【更新情報】2017.6.25 作品追加
今回は、初心者が最初に読むべきおすすめのミステリー小説をご紹介していきます。
はじめに
色々ある小説のジャンルの中でもミステリー小説はやっぱり面白い!そんな面白さを最初の一冊で味わう事が出来ればきっとどっぷりハマるはず!名作から新作品まで、初心者向けの難しく考えることなく読むことができて、ミステリーの楽しさをしっかりと味わえるおすすめのミステリー小説を厳選して、あらすじや感想と合わせてご紹介していきたいと思います。
おすすめの初心者向けミステリー小説をご紹介!
- 掲載の順番はランキング形式ではありません、また作品は随時追加予定。
- 表記はタイトル・作者・ジャンル・あらすじ・感想の順です。
夜よ鼠たちのために/連城三紀彦
脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が、白衣を着せられ、首に針金を巻きつけられた奇妙な姿で遺体となって発見された。なぜこんな姿で殺されたのか、犯人の目的は一体何なのか…?深い情念と、超絶技巧。意外な真相が胸を打つ、サスペンス・ミステリーの傑作9編を収録。(宝島社文庫より引用)
復刊希望も頷ける、素敵すぎる短編集。最初の『二つの顔』で思いっきり引き込まれ、次の『過去からの声』に強い衝撃を受けこのトリッキーな仕掛けにどんどんハマってしまいます。謎解きに加えて文章でも魅せてくれる本当に面白い一冊!おすすめです。
カラスの親指/道尾 秀介
人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは?息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。(講談社文庫より引用)
人を騙し、そして盛大に騙されるまさにペテン師たちの壮大なスペクタクル、詐欺師達と彼らと出会った姉妹らの復讐劇のお話です。ストーリーも展開も面白くて充分楽しめるうえにこのやられた感、まさに物語全体がマジックです。そしてさわやかな感動がいつまでも残る最高の読後感が味わえます!
十角館の殺人/綾辻 行人
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。(講談社文庫より引用)
物語は、過去に殺人事件のあった無人島で過ごすミステリ研究会のメンバーと、参加せず本土に残ったメンバーたちの1日を交互に語る形式で進められます。『たった1行ですべてがひっくり返る』のキャッチコピー通り終盤にある一行にはひっくり返るほど驚かされますよ!こんなに衝撃的で読み易い作品はあまりありませんし他のミステリーも読んでみたくなる、そんな素敵な一冊です。
インシテミル/米澤 穂信
「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給十一万二千円がもらえるという破格の仕事に応募した十二人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった―。(文春文庫より引用)
高額バイトに惹かれた者同士が集められて行われる密室での殺人ミステリー、閉鎖空間での命の奪い合いです。一人二人と惨たらしい被害者が発生するなかで冷静でいられなくなっていく様子がリアルで怖いのですが、主人公の暢気さに救われます。終盤の広げに広げた風呂敷の勢いある見事な回収は爽快!
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リピート/乾 くるみ
もし、現在の記憶を持ったまま十カ月前の自分に戻れるとしたら――。この夢のような「リピート」に成功し、人生の「やり直し」に臨もうとしている、年齢も職業もバラバラの十人の男女。彼らは一人、また一人と、次々と不審な死を遂げていきます。誰が「リピーター」を殺しているのか?家族にも警察にも相談できないまま、独自の捜査を行う彼らが辿りついた衝撃の真相とは――。(文春文庫より引用)
ケン・グリムウッド氏の名作『リプレイ』と、クリスティー氏の『そして誰もいなくなった』を合わせたSFミステリー。現在の記憶を持ったまま10ヶ月前の自分に戻る体験『リピート』を実現した9人の男女のお話で、案外少ないタイムリープものなのですが、主人公の平凡さのおかげで終始妙な現実味を帯びています。後味は悪めですが先の読めないストーリーはとても面白いですよ!
13階段/高野 和明
無実の死刑囚を救い出すために与えられた期限は三ヶ月、報酬は一千万円だった。不可能とも思える仕事を引き受けた二人の男に待ち受けていた運命とは―手に汗握る展開と、胸を打つ驚愕の結末。現代社会の罪と罰を問い、圧倒的なサスペンスで読書界を震撼させた江戸川乱歩賞受賞作。(講談社文庫より引用)
死刑囚の冤罪を晴らすべく前科を背負った青年と刑務官が調査をしていくというお話。死刑制度という難しいテーマが根底にあるのですが丁寧にわかりやすく書かれていて読んでいて苦になりません。序盤から終盤へかけてのそろりそろりとした展開から、終局へ向けた畳みかける展開のスピード感の変化が絶妙、ラストはどんでん返しの連続。めちゃくちゃ面白いです!
七回死んだ男/西澤 保彦
どうしても殺人が防げない!?不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう。渕上零治郎老人―。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは。(講談社文庫より引用)
同じ日を9回繰り返す特異体質を持つ主人公久太郎が、祖父の死という未来を変えるために試行錯誤する姿を描いた作品、復活しては毎回死んでいく祖父の姿は、笑ってしまいます。びっくりする程のトリックや驚愕の結末はありませんがストーリーを追うだけで面白いですし、もちろんどんでん返しもありますよ!
占星術殺人事件/島田 荘司
密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。その後、彼の六人の娘たちが行方不明となり、一部を切り取られた惨殺遺体となって発見された。事件から四十数年、迷宮入りした猟奇殺人のトリックとは!?(講談社文庫より引用)
言わずと知れた名作、事件のトリック・真相はわかってみればとてもシンプルなのにそれらを恐ろしく複雑怪奇な物語に仕立て上げる手腕はさすがとしか言いようがありません。文章も登場人物たちの個性ある会話により飽きさせることがなく解説も丁寧なので、まさに初心者向きの素晴らしい作品だと思います。
クラインの壷/岡嶋 二人
200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。(講談社文庫より引用)
30年前に書かれた小説ですが古さを感じさせない作品、話題になっているVRを題材とした怖くて、人間の好奇心を巧みに操ったお話。それにしてもこの作品に感じる陰鬱さは時代性なのでしょうかそれとも作者の作風?読後の興奮と疲労感はまさにイヤミス。
暗いところで待ち合わせ/乙一
視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった―。(幻冬舎文庫より引用)
駅のホームで起きた殺人事件の容疑をかけられ逃走中のアキヒロが、視力と父を失い1人で生きてるミチルの家に息を潜め隠れて過ごす奇妙な同棲生活のお話。同じような悩みをもった2人の縮まっていく距離の描き方が絶妙です。もちろんミステリーとしてもしっかりと伏線回収しれくれて気持ち良い!とても面白くて心温まる小説です。
容疑者Xの献身/東野 圭吾
天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。(文春文庫より引用)
ガリレオシリーズ、言わずと知れた直木賞作品で映画も人気でしたね。天才vs天才の物語、天才によって仕掛けられた驚くべきトリックがもう一人の天才によって暴かれた時──。面白すぎます!そしてラストの回収シーンは切なくドスンと胸にささります…正に献身。
ハサミ男/殊能 将之
美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。(講談社文庫より引用)
叙述トリックで有名な作品、連続殺人犯が別の殺人犯を探るという画期的なストーリー、主人公がハサミ男で、その視点から話が繰り広げられていくので、読んでいてある種の安心感を感じます。トリックの仕掛けは素晴らしくて気をつけて読んでも多分意味がありません、きっと騙されます。
人格転移の殺人/西澤 保彦
突然の大地震で、ファーストフード店にいた6人が逃げ込んだ先は、人格を入れ替える実験施設だった。法則に沿って6人の人格が入れ替わり、脱出不能の隔絶された空間で連続殺人事件が起こる。犯人は誰の人格で、凶行の目的は何なのか?人格と論理が輪舞する奇想天外西沢マジック。(講談社文庫より引用)
誰が誰だかわからなくなる事が狙いの話だと思います…ややこしい作品(笑)ですが、良い意味での文章の軽さがうまく中和してくれているので、ぐちゃぐちゃ感を味わうのもいいと思います。そして終盤謎解きが加速するにつれ面白さも跳ね上がっていきます!陰惨な事件の後で爽やかな読後感に包まれるのも意外性大。
死神の精度/伊坂 幸太郎
CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない―そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。(文春文庫より引用)
人間の生死を判断する仕事に真面目、でもちょっとズレてる死神・千葉が6人の人間と出会う話で各話とも異なるテイストの短編集ですが少しずつ話がつながっています。ラストシーンを読み終えると死をテーマにした作品とは思えないぐらい、心が爽やかでスッキリする素敵な作品です。
姑獲鳥の夏/京極 夏彦
この世には不思議なことなど何もないのだよ―古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。(講談社文庫より引用)
京極夏彦さんのデビュー作、内容が出来すぎていて名のある作家のイタズラだと思われたらしいですよ。ミステリー性とキャラクターの魅力と怪奇性とがうまくマッチしていて面白い!作中に散りばめられた一つ一つの点が終盤で繋がって一つの推理に行き着くのですが、このテクニックがすごく巧くて物語としてもミステリとしても楽しめる小説です。
慟哭/貫井 徳郎
連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!(創元推理文庫より引用)
叙述トリックの代表作の一つ、連続幼女誘拐殺人事件を追う警察と新興宗教にはまり込む男の2つの視点で進んでいくストーリーが、どこでどう結びついて犯人逮捕につながるのか、ドキドキしながら読み進められます。そして、その2つが重なるラストはまさに『慟哭』。
火車/宮部 みゆき
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。(新潮社文庫より引用)
20年近く前の作品なので時代背景はちょっと古いのですが、本当に面白いです。クレジットカード社会の闇をミステリーによってうまく浮き彫りにしている重厚な作品。全ての辻褄が合ってスッキリする感じが素晴らしく、ラストは読者の想像力を掻き立てられますよ!
私が殺した少女/原 りょう
まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。私立探偵沢崎の事務所に電話をしてきた依頼人は、面会場所に目白の自宅を指定していた。沢崎はブルーバードを走らせ、依頼人の邸宅へ向かう。だが、そこで彼は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る…。(早川書房より引用)
傑作と評されていることに納得のハードボイルド小説、昭和の香りが漂う大都会でやられたらやり返すハードボイルドを素で行く探偵の姿や、続々登場する強面の人たち、誘拐事件の謎、ハマる人には堪らない作品だと思います!
涙香迷宮/竹本 健治
明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのはIQ208の天才囲碁棋士・牧場智久!いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作る日本語の技巧と遊戯性を極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。(講談社文庫より引用)
このミスやら本ミス大賞などの賞をかっさらっていった『涙香迷宮』、日本四大奇書の『匣の中の失楽』を書いた竹本健治さんの著書です。トリックの解明はほぼ蚊帳の外になっていますが、50首もの『いろは歌』が凄いし、いろは歌に隠された暗号も面白い、暗号ミステリ物がこんなに面白いとは!普通の人には全く想像がつかないレベルの暗号、これを黒岩涙香ではなく竹本さんご自身が考えたのですからすご過ぎです。日本語の美しさも味わうことが出来ますよ!
葉桜の季節に君を想うということ/歌野 晶午
「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。(文春文庫より引用)
世の中に横行する悪徳商法がテーマの程よくライトで読みやすい作品、冒頭の表現によるイメージの植え付けが見事などんでん返し小説、180度印象の変わる逆転の鮮やかさはトップクラスだと思います。きっと『ええええええ?!』と声が出ちゃうはず。
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大誘拐/天藤 真
三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない。雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。…時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。(創元推理文庫より引用)
誘拐ミステリの傑作、身代金100億円というビッグスケール誘拐に終始した豪快で大胆ですがほのぼのしたストーリー、スーパーおばあちゃんにお人好しな犯人達が振り回され、やがてコントロールされてしまう様は、ユーモアたっぷりで面白すぎます!
あとがき
いかがでしたか?初心者が最初に読むべきおすすめのミステリー小説をご紹介してきました。
どの作品もとても読みやすくて面白いミステリー小説ばかりとなっていますので気になる作品が見つかれば是非一度手に取ってみて下さいね。きっとミステリ作品が大好きになるはずですよ!