いろはにほへど

朝起きて本を読んで寝てます。

読みやすくて面白い歴史・時代小説 おすすめの10冊!

小説のジャンルの中でも人気の高い『時代小説』ですが、少し難しそうでとっつきにくいという方も多いと思います。そんなあなた!損していますよー!いざ読んでみると想像以上に面白いんです!今回は歴史・時代小説の魅力を充分味わってもらう為、読みやすくて面白い作品ばかりを、新作・名作・人気作の中からよりすぐってご紹介していきたいと思います。どれもサクサク読めてどっぷりとはまれる作品ばかりですので是非参考にしてみて下さいね。

読みやすくて面白い時代小説

超おすすめの時代小説ばかりですので、是非お気に入りの作品を見つけて下さいね。

関ヶ原/司馬 遼太郎


出典:©︎関ヶ原

東西両軍の兵力じつに十数万、日本国内における古今最大の戦闘となったこの天下分け目の決戦の起因から終結までを克明に描きながら、己れとその一族の生き方を求めて苦闘した著名な戦国諸雄の人間像を浮彫りにする壮大な歴史絵巻。秀吉の死によって傾きはじめた豊臣政権を簒奪するために家康はいかなる謀略をめぐらし、豊家安泰を守ろうとする石田三成はいかに戦ったのか。(新潮文庫より引用)


人間模様を描いた司馬文学の真骨頂と言われる作品。映画化もされるということで話題になっていますね。戦国大名の姿が目に浮かぶようなわかりやすくて活き活きとした描写、そしてキャラクターが独り立ちして、グングン引っ張る面白さ。時代小説をほとんど読んだことがない方にも、とても読みやすい作品だと思います。


上・中・下巻からなる壮大な物語の本作では、歴史上最も有名な合戦の中で各武将の頭脳戦が繰り広げられます。いつにもまして極悪な徳川家康、どうすれば家康の野望を止められるのかついつい一緒に考えてしまいますよ。この面白さ、もちろんおすすめです。


漂流/吉村 昭


出典:©︎漂流

江戸・天明年間、シケに遭って黒潮に乗ってしまった男たちは、不気味な沈黙をたもつ絶海の火山島に漂着した。水も湧かず、生活の手段とてない無人の島で、仲間の男たちは次次と倒れて行ったが、土佐の船乗り長平はただひとり生き残って、12年に及ぶ苦闘の末、ついに生還する。その生存の秘密と、壮絶な生きざまを巨細に描いて圧倒的感動を呼ぶ。(新潮文庫より引用)


鳥島に流された江戸時代の土佐の船乗りが、12年の歳月をかけて島から脱出するまでを実話を元に書いた作品。スピッツの草野マサムネさんも絶賛していました。


島は岩だらけ、植物は育たず水もないあほうどりの群棲地。仲間たちは次々死に、水主長平はただ一人となり生存をかけた壮絶な戦いが始まります。淡々としてシンプルな文体にかえって恐ろしさがあり、過酷さがひしひしと伝わってきました。圧倒的な臨場感で情景が迫ってくるおすすめの一冊です。


蜩ノ記/葉室 麟


出典:©︎蜩ノ記

豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は、城内で刃傷沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉で、家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。庄三郎には編纂補助と監視、七年前の事件の真相探求の命が課される。だが、向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉さに触れ、その無実を信じるようになり…。命を区切られた男の気高く凄絶な覚悟を穏やかな山間の風景の中に謳い上げる、感涙の時代小説。(祥伝社文庫より引用)


第146回直木賞受賞作。江戸時代の大分の藩、切腹を命じられた日を迎えるまで丁寧に日々をすごす秋谷と家族。実直なまでの武士の心や生きざまが描かれ、心に残るおすすめの小説。


こちらの作品はなんといっても描写が綺麗。ひぐらしが鳴き始める初夏の日に、命の終わりは知りながらも凛と生きる武士の姿、竹林の静けさ、山々の情景がとても美しく描かれています。友情や愛、人生などたくさんのテーマが一つに絡み合って胸を打つ感動的な作品です。


黄砂の籠城/松岡 圭祐


出典:©︎黄砂の籠城

一九〇〇年春、砂塵舞う北京では外国人排斥を叫ぶ武装集団・義和団が勢力を増していた。暴徒化して教会を焼き討ち、外国公使館区域を包囲する義和団。足並み揃わぬ列強十一ヵ国を先導したのは、新任の駐在武官・柴五郎率いる日本だった。日本人の叡智と勇気を初めて世界が認めた、壮絶な闘いが今よみがえる。(講談社文庫より引用)


1900年の北京。義和団に囲まれた列強を日本がとりまとめて立ち向かったというお話。ミステリー作家が史実を元に書いた初めての歴史小説ということでミステリー要素もあります。


教科書で見たこともあるような気もする義和団の乱、北京でこんな籠城状態になっていたとを本作で初めて知りました。迫る義和団の緊張感が伝わってきてとても読み応えのある作品です。そして、全体を理解し調和しようとする日本人が世界で理解されにくいという状況はこの時代からあったということが良く分かります。


あきない世傳 金と銀/髙田 郁


出典:©︎あきない世傳 金と銀

物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子として生を受けた幸。父から「商は詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる。慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。果たして、商いは詐なのか。あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か―(角川春樹事務所より引用)


大ベストセラー作『みをつくし料理帖』の著者が描く新シリーズで、今度は大阪商人のお話。 享保17年、学者の家に生まれながら飢饉と病気で兄、父を相次いで亡くしたために、父が最も嫌った商人の家に奉公にでることになった9歳の女の子の物語。


そんな幼い彼女の奉公先は始終ゴタゴタ続き。次々と襲いかかる試練の数々と、それを懸命に乗り越えていこうとする姿は心をうつものがあります。みをつくしに続いて、また追いかけたい女子に出逢ってしまいました。


影法師/百田 尚樹


出典:©︎影法師

頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は竹馬の友、彦四郎の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。(講談社文庫より引用)


百田尚樹さんの書く時代小説。やっぱり面白いエンタメ小説に仕上がっていてさすがだなと感心の一冊。江戸時代の武士の生き様を描いたおすすめの作品。


真っ直ぐな武士の立身出世物語なのですが、その人生の岐路で迷わずに上り詰めたのは彼だけの力ではありませんでした。それは堕ちたようにみえたかつての友の何の見返りも求めない影の献身。とても読みやすい涙の感動作です。


まるまるの毬/西條 奈加


出典:©︎まるまるの毬

親子三代で菓子を商う「南星屋」は、売り切れご免の繁盛店。武家の身分を捨てて職人となった治兵衛を主に、出戻り娘のお永とひと粒種の看板娘、お君が切り盛りするこの店には、他人に言えぬ秘密があった。愛嬌があふれ、揺るぎない人の心の温かさを描いた、読み味絶品の時代小説。(講談社文庫より引用)


娘お永と孫娘お君の三人で店を切り盛りする江戸時代の菓子職人のお話。章ごとにほっこりとした話と、食べたくなるような御菓子が出てくる時代小説です。


ぎりぎりの儲けで、日替わりで様々な菓子を庶民価格で提供している和菓子屋が舞台の人情物語。和菓子がとても美味しそうで興味深く読んでいたら思わぬ展開に…面白いですよ。お茶とお菓子を用意して、ゆっくり読みましょう。


野火/大岡 昇平


出典:©︎野火

敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける……。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的名作。(新潮文庫より引用)


結核ゆえに部隊から見放された兵隊が野戦病院からも見放され彷徨する。孤独や飢えに苛まれ、兵隊の心には狂気が宿っていきます。それをかろうじて食い止めたのは信仰心だった…。


『人は要するに死ぬ理由がないから、生きているにすぎない』この話に一切の救いはありません。 戦闘場面ではないからこその戦争の深淵な悲惨さや人の残酷さ、人の尊厳などが思い知らされます。なかなかヘビーな内容ですが、年に1度くらいこんな気持ちになるのも悪くないと思います。戦争文学の傑作ですね。


荒神/宮部 みゆき


出典:©︎荒神

時は元禄、東北の山間の仁谷村が一夜にして壊滅状態となる。隣り合う二藩の因縁、奇異な風土病を巡る騒動…不穏さをはらむこの土地に“怪物”は現れた。仁谷擁する香山藩では病みついた小姓・直弥や少年・蓑吉らが、香山と反目する永津野藩では専横な藩主側近の弾正や心優しきその妹・朱音らが山での凶事に巻き込まれていく。恐るべき怪物の正体とは?交錯する北の人々はそれぞれの力を結集し、“災い”に立ち向かう!(新潮文庫より引用)


五代将軍綱吉時代の東北小藩を舞台にした作品。シリアスな場面とくすっと笑える場面がバランス良く配置されていて、登場人物も大半がいい人なのでサクサクと読めます。


内容は、怪物が人間を襲うスペクタクルに東北の敵対する小さな2つの藩の人間ドラマを絡めた感じ。・・え?怪物?実は江戸時代版シン・ゴジラとの呼び声も高い、歴史小説にファンタジーを足したような作品なのですが、読み始めたらやめられません。宮部みゆきさんらしく読みやすくわかりやすい文章でものすごく具体的に怪物の姿が思い浮かびますよ。


火怨/高橋 克彦


出典:©︎火怨

辺境と蔑まれ、それゆえに朝廷の興味から遠ざけられ、平和に暮らしていた陸奥の民。八世紀、黄金を求めて支配せんとする朝廷の大軍に、蝦夷の若きリーダー・阿弓流為は遊撃戦を開始した。北の将たちの熱い思いと民の希望を担って。古代東北の英雄の生涯を空前のスケールで描く、吉川英治文学賞受賞の傑作。(講談社文庫より引用)


岩手出身の作家が描く、平安遷都の少し前の東北を舞台に、蝦夷が朝廷軍から楽土を守る物語。蝦夷が一丸となって無謀と思われる兵力差を覆し、朝廷軍を蹴散らしていく様は爽快。


いくつもの部族を束ねたのは、まだ若いアテルイ(阿弖流為)。どこまでが史実で、そこまでがフィクションなのかはまったくわかりませんがアテルイは東北では有名な英雄なのだそうです。上・下巻からなる本作、ダイナミックな物語で面白いですよ。


上杉鷹山/童門 冬二


出典:©︎上杉鷹山

灰の国はいかにして甦ったか。九州高鍋の小藩から養子に入り、十七歳で名門上杉家の藩主の座についた治憲は、自滅か藩政返上かの瀬戸際にある米沢十五万石を再建すべく、冷メシ派を登用し改革に乗り出す。藩主や藩のために領民がいるのではない、との考えのもとに人びとの心に希望の火種をうえつけてゆく…。(人物文庫より引用)


多大な財政赤字に陥った米沢藩の再建に挑む、17歳の青年藩主のお話。 これを読めばジョン・F・ケネディが尊敬する日本人として上杉鷹山を挙げた理由が納得できます。


若いながらも改革に着手せざるをえない上杉鷹山。改革反対派の嫌がらせは読んでいて腹も立ちましたが、それでも領民を守るため『種火』を広げ努力します。藩士たちへの素直な詫び、激励、そして改革の火に油を注ぐための献杯…上に立つ者としての大切な心構え・人が持つ心情が上手く描かれ読んでいて楽しかったです。上・下巻からなる伝記であり歴史小説でありビジネス書でもあるちょっと凄い一冊。おすすめです。


家康、江戸を建てる/門井 慶喜


出典:©︎家康、江戸を建てる

「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた…。ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生!(祥伝社より引用)


秀吉の策略で江戸に国替えさせられた家康によって未開の地だった江戸が、現在の東京へとつながっていく基盤を作る様子が描かれた作品。奮闘する家臣や技術者達にスポットを当てた連作短編集となっています。


水浸しの低湿地だった江戸を利根川の流れを変えて治水工事をしたり、小判を作って経済の土台を作ったり、天守の外壁を白くした理由までわかります。新しい時代を作った人の観点はおもしろいなあととにかく感心。困難を乗り越える爽快感も最高です。うん、家康が天下をとってくれて本当に良かった!


のぼうの城/和田 竜


出典:©︎のぼうの城

戦国期、天下統一を目前に控えた豊臣秀吉は関東の雄・北条家に大軍を投じた。そのなかに支城、武州・忍城があった。周囲を湖で取り囲まれた「浮城」の異名を持つ難攻不落の城である。秀吉方約二万の大軍を指揮した石田三成の軍勢に対して、その数、僅か五百。城代・成田長親は、領民たちに木偶の坊から取った「のぼう様」などと呼ばれても泰然としている御仁。武・智・仁で統率する、従来の武将とはおよそ異なるが、なぜか領民の人心を掌握していた。(小学館文庫より引用)


石田三成2万の軍勢に、たった2千で立ち向かった男がいた─。ゾクゾクするようなあらすじの先に、こんなにも面白くて、感動的な物語が詰まっていたなんて!痛快感・爽快感が最初から最後まで止まらない史実を元にしたおすすめの時代小説です。


のぼうと揶揄される城代の主人公が、石田三成の大軍と如何に戦ったかというお話。 戦どころか、田植えもできない不器用なのぼう様が農民達に慕われるシーンには思わずほろり。 上・下巻からなる作品ですが、各巻ともページ数が少なめで内容の濃さの割にはコンパクト。


あとがき

読みやすくて面白いおすすめの歴史・時代小説を厳選してご紹介してきました。一見難しそうなジャンルですが感動・爽快感・ワクワクやドキドキがたくさん詰まった時代小説。一度読めば絶対にハマります!気になるものが見つかれば是非一度手に取ってみて下さいね。