いろはにほへど

朝起きて本を読んで寝てます。

おすすめの小説 35作!面白い小説だけを人気作・話題作中心にご紹介。

おすすめの面白い小説を人気作・話題作を中心にざっくりジャンル別にご紹介していきたいと思います。ジャンルとしてはミステリー小説、青春・恋愛小説、ファンタジー小説、家族・日常小説、その他あくまでもざっくりと分けています。どれも人気作品なだけによく目にしている作品が多くあると思いますが簡単な感想を添えていますので、まだ読んでいない作品で気になる小説があれば是非読んでみて下さい。

おすすめの面白い小説 厳選35作品

それではおすすめの面白い小説 2018年版をご紹介していきたいと思います。ごゆっくりとお楽しみくださいね。

ありえないほどうるさいオルゴール店

北の町の小さなオルゴール店では、風変わりな主人が、“お客さんの心に流れる音楽"をオルゴールに仕立ててくれます。耳の聞こえない少年。音楽の夢をあきらめたバンド少女。不仲だった父の法事で帰郷した男性。長年連れ添った妻が倒れ、途方に暮れる老人。彼らの心には、どんな音楽が流れているのでしょうかーー。 ( 幻冬舎 より引用)


北の港町にある小さなオルゴール店に来たお客さんの物語を集めた心温まる短編集。心の中に流れる曲を聞きとりオルゴールとして差し出してくれる不思議なお店。そのオルゴールの音色は、手にした人達の未来への一歩へと繋がっていきます。どの話も、ほんわかとした余韻で心地良くて、最後の2編では、全てがつながってさらにほっこり!優しさのつまったおすすめの作品です。

風神の手

彼/彼女らの人生は重なり、つながる。隠された“因果律”の鍵を握るのは、一体誰なのか―章を追うごとに出来事の“意味”が反転しながら結ばれていく。数十年にわたる歳月をミステリーに結晶化した長編小説。 (朝日新聞出版より引用)


海の側の川沿いの狭い地域、3世代にわたる連作短編集。ある事故が登場人物達の運命を変え、思わぬ影響を及ぼして行きます。ほんの些細なことがある人に影響を与え、またその人が誰かに影響を与えて…最初のきっかけは何てことのない出来事ですがバタフライエフェクト的に繋がる繋がる!それぞれの話でそれぞれの味わいがあって面白いですし、全てが繋がって集束して行く様はお見事です。読後は暖かで幸せな気持ちに包まれますよ!

さざなみのよる

小国ナスミ、享年43。その死は湖に落ちた雫の波紋のように家族や友人、知人へと広がり――命のまばゆさを描く感動と祝福の物語!( 河出書房新社 より引用)


主人公ナスミの死が家族や友人たちの視点から描かれた連作短編集で、人との繋がり、生きることの意味を考えさせられるおすすめの小説。ナスミの深い優しさからくるさばさばとした言葉と、それを受けとめる人のピュアな気持ちがひたすら胸を打ちます。とても幸せな読後感。

蜜蜂と遠雷

私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。(幻冬舎より引用)


国際的なピアノコンクールに挑む若きピアニスト達のお話。出演者の成長や心の動きがとにかく丁寧に描かれていて、本から音が聴こえてくる、色が浮かび上がってくる、光や闇、匂いや風や温度すらも感じる。こういった数々の感想が全て本当だったので驚きました。頭の中で壮大な音楽を感じることの出来る傑作です。

羊と鋼の森

ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。
(文藝春秋より引用)


ひとりの青年が調律師を目指し、成長しながら今後の指針をみつけていくお話。丁寧で優しい文体なので、読み始めてすぐに物語への期待が高まります。ピアノ、そして調律、その2つだけがある世界を描き、静けさ漂う森の中にいるような感覚になりました。ものすごく盛り上がる訳ではないですが、しっとりと、でもしっかりと心に残る物語です。「蜜蜂と遠雷」とセットで読めば、より楽しめるかもしれません。

海の見える理髪店

伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。もしも「あの時」に戻ることができたら…。母と娘、夫と妻、父と息子。近くて遠く、永遠のようで儚い家族の日々を描く物語六編。誰の人生にも必ず訪れる、喪失の痛みとその先に灯る小さな光が胸に染みる家族小説集。( 集英社 より引用)


第155回直木賞受賞作、ささいなことで意地をはったりするのが『日常』だけど、ちょっと違う角度から見るだけで、優しくなれるって気付かせてくれる6編からなる短編集。全てが家族に関係する話でどの話も切なさの中に温かさを感じる直木賞受賞作に相応しい珠玉の逸品。感動する本を読みたい人にはおすすめですよ!いい話だったなあ。

ののはな通信

横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。不器用にはじまった、密やかな恋。けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ……。( KADOKAWA より引用)


ののと、はなの2人の間で交わされた全編書簡形式の小説。多感な高校時代から40代までの20年間にわたって交わされる2人の激しい愛と友情を綴った物語です。手紙から浮かび上がる2人の姿は、危なっかしく感じたり、時には可愛らしかったりと目が離せませんでした。2人の結末がどうなるのかが気になって、一気読み間違いなしの傑作です。

旅猫リポート

野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。『僕の猫をもらってくれませんか?』一人と一匹は銀色のワゴンで“最後の旅”に出る。懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。永遠の絆を描くロードノベル。(講談社文庫より引用)


5年暮らした愛猫・ナナの新しい飼い主を探す、サトルとナナの旅のお話です。動物は人の心が分かると言いますが、本当にナナみたいな感じなのかもしれません…猫視点なのでコミカルだけど内容に重みがあって、あたたかい絆に溢れた物語。私の中で、有川浩さんの作品では『阪急電車』が最高だと思っていましたがそれを超える作品かも。

ふたご

大切な人を大切にすることが、こんなに苦しいなんて――。彼は私の人生の破壊者であり想造者だった。異彩の少年に導かれた少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。(文藝春秋より引用)


SEKAI NO OWARIのSaoriさんによる話題の初小説『ふたご』は、大好きな彼との、友達以上恋人未満の関係を綴ったお話。テレビで多くを語らない印象の彼女の中に溢れる言葉…読み終わりに幸せな気持ちになれる楽い本です。


自分だけを見つめて欲しいという恋心と手の届かない方へと行ってしまいそうな彼の気持ちに心が揺れながら、お互いに成長していく青春小説。一生懸命さとか初々しさみたいなものが伝わってきます。誰もが事実だろうと思うほどリアルな物語を書くということは、とてつもない勇気やエネルギーが必要だったと思います。魂を削って書き上げたということが痛いほど伝わってくる一冊。

青空と逃げる

深夜の電話が、母と息子の日常を奪い去った。疑心、恐怖、そして怒り。壊れてしまった家族が、たどり着く場所は―。母の覚悟と、息子の決意。( 中央公論新社 より引用)


こちらも辻村深月さんの作品で、母子の逃避行の物語。様々な町を舞台にたくさんの人たちの優しさに触れ、母子ともに成長して行く姿はとても良かったです。同時に逃避行の原因となった出来事の真相も少しずつ明らかにされていきます。逃げる動機があまり強く感じられなかった点は少し残念ながら、読了後の爽快感はさすが辻村さん。

毎年、記憶を失う彼女の救いかた

私は1年しか生きられない。毎年、私の記憶は両親の事故死直後に戻ってしまう。空白の3年を抱えた私の前に現れた見知らぬ小説家は、ある賭けを持ちかける。「1ヵ月デートして、僕の正体がわかったら君の勝ち。わからなかったら僕の勝ち」。事故以来、他人に心を閉ざしていたけれど、デートを重ねるうち彼の優しさに惹かれていき―。この恋の秘密に、あなたは必ず涙する。( 講談社タイガより引用)


メフィスト賞受賞作。両親の事故後、1年しか記憶を維持できない尾崎千鳥。彼女の前に現れた見知らぬ男に賭けを持ちかけられます。デートを重ねていく中で2人の想いが寄せては離れてを繰り返しつつ、次第に男の正体と真意も明らかになっていくのですが…終盤に想像していた形が一気に引っくり返されて予想出来なかったラストには思い切り泣かされました。主人公たちの気持ちがひしひしと伝わってくる素直で飾り気のない文章もとても良かったです。

幸福のパズル

倉沢みちるは葉山で生まれ育った純粋でひたむきな女の子。高3の夏、老舗ホテルの御曹司の蓮見優斗と恋に落ちるが、花火大会の夜、行き違いから悲しい別れを迎える。5年後、再会した二人は急速に惹かれ合う。好きな人と過ごし、好きな小説を書き、人生で初めて幸せに身を委ねたみちるだったが、それは束の間の“幸福”だった…。何度も引き裂かれながら愛し合う二人が“青い鳥”を探す現代の純愛小説。( 講談社 より引用)


老舗ホテルの御曹司・優斗と人気作家になったみちるとの恋物語。次々に降りかかる不幸な出来事やありえない展開は、少女漫画のようでもありましたが、みちるの純粋さと一生懸命なところに惹かれ応援しながら読みました。章ごとに違う人物の一人称視点で描かれる形式なので誰かしらの登場人物に思わず感情移入して読み進められますよ。

百貨の魔法

時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける―。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語!(ポプラ社より引用)


村山早紀さんの書く話は暖かい気持ちになるからやっぱり好き。戦後多くを失った人々が力を合わせて復興した奇跡の建物には魔法や奇跡の力が備わり、多くの人々に笑顔を与えてくれます。星野百貨店で起こる素敵な魔法の数々に、日々の生活でやさぐれた私の心も癒やされました。本当に素敵な物語です。

猫だまりの日々

仕事を失った青年の願いを叶えるべく、彼を訪ねてきた猫。かつて飼っていた猫に会えるという噂のある、ちょっと不思議なホテル。猫飼い放題の町で出会った彼と彼女の恋。猫が集まる縁結びの神社で起きた、恋と友情にまつわる出来事。死後に猫となり、妻に飼われることになった男―。人気作家が描く、どこかにあるかもしれない猫と誰かの日々。全五編を収録。( オレンジ文庫 より引用)


猫好きさんには表紙からたまらない、5人の作家さんによる猫と人を結ぶファンタジーな物語5編。ちょっと切なさの混じった優しさとぬくもりが胸に残る話が揃っていました。個人的には椹野道流さんの、突然勤務先の倒産を知らされた1日の話『ハケン飯友』が好みでしたが、どの作品もそれぞれの作家さんの個性が出ていてとても面白い一冊です。

ナミヤ雑貨店の奇蹟

悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。時空を超えて過去から投函されたのか?3人は戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くが…。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?(角川文庫より引用)


ナミヤ雑貨店のポストに悩み事を書いた手紙を入れておくと翌日、返事が返ってくる…。ポストを通じて、過去と現在がつながる素敵なファンタジー。雑貨店の悩み相談と養護施設にまつわるパズルのピースが時空を超えて結びついていく様子は爽快!読書初心者さんにもおすすめしたいとても読みやすい感動作です。

ウズタマ

周作(28歳)は、シングルマザーの紫織との結婚を控えたある日、唯一の肉親である父親から、謎の通帳を渡される。“誰か”が自分のために振込を続けてくれていたことはわかったが全く心当たりがない。唯一の真相を知る父は、脳梗塞で昏睡状態に。そうなって初めて、父の過去や自分の過去も詳しく知らないことに気づく。その“誰か”を探し始めた周作は、25年前のある傷害致死事件に行く着くのだが…。(小学館より引用)


28歳の結婚を控えた青年が主人公。そして唯一の肉親である父との別れが迫り自分のルーツにつながるものを手繰り寄せていくお話。ミステリーが隠し味となっている、幸せとはなにかを問う家族小説です。不穏な始まりと重たい内容、少しずつ明らかになる隠されていた出来事と、合間に語られる過去の生活。すごく優しくて素敵な読後感でした。読み終えた後で表紙を見ると再び温かい気持ちになれますよ。

ツバキ文具店

ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。( 幻冬舎より引用)


鎌倉を舞台に古い文具店を営みながら人の手紙を代筆する代書屋を営む鳩子さんと、代書の依頼に来た人や個性的なご近所の方々との交流が柔らかく描かれています。実際の肉筆の手紙が挿し絵のように挿入されていて、受け取った人はどんな気持ちになるだろうと想像せずにはいられませんでした。読後とても優しい気持ちになれる一冊。続編となる『キラキラ共和国』もおすすめですよ。

マカン・マラン

ある町に元超エリートのイケメン、そして今はドラァグクイーンのシャールが営むお店がある。様々な悩みを持つ客に、シャールが饗する料理とは?(中央公論新社より引用)


社会のはざまで疲れた人たちが、様々な理由で立ち寄る隠れ家夜食カフェ『マカンマラン』。ここを訪れる常連客達は亭主であるシャールさんの温かいご飯と温かい言葉で抱える悩みや不安をそっとほぐしてもらいます。温かな料理の数々は読み手のこちらも温かな気持ちにさせてくれますよ。どれも特別な話ではないのに、心に染み入るように優しい気持ちになれる一冊。

リップヴァンウィンクルの花嫁

声の小さな皆川七海は、派遣教員の仕事を早々にクビになり、SNSで手に入れた結婚も、浮気の濡れ衣を着せられた。行き場をなくした七海は、月に100万円稼げるというメイドのバイトを引き受ける。あるじのいない大きな屋敷で待っていたのは、破天荒で自由なもうひとりのメイド、里中真白。ある日、真白はウェディングドレスを買いたいと言い出すが…。岩井俊二が描く現代の嘘と希望と愛の物語。(文藝春秋より引用)


家庭も仕事もなにもかも失った主人公・皆川七海が、嘘に翻弄されながらひとつの愛を見つけるお話で、現代のSNS事情が見事に描かれています。何かを強く訴えかけるでもなく静かに心に寄り添ってくる感じがすごく心地の良い一冊で、決してハッピーエンドではないのかもしれませんが、読了後には幸福感が残りました。

おらおらでひとりいぐも

74歳、ひとり暮らしの桃子さん。夫に死なれ、子どもとは疎遠。新たな「老いの境地」を描いた感動作!圧倒的自由!賑やかな孤独!( 河出書房新社 より引用)


第158回芥川賞受賞作品。75歳になろうとする夫に先立たれた老婆の1人語り、全て東北弁で書かれています。愛する夫の死、そして孤独、震えるような悲しみを背負いながら段々と自由になって行く心情が描かれていて、軽くもあり重くもあり、微笑ましかったり、落ち込むように下がったり。静かに泣ける一冊です。

さよなら、田中さん

田中花実は小学6年生。ビンボーな母子家庭だけれど、底抜けに明るくたくましいお母さんと、毎日大笑い、大食らいで生きている。この母娘を中心とした日常の事件を時に可笑しく、時にはホロッと泣かせる筆致で鮮やかに描ききる。( 小学館 より引用)


ユーモアに溢れていて、なお切なく温かい話題作『さよなら、田中さん』は、なんと作者が小学4年生と6年生時の作品を改稿したもの。出版時でもまだ14才の著者、すごい…。おちゃめな小学6年生の花ちゃんとお母さんの、貧乏だけれど力強さとお互いへの思い遣りに溢れる5編の連作短編で、言葉の使い方、心理描写の巧みさ、物語の展開の仕方など、どれをとっても巧いとしか言いようがありません。

ベイビー、グッドモーニング

寿命を三日ほど延長させて頂きました―入院中の僕の前に現れた“死神”を名乗る少女。なんでも死神には、リサイクルのため、濁った魂を集めるノルマがあり、その達成のため勝手に寿命を延ばしたというのだが…。綺麗に死にたいと言う嘘つきな少年、物語の中で自殺した小説家、世界を「良い人」で埋め尽くす計画を立てた青年、誇り高き老道化師。死が迫った濁った魂たちは、少女と出会い、何を選択したのか。優しくて切ない四つの物語。(角川文庫より引用)


ユニクロのTシャツとミニスカートで現れる現実味のない死神の少女と死にゆく人たちの物語が4編。死神に出会った人はやっぱり死んでしまうのですが、逆に『生』が際立つ物語でもあります。自分の運命に向き合ったそれぞれの人生がとても温かかったです。沢山の場面で涙腺が緩むおすすめの感動作品ですよ。

騙し絵の牙

大手出版社で雑誌編集長を務める速水。誰もが彼の言動に惹かれてしまう魅力的な男だ。ある夜、上司から廃刊を匂わされたことをきっかけに、彼の異常なほどの“執念”が浮かび上がってきて…。斜陽の一途を辿る出版界で牙を剥いた男が、業界全体にメスを入れる!(KADOKAWAより引用)


大泉洋さんを当て書きという話題性もあって読んだ社会派長編小説。大手出版社で雑誌編集長を務める速水。上司から自身の雑誌の廃刊を匂わされたことをきっかけに、組織の思惑に翻弄されながらも懸命に抗う物語です。出版業界の内情を通して「小説」にこだわり続けるひとりの男の生き様が描かれています。そして思わぬどんでん返し。最後には速水がなぜそこまで「小説」にこだわるのかが明かされますよ。

本のエンドロール

彼らは走り続ける。機械は動き続ける。電子化の波が押し寄せ、斜陽産業と言われようとも、この世に本がある限り。印刷会社の営業・浦本は就職説明会で言う。「印刷会社はメーカーです」営業、工場作業員、DTPオペレーター、デザイナー、電子書籍製作チーム。構想三年、印刷会社全面協力のもと、奥付に載らない本造りの裏方たちを描く、安藤祐介会心のお仕事小説。( 講談社 より引用)


読書離れが進んで廃れゆく行く印刷会社の若手営業マン視点での、本作りに携わる様々な人々の物語。本の売れない時代でも本を愛し熱意を持って仕事に向き合っていく姿が印象的。仕事に取り組む姿勢や営業スキルなど、大切なことも詰まっています。本が好きな方には是非読んで欲しいおすすめの作品です。

コンビニ人間

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。( 文藝春秋より引用)


友人、家族から奇異な存在として見られコンビニ以外の仕事に適合せず、コンビニ店員として働く為に生まれてきた古倉恵子。恵子の世の中との関わり方や捉え方はとても奇妙なんですが、納得できない訳でもないですし、そんな人がいてもいいとも思いました。 この本を読んでいると『普通』とは何なのか、何が正しくて、何が間違っているのか?よく分からなくなってきます。個人的に面白かったというよりも心をザワつかせられた感じの作品。

消えない月

出版社に勤務する松原とマッサージ師のさくら、二人は、付き合いはじめ、やがて別れる。それで終わりのはずだった。婚約までした男と女の関係は、はじめから狂っていたのかもしれない。加害者と被害者、ふたつの視点から「ストーカー」に斬り込んだ、残酷にして無垢な衝撃作!!(新潮社より引用)


全て自分の都合の良いように解釈する勘違い男と、まわりに心配や迷惑をかけてはいけないと強く出れない女性。ストーカーの被害者と加害者、それぞれの視点から描かれた物語。ストーカーものと知っていて読み始めたのですが、想像以上でもうホラーの域、なのに著者の文章力が高くスラスラと読み進めてしまいました。そしてこの作家さんにしては驚きのラスト…。読み応えたっぷりですが読了後は本当に疲れます。笑

星の子

主人公・林ちひろは中学3年生。出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族を崩壊させていく。( 朝日新聞出版 より引用)


宗教にはまる親と、その子供のお話。信仰を推進するわけでもなく、否定するわけでもなく、ただ淡々と一人の人間が宗教と共に生きていく様子が描かれていてお見事でした。決して暗いだけの話ではなく家族の愛も伝わってくる、不穏さと優しさが混在した不思議な感触の作品でした。

罪人が祈るとき

自殺を決意した少年と、息子を自殺で亡くした父親──。同じ空を見上げたとき、ふたりはなにを祈るのだろうか。涙なくしては読めない感動のラスト! 衝撃のデビュー作『ジャッジメント』に続く、初の長編ミステリー。( 双葉社 より引用)


とても重いテーマの1冊。いじめによる自殺で息子と妻をなくした父親。時が経ち、更正の意志もなくターゲットを見つけていじめを続ける少年達。彼らにより同じ境遇に陥る子の前に親身に話を聞いてくれるピエロが現われます…。壮絶ないじめの描写が辛くて何度も挫折しそうになりましたが、読み進めるうちに父親の心が切なくて悲しくて、そしてピエロのペニーの優しさに涙がとまりませんでした。色々と考えさせられる素敵な作品です。

屍人荘の殺人

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。緊張と混乱の一夜が明け―。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった…!!究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?!(東京創元社より引用)


この状況下での密室殺人は、まさに極限。見取り図があったり登場人物の紹介があったりと期待が膨らむ形で読み始めたら、今までにない形でクローズドサークルが成立。あれを思う存分に使うとは思いもよりませんでした。世界が一転するような鮮やかなトリックというよりは、複数の謎を1つ1つ丁寧に解き矛盾のない答えを探すというテイストのミステリで、さり気ない伏線の張り方も巧い!緊迫感もあってめちゃくちゃ面白かったです!

このミステリーがすごい!2018年版【国内編】ベスト10作品


未来

「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。 送り主は未来の自分だという……。( 双葉社 より引用)


絶望的な状況にある2人の少女が、未来からの自分の手紙に救われる話。どんなファンタジー作品かと思っていたら、さすがの湊かなえワールド。ラストにつながる人間関係はもう絶品でした。もちろんイヤミスなんですが、2人に幸せになって欲しいという気持ちにさせられるいつもとは少し違った読後感でした。

湊かなえさんのおすすめ作品


かがみの孤城

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 (ポプラ社より引用)


個人的に大好きな作家、辻村深月さんの『かがみの孤城』は、些細なことで、学校での居場所を無くし、行けなくなってしまった少女こころが主人公。部屋の鏡の中に引き込まれ出会った、同じように学校に行けない少年少女たちと…あっという間に物語の世界に入り込んでしまいます。


最後の100ページくらいからは鳥肌がたちっぱなし。特別でない普通の子をこんなに素敵な物語にする力のある辻村さんはやっぱり凄い!色々な世代の人に読んでもらいたいおすすめの作品です。

辻村深月さんのおすすめ作品


希望が死んだ夜に

14歳の女子中学生が、同級生を殺害した容疑で逮捕された。少女は犯行を認めたけれど、動機は語らない。果たして真相は…。メフィスト賞作家が描く、社会派青春ミステリ。( 文藝春秋 より引用)


14歳の2人の少女。一人の少女が遺体で発見され、もう一人は「私が殺しました」と主張します。しかし動機については口を閉ざす…2人に何があったのか?貧困によって希望を失った少女たちの物語。メッセージ性の強い貧困問題を取り扱った作品で、ミステリーとしての真相にも驚かされました。

13・67

現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の本格ミステリー。どの作品も結末に意外性があり、犯人との論戦やアクションもスピーディで迫力満点。本格ミステリーとしても傑作だが、雨傘革命(14年)を経た今、67年の左派勢力(中国側)による反英暴動から中国返還など、香港社会の節目ごとに物語を配する構成により、市民と権力のあいだで揺れ動く香港警察のアイデェンティティを問う社会派ミステリーとしても読み応え十分。 (文藝春秋より引用)


大傑作との呼び声も高い全6編からなる本格ミステリ連作短編集『13・67』。香港の警察官クワンを主人公にして、2013年を舞台にしたストーリーから徐々に遡って行き最後は1967年と歴史をさかのぼる形で書かれています。上質な本格ミステリとしても、変わり行く香港社会を描いた小説としても、主人公の数奇な一生を辿る物語としても、とにかく面白い!あらゆるミステリージャンルの垣根を越えた傑作『13・67』についてはこちらで詳しくご紹介しています。

おすすめ!『13・67』は読みごたえ抜群の大傑作!


わざわざゾンビを殺す人間なんていない。

全人類がウイルスに侵され、死ねば誰もが活性化遺体になる世界。家畜ゾンビが施設で管理され、野良ゾンビが徘徊する日常のなか、とある細胞活性化研究者が、密室の中で突然ゾンビ化してしまう。彼はいつ死んだのか?どうやってゾンビになったのか?生者と死者の境目はどこだったのか?騒然とする現場にあらわれたのは、謎の探偵・八つ頭瑠璃。彼女とともに、物語は衝撃の真相が待ち受けるラストへと加速していく。世界もキャラクターもトリックも真相も予測不可!極上のゾンビ×ミステリー、開幕。(一迅社より引用)


ゾンビ×密室ミステリ。グロテスクな描写もありますがコミカルな文章に中和されていて読みやすい!死ねばゾンビになる世界で密室殺人事件が発生という異色の展開、トリックや伏線などもさらに異色で驚きの連続でした。作中の描写は全然爽やかじゃないんですがとても後味の良い作品です。

ホワイトラビット

楽しさを追求したら、こういう小説になりました。最新書き下ろし長編は、予測不能の籠城ミステリーです! 仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていく――。(新潮社より引用)


白兎事件という籠城事件の関係者たちによる物語。多彩な登場人物、スピード感、「えっ」という場面描写の連続、冒頭から伊坂ワールド全開です。場面展開や時系列の複雑さも愉快な語り手に導かれるまま読んでいけば違和感なく繋がります。主要人物の殆どが法を犯しているのですが徹底的に悪い人だけ滅びる爽快感も最高!ワクワク・ニマニマの止まらない傑作。

Y駅発深夜バス

運行しているはずのない深夜バスに乗った男は、摩訶不思議な光景に遭遇した―奇妙な謎とその鮮やかな解決を描く表題作、女子中学生の淡い恋と不安の日々が意外な展開を辿る「猫矢来」、“読者への挑戦”を付したストレートな犯人当て「ミッシング・リング」、怪奇小説と謎解きを融合させた圧巻の一編「九人病」、アリバイ・トリックを用意して殺人を実行したミステリ作家の涙ぐましい奮闘劇「特急富士」。(東京創元社より引用)


怪奇系、読者への挑戦状、学園もの、倒叙もの、アリバイものなど幅広いジャンルの短編集ですが、本格ミステリー的なしっかりとした推理が土台にある作品が揃っています。短編なのに何段階にもオチがあって、最後の一言まで気がぬけませんでした。個人的には表題作『Y駅発深夜バス』と『九人病』の怪奇系2作が特にお気に入りです。

盤上の向日葵

埼玉県天木山山中で発見された白骨死体。遺留品である初代菊水月作の名駒を頼りに、叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志していた新米刑事・佐野のコンビが捜査を開始した。それから四か月、二人は厳冬の山形県天童市に降り立つ。向かう先は、将棋界のみならず、日本中から注目を浴びる竜昇戦の会場だ。世紀の対局の先に待っていた、壮絶な結末とは―!?(中央公論新社より引用)


『盤上の向日葵』は、骨太な将棋ミステリー。名駒という将棋の駒と共に埋められた遺体の遺棄事件を追う刑事と異例の天才棋士の幼少期、2つの時間軸を交互に描きどう交わるのかを楽しむ作品。将棋に関してほとんど素人の私でも臨場感あふれる対局模様と、最後までどこへ行きつくのかという焦燥感で凄く楽しめましたし、題名の意味の切なさも心に残る作品でした。エンディングはまるで映画の様で味がありましたよ!

名探偵は嘘をつかない

「ただいまより、本邦初の探偵弾劾裁判を開廷する!」彼が本当に嘘をついていないのか、それは死者を含めた関係者の証言によって、あきらかにされる!名探偵・阿久津透。その性格、傲岸不遜にして冷酷非情。妥協を許さず、徹底的に犯人を追い詰める。しかし、重大な疑惑が持ちあがった。それは、彼が証拠を捏造し、自らの犯罪を隠蔽したというものだった――。(光文社より引用)


筆者デビュー作の本格ミステリ。警察の下部組織に探偵機関があって探偵は世間から人格者として尊敬されています。ただこの話に登場する探偵はお世辞にも人格者とは言えず弾劾裁判が行われようとしていて…。神様、転生などといったファンタジーな要素も入ってくるのに読みやすいですし、展開が読めなくてワクワク!終盤でたった1つの事実に気付きさえすれば謎が解けていくという流れがもう最高です。

崩れる脳を抱きしめて

広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く――。彼女はなぜ死んだのか? 幻だったのか? ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!?( 実業之日本社 より引用)


父親に捨てられ借金を背負い、金の亡者となった研修医の主人公と、脳腫瘍で余命短い資産家の患者との物語。心に傷を持つ2人がお互いの傷を癒す謎解きをして距離を縮めていくのですが…。前半は、心理的な描写の多い恋愛小説、後半からは隠された謎を追うミステリーといった感じでとても楽しめました。謎を解いていきながら心も温かくなる素敵な作品です。

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あとがき

おすすめの面白い小説をご紹介しました。人気作品や話題作品は少し乗り遅れてしまうと読まず嫌いなんてこともありがちですが、やっぱり凄く面白い!少しでも気になる作品が見つかれば是非読んでみて下さいね!絶対満足出来ると思いますよ。

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