世界に入り込んでしまいます。


最後の100ページくらいからは鳥肌がたちっぱなし。特別でない普通の子をこんなに素敵な物語にする力のある辻村さんはやっぱり凄い!色々な世代の人に読んでもらいたい作品です。

辻村深月さんのおすすめ作品


7位 遠縁の女

『機織る武家』血の繋がらない三人が身を寄せ合う、二十俵二人扶持の武家一家。生活のため、後妻の縫は機織りを再開する。『沼尻新田』新田開発を持ちかけられ当惑する三十二歳当主。実地検分に訪れた現地のクロマツ林で、美しい女に出会う。『遠縁の女』寛政の世、浮世離れした剣の修行に出た武家。五年ぶりに帰国した彼を待っていたのは、女の仕掛ける謎―。(文藝春秋より引用)


第7位の『遠縁の女』、基本的には江戸後期の武士の姿を描いた3つの中編からなるちょっと変わった味わいの時代小説。武家の女性とそれを取り巻く社会がテーマでどの短編にも女性に惑わされたり、やり込められたりする武士が登場します。


その当時を生きた人々の息遣いが聞こえてくるようで、別に物語に大きな起伏があるわけではないのですが、読後には余韻にひたっていること間違い無し!味わい深い作品です。

6位 狩人の悪夢

人気ホラー作家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、右手首のない女性の死体が発見されて…。臨床犯罪学者・火村と、相棒のミステリ作家・アリスが、悪夢のような事件の謎を解き明かす!(KADOKAWAより引用)


第6位『狩人の悪夢 』は、25年も続く安定の火村・アリスシリーズ長編。今回のテーマは悪夢、ベストセラー作家の近くでおこった殺人事件に火村とアリスが挑みます。手首の切り取られた遺体、夜な夜な徘徊する夢遊病者、必ず悪夢を見ると云われている部屋…怪奇ムードの漂う設定、凄惨な事件を扱っているのに読後は柔らかい気持ちになる本。


シリアスな現場でのところどころにある火村とアリスの小ボケにも癒されます。派手さや意外さは少ないですが、安心して読めるミステリー。とはいえ、最後の章で全部明らかになる爽快感は最高ですよ!

5位 いくさの底

戡定後のビルマの村に急拵えの警備隊として配属された賀川少尉一隊。しかし駐屯当日の夜、何者かの手で少尉に迷いのない一刀が振るわれる。敵性住民の存在が疑われるなか、徹底してその死は伏され、幾重にも糊塗されてゆく―。善悪の彼岸を跳び越えた殺人者の告白が読む者の心を掴んで離さない、戦争ミステリの金字塔!( KADOKAWAより引用)


第5位『いくさの底』は、日本人の少尉を殺したという衝撃の告白から幕が上がります。一体誰がなぜ…?舞台設定も何もかもが戦場でなければ成り立たない、まさに戦争ミステリー。


日本軍、村人、支那軍、華僑の間の歪んだ関係は、硬質な文章にも煽られて緊張感たっぷり。戦闘シーンはありませんが、著者がまるで戦争を体験したかのようなリアリティのある描写で表に出て来ない戦争の恐ろしさを感じ物語に引き込まれました。ミステリーとしても物語としてもベスト5入り納得の傑作です。

4位 ミステリークロック

犯人を白日のもとにさらすために――防犯探偵・榎本と犯人たちとの頭脳戦。様々な種類の時計が時を刻む晩餐会。主催者の女流作家の怪死は、「完璧な事故」で終わるはずだった。そう、居あわせた榎本径が、異議をとなえなければ……。表題作ほか、斜め上を行くトリックに彩られた4つの事件。( KADOKAWAより引用)


貴志さんの作品の中で最も本格テイストの溢れる「榎本シリーズ」。防犯コンサルタントの榎本とトンチンカンな推理で場の緊張をゆるくする女弁護士・青砥が密室殺人事件に挑みます。第4位の『ミステリークロック』は、①ゆるやかな自殺②鏡の国の殺人③ミステリークロック④コロッサスの鉤爪の「時間」が鍵となる4編からなる短編作品集。


私にはトリックが難解で読了まで時間がかかってしまいましたが、ぶっとびっぷりを楽しむのもいいと思います。本格ファンには堪らないと思いますが、あくまでも個人的に一般読者にはちょっと敷居が高いなと感じた作品。

3位 機龍警察 狼眼殺手

経産省とフォン・コーポレーションが進める日中合同プロジェクト『クイアコン』に絡む一大疑獄。特捜部は捜査一課、二課と合同で捜査に着手するが何者かによって関係者が次々と殺害されていく。謎の暗殺者に翻弄される警察庁。だが事態はさらに別の様相を呈し始める。追いつめられた沖津特捜部長の下した決断とは―生々しいまでに今という時代を反映する究極の警察小説シリーズ、激闘と悲哀の第5弾。(早川書房より引用)


第3位は、内部の駆け引きや各セクションの足の引っ張り合い、事件の処理の仕方など警察小説として読み応え抜群!『機龍警察 狼眼殺手』です。長編が3作連続ベスト10入りしている機龍警察シリーズの最新作。量子通信網の利権絡みで中国マフィアの大物が謎の凄腕暗殺者・狼眼殺手に暗殺されます。復讐に燃える中国黒社会から日本に放たれる凄腕の武闘派たち…。


シリーズ5作目ともなると、登場人物のバックグラウンドも安定していて、それぞれの人間模様がきちんと深みをもって展開されます。今作では龍機兵戦がないのには驚きましたが代わりに龍機兵の根幹的な部分に関わるお話が…。ということで第1作から順に読むのが一番!本当に面白いシリーズです。

2位 ホワイトラビット

楽しさを追求したら、こういう小説になりました。最新書き下ろし長編は、予測不能の籠城ミステリーです! 仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていく――。(新潮社より引用)


第2位は、伊坂 幸太郎さんの『ホワイトラビット』。白兎事件という籠城事件の関係者たちによる物語。多彩な登場人物、スピード感、「えっ」という場面描写の連続、冒頭から伊坂ワールド全開です。


場面展開や時系列の複雑さも愉快な語り手に導かれるまま読んでいけば違和感なく繋がります。主要人物の殆どが法を犯しているのですが徹底的に悪い人だけ滅びる爽快感も最高!ワクワク・ニマニマの止まらない傑作です。

1位 屍人荘の殺人

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。緊張と混乱の一夜が明け―。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった…!!究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?!(東京創元社より引用)


そして第1位は今村昌弘さんの『屍人荘の殺人』。この状況下での密室殺人は、まさに極限。見取り図があったり登場人物の紹介があったりと期待が膨らむ形で読み始めたら、今までにない形でクローズドサークルが成立。あれを思う存分に使うとは思いもよりませんでした。


世界が一転するような鮮やかなトリックというよりは、複数の謎を1つ1つ丁寧に解き矛盾のない答えを探すというテイストのミステリで、さり気ない伏線の張り方も巧い!流行りにも乗っかっていて緊迫感もあり、めちゃくちゃ楽しかったです!

あとがき

このミステリーがすごい!2018年版【国内編】ベスト10作品をご紹介しました。うーん、どれもベスト10入り納得の傑作揃いでしたね。ちなみに国内11位以降は、

11位 ブルーローズは眠らない
12位 地獄の犬たち
13位 あとな野となれ大和撫子
14位 タフガイ
15位 鮎川哲也探偵小説選
16位 帝都大捜査網
17位 いまさら翼といわれても
18位 マツリカ・マトリョシカ
18位 天井の葦
18位 月の満ち欠け

となっています。気になる作品が見つかれば是非読んでみて下さいね!

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