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どんでん返し!衝撃がクセになるおすすめの叙述トリックミステリ 10選!


今回は、騙された時の衝撃がやみつきになる、おすすめの『叙述トリックミステリ』をご紹介していきたいと思います。

叙述トリックとは

叙述トリックとは文章中の仕掛けで読者を騙すトリックの事。私達読者の先入観を利用して、異なった解釈を与えることで、最後の最後で衝撃を与えてくれるテクニックです。所謂"どんでん返し"この衝撃が凄くクセになるんです。有名どころでは綾辻行人さんの『十角館の殺人』や殊能将之さんの『ハサミ男 』、島田荘司さんの『占星術殺人事件』などはよく耳にする作品だと思います。


それから『こちらで紹介している作品は叙述トリックを使っています』と言っている時点で、ある意味ネタバレとも言えそうですが、その上で尚、騙されてしまう本当に面白い良作ばかりですので心配いりません!気になる作品があれば是非参考にしてみて下さい。

おすすめの面白すぎる叙述トリックミステリ小説

表記はタイトル、筆者、あらすじ、書評の順になっています。本当に素敵で面白い作品ばかり!それではおすすめの叙述トリックミステリ小説で思い切り騙されて下さい!

異人たちの館/折原 一

8歳で児童文学賞を受賞し天才少年と呼ばれた小松原淳は、なぜ富士の樹海に消えたのか?母親の依頼で淳の伝記を書くことになった作家志望の島崎は、膨大な資料を読み、関係者に取材して淳の人生に迫るが、やがて不気味な“異人”の影が彼の周辺に出没するようになり…。( 文春文庫 より引用)


24年前に発表された作品ですが、今読んでも全然古びていません。一人の人間の伝記を書くために取材をしていく、というこれだけ聞くと地味なのに、先の読めない展開にぐいぐいと引き込まれる作品。限られた登場人物だけで、ここまで先が気になって読み進められる小説は中々ないと思います。


そして、私自身この作品を読んでいる間に『え~!』と何度叫んだことか…。どんでん返しが何度もあるので、600頁強もある長編ですが全く飽きることはありませんでした。多くの実在する事件をもとに様々な事件が描かれ、これでもかってぐらい読者を騙し、攻めて攻めて攻めまくる手法はさすがとしか言いようがありません。著者自らが自信を持ってオススメしてくれている良作です!

ボランティアバスで行こう!/友井 羊

東北で大地震が発生した。多くの支援活動が行われる中、大学生の和磨は、バスをチャーターして援助活動に参加する「ボランティアバス」を主催することに。行方不明になった父親の痕跡を探す姉弟に出会う女子高校生の紗月。あることから逃亡するため、無理やりバスに乗り込んだ陣内などさまざまな人がそれぞれの思惑を抱えてバスに乗り合わせるが。驚きのラストが感動に変わる!(宝島社文庫より引用)


気持ちは持っていても、なかなか1歩が踏み出せない災害復興ボランティア。東日本大震災で被害を受けた集落の復興支援を行う『ボランティアバス』に乗った人達がそれぞれの視点から語る優しいミステリーの連作短編集。ボランティアに参加する方、受ける方の思いが静かにスーッと心に入ってくる1冊です。


人が人を助ける理由を主軸に、多面的にボランティア活動を描き、魅力的な登場人物をつくり、そこにミステリとしての楽しさを盛り込んだ素敵な作品。そして、読み終えた時の大どんでん返しは驚き!最終章での驚きと感動は本当に気持ちいいですよ!!

贖罪の奏鳴曲/中山 七里

弁護士・御子柴礼司は、ある晩、記者の死体を遺棄した。死体を調べた警察は、御子柴に辿りつき事情を聴く。だが、彼には死亡推定時刻は法廷にいたという「鉄壁のアリバイ」があった―。(講談社文庫より引用)


御子柴弁護士シリーズの1作目。過去に世間を震撼させた事件を犯した少年が、弁護士となったお話。御子柴弁護士は、依頼人から高額報酬を受け取る一方で、カネにならない国選弁護人も引き受けます。


物語は、御子柴弁護士が死体を遺棄する場面から始まります。悪徳弁護士かと思いきや、法廷で検事や証人を追い詰めじわじわと真相を暴いていく様がかっこいい!過去は過去で、暗いモノを背負ってはいますが、贖罪の人生を歩んでる御子柴。誰もが見逃しがちな真犯人に気づき、どんでん返しで暴いてくれます。

アルバトロスは羽ばたかない/七河 迦南

児童養護施設・七海学園に勤めて三年目の保育士・北沢春菜は、多忙な仕事に追われながらも、学園の日常に起きる不可思議な事件の解明に励んでいる。そんな慌ただしい日々に、学園の少年少女が通う高校の文化祭の日に起きた、校舎屋上からの転落事件が影を落とす。警察の見解通り、これは単なる「不慮の事故」なのか?だが、この件に先立つ春から晩秋にかけて春菜が奔走した、学園の子どもたちに関わる四つの事件に、意外な真相に繋がる重要な手掛かりが隠されていた。 (東京創元社より引用)


七海学園の子どもたちが通う高校で起こった転落事故を描いた『冬の章』を軸に、春から秋までの章が挿入される形をとった連作短篇集。本作は、単体でも充分おもしろいのですが『七つの海を照らす星』の続編となっていますので、できれば順番に続けて読むと面白ろさがグッと増します。


児童養護施設で起きる日常の謎を解明しながら働く保育士の春菜。ある日、学園の子が通う高校で、屋上からの転落事故が起きます…何度も何度も騙されながら謎解きを繰り返して、最後に驚愕。終盤に明かされる転落事故の真相は、衝撃を通り越して読者に痛みを伴います。噂に違わぬ傑作ですのでミステリーファンなら絶対に読んでおきたいおすすめの一冊です。

武家屋敷の殺人/小島 正樹

探偵役は、若き弁護士とリバーカヤック仲間のフリーター。孤児院育ちの美女が生家探しを弁護士に依頼に来て、手がかりは捨てられたときに残された日記くらいだと言う。具体的な地名はいっさい出てこない代わりに、20年前の殺人と蘇るミイラの謎が書かれた日記をもとに調べ当てると、思わぬ新たな殺人が起こる。最後のどんでん返しまで、目が離せないジェットコースター新感覚ミステリー。(講談社ノベルスより引用)


孤児院育ちの女性が、自分の生家を探してほしいと弁護士の川路の元に訪れます。手掛かりは捨てられた当時、赤ん坊の自分と一緒に置いてあった叔父の日記。ただその日記には普通では考えられない奇妙なことが綴られていて…魅力的な謎が次々とだされ、それが解かれたらまた違う謎が…という愛に溢れた作品。


出だしからものすごく引き込まれますし、トリックも満載!テンポも良くて面白いのですが、一つの話の中にちょっと盛り込み過ぎな感はあります。そんな謎の数々を、最後に全てまとめて解決するのではなく、何度もどんでん返しを踏まえて解決していく展開がお見事な一冊。

Another(アナザー)/綾辻 行人

夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい何が起きているのか!?いまだかつてない恐怖と謎が読者を魅了する。(角川文庫より引用)


主人公が転校した先のクラスに漂う、奇妙な違和感。『いないもの』とされる謎めいた同級生のメイと、同級生たちと周辺の人々に起こる不幸…。呪い?最後の章でようやく関係者のみに語り継がれてきた三年三組の秘密が知らされます…。この負の連鎖を止める事は出来るのか?転校生である主人公の視点で語られるお話。


とにかく不気味で、違和感だらけなのに何が起こっているのかが分からない…。全体的にジメジメとしたホラー作品で本格ミステリーではないのですが、そこはさすが新本格物の名人!ホラーの中にも伏線の張り方から叙述トリックまでしっかりと健在。アニメ版もおすすめです!

殺人鬼フジコの衝動/真梨 幸子

一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして新たな人生を歩み始めた十一歳の少女。だが彼女の人生はいつしか狂い始めた。「人生は、薔薇色のお菓子のよう」。呟きながら、またひとり彼女は殺す。何がいたいけな少女を伝説の殺人鬼にしてしまったのか?精緻に織り上げられた謎のタペストリ。最後の一行を読んだ時、あなたは著者が仕掛けたたくらみに戦慄し、その哀しみに慟哭する…。(徳間文庫より引用)


フジコもお母さんも怖い、でも一番コワイのは……もうびっくり。イヤミスの中でも代表的な作品でイヤミスの名に違わず全編に渡り救いがない物語。貧困や虐待の連鎖、学校でのいじめ、フジコが感じる劣等感がすごくリアルに描かれていて読んでいてとてもつらい。


両親と妹を何者かに殺された主人公フジコ。小学生から成人になるまでに幾たびと沸き起こる殺人の衝動。どこまでも続く残虐な負のスパイラル…。物凄く辛い内容とは裏腹に、文章は凄く読みやすくてアッという間に惹き込まれてしまいますよ。そして、後書きで鳥肌!

真梨幸子さんのおすすめ作品10選


儚い羊たちの祝宴/米澤 穂信

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。(新潮文庫より引用)


夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル『バベルの会』。格式高く異様な家柄での事件を怪談話のように書き上げた連作短編集です。こちらの作品、どの短編にも最後の一言に背筋が凍るような恐怖が隠されています。


独特な少し古典調な語りで恐さを誘うミステリー調ホラー。内容はかなりダークですが、登場人物はみんな浮世離れしているので気が重くなるようなことはありません。清らかな文章の中に潜む残酷な真実…痺れます。5つの短編集なんですが、どの話が一番と決めきれないほど良作揃い!個人的には『玉野五十鈴の誉れ』のオチが秀逸だと思いました。

米澤穂信さんのおすすめ作品10選


チェーン・ポイズン/本多 孝好

誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?1年頑張ったご褒美を差し上げます」それは決して悪い取り引きではないように思われた―。新境地を開いた驚愕のミステリー。(講談社文庫より引用)

自殺志願の30代OLの前に「本当に死ぬ気なら一年待ちませんか?」と命の取引がもたらされます。一年後に訪れる眠るような死を希望にして日々を生きる女性と、不可解な共通点のある三人の服毒自殺者の謎を追う雑誌記者。


最後の一文がたまらなくいい!死へと近づいていくので全体は重苦しく鬱々した雰囲気ですが、設定が重苦しい分、爽やかな読後感が味わえます。このギャップがとても印象的な作品。叙述ミステリーがメインではなく『生きること』をテーマにした一冊としても素敵な作品。

名前探しの放課後/辻村 深月

依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ一つの記憶。いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」二人はその「誰か」を探し始める。(講談社文庫より引用)


突然3ヶ月前にタイムリープした依田いつか。 元の記憶を辿るとその間に同級生の自殺があった事実を思い出すのですが、肝心な名前や特徴の記憶だけが欠落していて自殺者の特定ができません。 自殺を阻止するため同級生あすな達と共に容疑者を探し始めます…。 一人の男子のタイムスリップから始まり、一人の生徒の自殺をチームで阻止するという設定。それぞれの場面で各自が熱く青春をしていて、心に響くものがある作品。


いろんな展開を想像しながら読みましたが、ラストは予想の上の上をいってました。タイムスリップの謎まできちんと回収されますよ!そして、あの物語と繋がりがあったり、あの人があの物語のあの人だったり…これぞ辻村ワールド!この作品が気になった方は、読む前に是非『ぼくのメジャースプーン』を読んでおいて下さいね。

辻村 深月さんのおすすめ作品6選


あとがき

どんでん返し!衝撃がクセになる叙述トリックミステリ小説をご紹介してきました。どれも本当に面白くて気持ちよく騙される良作ばかり!読後感も最高の作品ばかりです。いろんな展開を想像しながらお楽しみ下さいね。気になる作品が見つかれば是非一度手に取ってみて下さいね。最後まで読んで頂いてありがとうございました!

おすすめのミステリー小説 50選!