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『湊かなえ』おすすめの小説、人気のイヤミスから感動作まで厳選10作品!

大人気女性作家として活躍する『湊かなえさん』といえば人の内面に潜む闇を掘り下げて描くイヤミス作家の代表格ですよね。今回は、ミステリー作家 湊かなえさんの魅力を存分に味わえるおすすめの作品をご紹介していきたいと思います。

湊かなえさんプロフィール

まずはプロフィールのご紹介から。

1973(昭和48)年、広島県生まれ。2007(平成19)年、「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。翌年、同作を収録する『告白』が「週刊文春ミステリーベスト10」で国内部門第1位に選出され、2009年には本屋大賞を受賞した。2012年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門、2016年『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞。 引用: 湊かなえ | 著者プロフィール | 新潮社


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湊かなえさんのおすすめ小説

  • 表記はタイトル、あらすじ、感想の順になっています。

後味の悪さやモヤモヤ感、見事な伏線の回収を楽しみたい人には特におすすめ。湊かなえさんの描くイヤミスの魅力と衝撃を思う存分堪能してくださいね!

物語のおわり

病の宣告、就職内定後の不安、子どもの反発…様々な悩みを抱え、彼らは北海道へひとり旅をする。その旅の途中で手渡された紙の束、それは「空の彼方」という結末の書かれていない小説だった。そして本当の結末とは。あなたの「今」を動かす、力強い物語。(朝日文庫より引用)


本当に湊かなえさんの作品?と思うくらい、イヤミスの女王らしからぬ読後感の爽やかな優しいお話。8編からなる連作短編集です。


物語の舞台は北海道、『空の彼方』という名もなき少女による書きかけの小説が次々と心にぽっかりと穴を持つ人達に渡り、読み手にじわりじわりと好影響を波及させていきます。そして、最後に手にするのは‥という素敵な奇跡の物語。イヤなことを昇華させたときに人は前を向いて進めると気づかせてくれる作品です。こんなタイプの湊さんの作品も好きだなと思わせてもらえました。

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豆の上で眠る

行方不明になった姉。真偽の境界線から、逃れられない妹――。あなたの「価値観」を激しく揺さぶる、究極の謎。私だけが、間違っているの? 13年前に起こった姉の失踪事件。大学生になった今でも、妹の心には「違和感」が残り続けていた。押さえつけても亀裂から溢れ出てくる記憶。そして、訊ねられない問い――戻ってきてくれて、とてもうれしい。だけど――ねえ、お姉ちゃん。あなたは本当に、本物の、万佑子ちゃんですか? (新潮文庫より引用)


過去に姉が行方不明になり、2年後に見つかった。しかし帰ってきた姉が、以前の姉とはどうしても同じだとは思えません…最初から最後まで嫌な予感で埋め尽くされ、心が重傷。なのに続きが気になり続けました。最後まで読んでみて思ったのですが『豆の上で眠る』なんてピッタリなタイトル!

告白

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。(双葉文庫より引用)


デビュー作にして代表作「週刊文春ミステリーベスト10」1位、本屋大賞1位を受賞したベストセラー作品。愛娘を生徒に殺された女教師が復讐するお話で、被害者、加害者、クラスメイト、加害者家族、と語り手を変えながら事件の真相が告白されていきます。作品に引き込む引力は絶大!読んでいる途中で「わーっ」と叫びたくなるほどの高揚感とラストの絶望感…この本を読んだ衝撃は未だに忘れられません。是非読んでおくべき傑作です。

ユートピア

地方の商店街に古くから続く仏具店の嫁・菜々子と、夫の転勤により社宅住まいをしている妻・光稀。そして移住してきた陶芸家・すみれ。美しい海辺の町で、三人の女性が出会う。自分の居場所を求めて、それぞれの理想郷を探すが―。(集英社より引用)


小さな海辺の町に暮らす3人の女性の物語。ささいな不協和音から、やがて隠された事件が姿を現します。ネットの恐ろしさや田舎の噂話の怖さもあり、なかなかドキドキする展開。全体的に暗い作品ですが、湊さんの力で先が読みたくてたまらないと思えました。そして読後のモヤモヤ感…それにしても湊さんは閉塞感漂う田舎の鬱々した人間の心を描くのが上手い…。

リバース

深瀬和久は平凡なサラリーマン。自宅の近所にある“クローバー・コーヒー”に通うことが唯一の楽しみだ。そんな穏やかな生活が、越智美穂子との出会いにより華やぎ始める。ある日、彼女のもとへ『深瀬和久は人殺しだ』と書かれた告発文が届く。深瀬は懊悩する。遂にあのことを打ち明ける時がきたのか―と。(講談社文庫より引用)


大学時代に事故死した友人・広沢の短い生涯を調べ始めた主人公・深瀬は、調べがすすむにつれ自分の知らなかった友人の別の面に気づかされ混乱してゆきます…湊かなえさんが初めて男性主人公で書いたイヤミス。かなり恐い結末を迎えますが、結末がわかると、何気なく読み過ごしていた文章や、アイテムが、すごく意味があったことなのだと気付き驚かされました。じわじわと読まされて寝不足の1冊!かなりおすすめですよ。

Nのために

超高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で、そこに住む野口夫妻の変死体が発見された。現場に居合わせたのは、20代の4人の男女。それぞれの証言は驚くべき真実を明らかにしていく。なぜ夫妻は死んだのか?それぞれが想いを寄せるNとは誰なのか?切なさに満ちた、著者初の純愛ミステリー。(双葉社より引用)


こちらも湊かなえさん代表作の一つとして有名な残酷ですが美しい物語。こちらの作品、導入の部分が最高に上手い!誰しも興味を惹かれ物語の世界へひきずりこまれるのではないでしょうか。高層マンションで起きた野口夫妻の殺人事件。この物語は、現場に居合わせた4人の若い男女の証言からはじまります。それぞれがそれぞれのNのために、愛する人のためについた小さな嘘が重なってとっても大きなものになる…。いろいろと考えさせられて心に残るストーリーです。

母性

女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。…遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも―。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。(新潮文庫より引用)


「愛能う限り、大切に育ててきた娘」が自殺するシーンから始まる親娘をテーマとしたミステリー。娘でいつ続けたかった「母」とその「娘」が同じ愛を求め続けるも、すれ違い続けた結果の悲劇が描かれています。母と娘というどこにでもある関係性を、こんなにも怖いものに仕立て上げてしまう湊かなえさんに脱帽。確実にやってくる破滅の予感に怯えながら、ページをめくる手が止まりませんでした!おすすめです。

望郷

暗い海に青く輝いた星のような光。母と二人で暮らす幼い私の前に現れて世話を焼いてくれた“おっさん”が海に出現させた不思議な光。そして今、私は彼の心の中にあった秘密を知る…日本推理作家協会賞受賞作「海の星」他、島に生まれた人たちの島への愛と憎しみが生む謎を、名手が万感の思いを込めて描く。(文春文庫より引用)


瀬戸内海に浮かぶ島の中で起こる様々な人間模様6編。短い話の中にもきちんと伏線をはって、最後にそうなるのかって話が多くありました。そして島の閉塞感や閉鎖的な雰囲気が息苦しく時には辛く感じられた反面、そこに住む人たちの暖かさがより際立っていて読後はとても穏やかな気持ちになれました。ということでイヤミス度は低めです。

贖罪

15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。娘を喪った母親は彼女たちに言った―あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。(双葉文庫より引用)


デビュー作『告白』と同じく、登場人物が順番に独白していく構成になっている『贖罪』。タイトルを隠しても湊かなえさんとわかる安定のイヤミス具合。空気の綺麗な田舎で起こってしまった少女の殺人事件。犯人を目撃してしまった4人の友人達、そして広がっていく負の連鎖。出てくる女性が、みんな不幸に堕ちていくのが明白でもう…。最後はきれいに全てまとまり、とっても読みやすい作品でした。

少女

親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら、死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く―死の瞬間に立ち合うために。高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。(双葉文庫より引用)


人が死ぬとこが見たくなった女子高生の敦子と由紀の夏休みの物語。ブラックさもあり、ピュアさもあり女子高生特有のどろどろ感満載でしたが、最後の数ページの展開は予想できず、読んでいて背筋がゾクゾク、そして読後感はスッキリ。繋がりがないように見えていた人達が、関わりあって影響しあっていくのがたまらなく面白かったです。

花の鎖

両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母がガンで入院した梨花。職場結婚したが子供ができず悩む美雪。水彩画の講師をしつつ和菓子屋でバイトする紗月。花の記憶が3人の女性を繋いだ時、見えてくる衝撃の事実。そして彼女たちの人生に影を落とす謎の男「K」の正体とは。驚きのラストが胸を打つ、感動の傑作ミステリ。(文春文庫より引用)


梨花、美雪、紗月、3人の女性の物語。謎のKという人物をめぐりだんだんと繋がっていく3人。時代をまたぐので早めに察知した方が理解しやすいです。世代を超えた物語が全て繋がった時の爽快感は最高ですよ!今まで読んだ湊さんの作品の中では雰囲気がちょっと違っていて楽しめました。

夜行観覧車

高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。(双葉文庫より引用)


理想の家庭を目指して失敗してしまった家庭と、理想の家庭から一夜で転落してしまった家庭のお話。 章を追う毎に徐々に事件の真相が明かされていく構成でわくわくしながら読めました。あわせて登場人物の嫌な一面がそれぞれ炙り出されていき、それぞれ抱えている負の部分に共感したくないけれど共感してしまいます。最後まで読むと心が鍛えられた気のする一冊ですよ。

あとがき

湊かなえさんの魅力を味わえるおすすめの小説をご紹介してきました。イヤミスはもちろん、爽やかで優しい読後感を楽しめる作品までどれも素敵な作品ばかり!人気作家さんですので目にしたことのあるタイトルが多くあると思いますが、気になる作品が見つかれば是非一度手に取ってみて下さいね。絶対にハマりますよ!


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