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【随時更新】2017年公開の映画化・実写化される小説まとめ



今回は、2017年度に映画化・実写化される小説をご紹介していきたいと思います。気になる作品があれば公開されるまでに予習として一度手に取ってみてはいかがでしょう。

2017年に映画化される原作小説

  • 表記はタイトル、公開日、映画概要、原作書評の順になっています。

どの作品も心を打つ名作ばかりです、映画では原作とは少し内容の異なる場合もありますが、原作の簡単なレビューも載せていますので参考にしてみて下さいね。それでは思う存分お楽しみ下さい!

君の膵臓をたべたい

(2017年7月28日公開)

出典:©︎君の膵臓をたべたい

高校時代のクラスメイト・山内桜良(浜辺美波)の 言葉をきっかけに母校の教師となった【僕】(小栗旬)。 彼は、教え子と話すうちに、彼女と過ごした数ヶ月を 思い出していく―。膵臓の病を患う彼女が書いていた「共病文庫」(=闘病日記)を偶然見つけたことから、 【僕】(北村匠海)と桜良は次第に一緒に過ごすことに。 だが、眩いまでに懸命に生きる彼女の日々はやがて、 終わりを告げる。桜良の死から12年。結婚を目前に控えた彼女の親友・恭子(北川景子)もまた、【僕】と同様に、桜良と過ごした日々を思い出していた―。そして、ある事をきっかけに、桜良が12年の時を超えて伝えたかった本当の想いを知る2人―。(映画『君の膵臓をたべたい』オフィシャルサイトより引用)


余命短い彼女とそれを偶然知ったクラスメイトとのお話。何度でも読み返したくなるような綺麗なラブストーリーです。友達がいない『ぼく』は、膵臓に病を抱える少女とあることがきっかけで関わるようになります。少女の強引なやり方に戸惑いつつも、『ぼく』は次第に人と触れ合う喜びを感じるようになっていきます。少女との日々は突然終わりますが、タイトルに込められた意味はとても深いものでした。読みやすく重い感じもないのに、しっかりと思いの詰まっている作品です。映画、見たいけど最初から泣いてしまいそう…。

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星砂物語

(2017年8月4日公開)

出典:©︎2017 The STAR SAND Team

1945年の沖縄。戦禍から遠く離れた小さな島の洞窟で日本人とアメリカ人、2人の脱走兵と出会った16歳の少女・洋海。戦うことが嫌になり軍から離れた敵同士の2人と洋海の3人の間に不思議な関係が築かれていく。しかし、隆康の兄・一(はじめ)が洞窟を訪れたことから、事態は大きく変わっていく。2016年の東京。大学生の志保は、卒業論文の資料として教授から一冊の日記を手渡される。その日記には1945年、戦時中に沖縄の小島で暮らす16歳の少女が見聞きした事柄が記されていた。(STAR SAND ─星砂物語─より引用)


沖縄の孤島『鳩間島』の洞窟が舞台、日米それぞれの脱走兵に16歳の少女『洋海』の3人を中心に描かれた終戦前の綺麗な物語。 敵どうし、お互いの人格を認めあいながらの平和な日々、戦争が終わればお互い友達になろうと言いながらそこまで生かせてくれなかった…。こんな静かな戦争小説があったのかと心揺さぶられます。筆者は外国人ですが、風景や日本人の心理描写が上手く描けていて、淡い絵本のような読後感でした。


幼な子われらに生まれ

(2017年8月26日公開)

出典:©︎幼な子われらに生まれ

バツイチ、再婚。一見良きパパを装いながらも、実際は妻の連れ子とうまくいかず、悶々とした日々を過ごすサラリーマン、田中信(浅野忠信)。妻・奈苗(田中麗奈)は、男性に寄り添いながら生きる専業主婦。キャリアウーマンの元妻・友佳(寺島しのぶ)との間にもうけた実の娘と3カ月に1度会うことを楽しみにしているとは言えない。実は、信と奈苗の間には、新しい生命が生まれようとしていた。血のつながらない長女はそのことでより辛辣になり、放った一言―「やっぱりこのウチ、嫌だ。本当のパパに会わせてよ」。今の家族に息苦しさを覚え始める信は、怒りと哀しみを抱えたまま半ば自暴自棄で長女を奈苗の元夫・沢田(宮藤官九郎)と会う決心をするが・・・。(「幼な子われらに生まれ」製作委員会より引用)


妻の連れ子との関係がうまくいかずストレスを抱える『私』。再婚の37歳男性が、連れ子2人と生まれてくる赤ちゃん、前妻との子供の間で揺れてる気持ちが描写されています。 とても複雑で繊細なテーマがささくれだった会話や巧みな感情表現で描かれていて、これぞ重松清ワールドという感じ。『家族』とは何なのか、深く考えさせられる一冊です。


トリガール

(2017年9月1日公開)

出典:©︎トリガール

鳥人間コンテストに挑む若者たちの青春をつづった中村航の同名小説を、「青空エール」の土屋太鳳主演で実写映画化。女子大生の鳥山ゆきなは、一目ぼれした先輩・高橋圭に誘われて人力飛行サークルに入部する。圭先輩との幸せなキャンパスライフに期待を膨らませるゆきなの前に現われたのは、サークル史上最高のパワーを持つ先輩・坂場大志だった。ヤンキー被れの坂場先輩を一瞬で大嫌いになるゆきなだったが、パイロット班は圭先輩、坂場先輩とゆきなのたった3人だけ。憧れの圭先輩と空を飛びたいというゆきなの夢は、早くも打ち砕かれてしまう。(映画『トリガール』公式より引用)


鳥人間コンテストに向けて奮闘する女の子のキラキラと眩しい青春小説。最初の動機が不純ながらもどんどんのめり込んでいく主人公・ゆきな。きっかけはどうであれ、パイロットとして懸命に努力するゆきなや、一年間寝る間も惜しんで作っていくパーツ毎の製作陣の模様や、人間関係が爽やかに描かれています。湖畔に吹き渡る爽やかな風が心にも吹きぬけていったような素敵な読後感ですよ。


二度目の夏、二度と会えない君

(2017年9月1日公開)

出典:©︎二度目の夏、二度と会えない君

バンド仲間の森山燐に思いを寄せていた高校3年生の篠原智は、不治の病を患う燐が他界する直前に思いを伝えるが、激しく拒絶されてしまう。燐がこの世を去ってから数カ月、智は「この世には伝えてはいけない事がある」という罪悪感で立ち直れずにいた。そんな智の身にタイムリープが起こり、燐と初めて出会った半年前のある夏の日に戻る。あの時と同じように燐のバンドに参加した智は、燐が最後まで笑顔のままでいられるよう、自分の気持ちを押し殺すことを心に決め、文化祭に向けてバンドのメンバーとして再び燐との夏を過ごすが……。(『二度目の夏、二度と会えない君』公式より引用)


病気で亡くなるヒロインを傷つけてしまった最初の世界。好きだって言ってしまったことを悔やんで自分を押し殺して過ごす二度目の世界。辛さを堪えながら燐からの好意はありえないと徹底するあまりに、二人の気持ちがすれ違うのがもどかしい…。タイムリープするというSF要素もありますが爽やかだったり切なかったりする青春ものが好きな人にはおすすめ。

散歩する侵略者

(2017年9月9日公開)

出典:©︎散歩する侵略者

数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海。夫・真治は会社を辞め、毎日散歩に出かけていく。一体何をしているのか…?その頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。ジャーナリストの桜井は取材中、天野という謎の若者に出会い、二人は事件の鍵を握る女子高校生・立花あきらの行方を探し始める。やがて町は静かに不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向へと動く。「地球を侵略しに来た」真治から衝撃の告白を受ける鳴海。当たり前の日常は、ある日突然終わりを告げる。(映画『散歩する侵略者』公式より引用)


人から『概念』を奪う侵略者が街に現れるという意表を突く設定。彼らは人間の身体を乗っ取り、何食わぬ顔をして街を散歩しながら、概念を集めていきます。『家族』『禁止』『愛』……。淡々としていてちょっと残酷で、静かに不思議なお話、日常と非日常の境界が溶け合うような物語に引き込まれます。


ナミヤ雑貨店の奇蹟

(2017年9月23日公開)

出典:©︎ナミヤ雑貨店の奇蹟

2012年。幼馴染の敦也、翔太、幸平の3人は、ある日夜を明かすため1軒の廃屋に忍び込む。そこはかつて悩み相談を受けることで知られていた「ナミヤ雑貨店」だった。今はもう廃業しており、自分たち以外誰もいないはずの店内に、突然シャッターの郵便口から手紙が落ちてくる。なんとその手紙は32年前に書かれた悩み相談だった。敦也たちは戸惑いながらも、当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書く――。次第に明らかになっていく雑貨店の秘密と、相談者たちと敦也たちの共通点。彼らがこの雑貨店に忍び込んだのは偶然ではなかったのか――?そして、敦也たちがある人物からの"最後の手紙"を受け取ったとき、彼らの運命は一変する。隠された繋がりの謎が明らかになる時、思いもよらない感動と衝撃のラストが待ち受ける。(映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』公式より引用)


東野圭吾さんの描くSF風味の心温まるクロニクル。悪事を働いた若者3人組が逃げ込んだ古い家、そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店。ある晩、空家になったナミヤ雑貨店に次から次へと悩み相談の手紙が届きます。その店は、1日だけ過去と繋がる不思議な雑貨店…。相談者達や色々なストーリーが次々とつながっていくとっても素敵でほんわかするお話。温かく優しい気持ちになれる1冊です。


ユリゴコロ

(2017年9月23日公開)

出典:©︎ユリゴコロ

亮介は余命わずかな父の書斎で1冊のノートを見つける。「ユリゴコロ」と書かれたそのノートには、ある殺人者の記憶が綴られていた。その内容が事実か創作か、そして自分の家族とどんな関係があるのか、亮介は様々な疑念を抱きながらも強烈にそのノートに惹きつけられていく。謎に包まれた殺人者・美紗子役を吉高、彼女と運命的な出会いをする洋介役を松山ケンイチ、ノートを発見しその秘密に迫る亮介役を松坂桃李がそれぞれ演じる。(映画『ユリゴコロ』オフィシャルサイトより引用)


ホラーサスペンスなのですが、愛の話でもある不思議な物語。人の死が心の拠り所になっていく女性の殺人の記録を偶然見てしまった青年が、その手記に書かれている現実と向き合っていく事になるというお話。怪奇的な内容で話がどういう方向にいくのかと思いましたが、なんだかラストは穏やか。非人道的であるのは理解しつつも家族の愛情の深さに涙!

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ナラタージュ

(2017年10月7日公開)

出典:©︎ナラタージュ

高校教師と生徒として出会った二人が、時が経ち再会した後、決して許されはしない、けれど、一生に一度しか巡り会えない究極の恋に落ちる―。恋愛の痛みと、それに勝る幸せを余すことなく描く大人のための恋愛映画が。自分を救ってくれた教師・葉山(松本)に、どうしようもない運命に抗いながら、不器用でも止められない想いを貫こうとする泉(有村)の姿は、誰もが心に秘める忘れられない純愛を呼び覚まします。(映画『ナラタージュ』公式より引用)


天真爛漫な女の子と、それに恋した先輩のお話。宙に浮く自称天狗の青年、街中を走る巨大な三階建ての電車、身の丈程ある鯉のぬいぐるみを縄で背負う少女や、くしゃみをすると竜巻を起こす老人…。ギリギリ頭の中で画にできるとても不思議な世界、読むのがワクワクするファンタジーな一冊です。エンディングもかわいらしいですよ!

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月と雷

(2017年10月7日公開)

出典:©︎月と雷

あたしはこれから普通の家庭を築き、まっとうな生活を重ねていく。結婚を控え、そう考えていた泰子の前に現れた、かつて半年間だけ一緒に暮らした父の愛人の息子、智。20年前、愛人・直子と智が転がり込んできたことで、泰子の家族は壊れたはずだった。根無し草のまま大人になった智は、ふたたび泰子の人生を無邪気にかき回し始める。「邪魔しないであたしの人生」、そう普通の幸せを願っているはずなのに……。泰子は智とともに自分の母親、異父妹、そして智の母・直子を訪ねて行くことで、平板だった自分の人生が立ちどころに変わって行くのに気づき始める。(映画『月と雷』公式より引用)


心がざわつく家族小説。母親とともに根無し草のように生きてきた主人公が過ごす日常を描いた作品。登場する人物がどこかしら捻れていて、これを読んでいると、実は普通の人なんていないのかもしれないとさえ思ってしまいます。決してワクワクする内容ではなく、むしろ多少イライラしながらも楽しく読めるといった感じの作品です。


彼女がその名を知らない鳥たち

(2017年10月28日公開)

出典:©︎彼女がその名を知らない鳥たち

下品で貧相、金も地位もない15歳上の男・陣治と暮らす十和子は、8年前に別れた黒崎のことを忘れられずにいた。陣治に激しい嫌悪の念を抱きながらも、陣治の稼ぎのみで働きもせずに毎日を送っていた十和子は、黒崎に似た面影を持つ妻子ある水島と関係を持つ。ある日、十和子は家に訪ねてきた刑事から、黒崎が行方不明であることを告げられる。「十和子が幸せならそれでいい」と、日に何度も十和子に電話をかけ、さらには彼女を尾行するなど、異様なまでの執着を見せる陣治。黒崎の失踪に陣治が関係しているのではないかとの疑いを持った十和子は、その危険が水島にまでおよぶのではとないかと戦慄する。(映画『彼女がその名を知らない鳥たち』公式より引用)


こちらも沼田まほかるさんの作品。8年前に自分を捨てた男、黒崎を忘れられずにいる主人公の十和子。今、一緒に暮らす15歳年上の陣治は、不器用で不潔でだらしないのですが、十和子がどんなに怒鳴っても、いつも優しく接してくれる。誰も幸せになれない…憂鬱な感じが終始漂う作品です。出てくる人のほとんどがダメ人間で不快に描写されているのにどんどん読めるすごい筆力はお見事です!


ポンチョに夜明けの風はらませて

(2017年10月28日公開)

出典:©︎ポンチョに夜明けの風はらませて

男子高校生の又八、ジン、ジャンボの3人組は、将来に希望を持てないまま平凡な日々を過ごす一方で、「変わりたい」という漠然とした願望を抱えていた。仲間の中田と企てた卒業式乗っ取りライブを目前にしたある日、3人はジャンボの父親の車に乗って高校最後の旅に出る。一癖も二癖もある人々との出会いを通して少しずつ成長しながら、何かに導かれるようにそれぞれの生き方を発見していく3人だったが……。(映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』公式より引用)


卒業式が明後日に迫った今、何か大きなことをしたいっていう高校生が車で旅に出るっていうお話。卒業式までには帰るから!と始まった無茶苦茶な旅、途中でどんどん人が増え、どんどんおかしな方向へ。くだらなくって馬鹿馬鹿しくて、羨ましい!今すぐにでも旅に出たくなるような、心躍らせてくれる一冊です。


氷菓

(2017年11月3日公開)

出典:©︎氷菓

「やらなくてもいいことなら、やらない」を信条とする折木奉太郎は、入学したばかりの神山高校でも平穏な日々を望んでいたが、姉の命令で廃部寸前の古典部に入るハメに。ある事情から古典部に入部してきた美少女・千反田えると出会った奉太郎は、好奇心のかたまりのような彼女の行動に巻き込まれ、学園内で起こる不思議な出来事を持ち前の推理力で次々と解き明かしていく。そんなある日、えるは奉太郎に「10年前に失踪した伯父が残した言葉を思い出させてほしい」という奇妙な依頼をする。(映画『氷菓』公式より引用)


自ら省エネと称するほど、物事に積極的には関わろうとしない奉太郎が、入る気のなかった古典部に入部して、日常に起こる様々な謎を解き明かしていく物語。ミステリーとは言いつつもそこまで奇抜な謎は出てきませんが、キャラクターの魅力でドンドン読み進められます。

米澤穂信さんのおすすめ作品



火花

(2017年11月23日公開)

出典:©︎火花

お笑いコンビ・スパークスを結成するも、売れない芸人として下積み生活を送る徳永。そんな時、営業で訪れた熱海の花火大会で、先輩芸人で、お笑いコンビ・あほんだらとしても活躍する神谷と出会う。その後、徳永は「俺(神谷)の伝記を書く」という条件つきで、天才肌としても知られる神谷の弟子入りを果たすことになります。人間味があるものの人付き合いの悪い神谷は、徳永を弟子につけたことで次第に心を開くようになり、芸を伝授するようになっていきます。(映画『火花』公式より引用)


駆け出しの新人漫才師スパーク『徳永』の成長と挫折の物語、それと並行して自分の笑いを追求し続ける先輩芸人『神谷』の不器用な生き様が描かれた、喜怒哀楽のぜんぶ詰まった作品。芸人という職業の切なさを感じて胸が苦しくなったり、2人のやりとりにくすっと笑ってしまったり、すっかり物語の中に入り込んでしまいました!


あとがき

2017年映画化・実写化される予定の小説をご紹介してきました。どれもとても素敵な作品ばかりですね!映画化されてどの様になるのかとても楽しみです。気になる作品が見つかれば是非一度手に取ってみて下さいね。