ちょっとした時間でサクッと読める短編小説。1冊で様々なストーリーを楽しめますし、全ての短編を読み進めるとひとつの大きな物語がうまれる連作短編集なんかも魅力的。今回はおすすめの短編小説をご紹介していきたいと思います。1編1編は短くてもそれぞれが面白くて大満足できる良作、傑作ばかりをご紹介していますので気になる作品があれば是非手にとってみてください。
▷関連記事
おすすめの短編小説 厳選15作品
それではおすすめの短編小説を厳選してご紹介していきたいと思います。あらすじと簡単なレビューも記載していますので参考にしてみて下さい。
アイネクライネナハトムジーク
妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。(幻冬舎文庫より引用)
伊坂幸太郎さんにしては珍しい恋愛もの短編集となっていますが、人物や時間軸をずらしながら1つの大きな物語としてすべての話が繋がっています。その繋がりは、どんな作品よりも複雑かもしれませんが、読んでいる間も後も、ニヤニヤしながら幸せな気持ちで満たされるおすすめの一冊です。
かばん屋の相続
池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。残された二人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、「相続を放棄しろ」と語り、遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。父の想いはどこに?表題作他五編収録。(文春文庫より引用)
中小企業とそこに関わる銀行員の姿を描く短編小説。必死で会社と従業員たちを守ろうとする社長の立場、そんな企業をどうにか助けようとする銀行員。すべての短編がハラハラドキドキできてスッキリ感も味わえる秀作ぞろい。サクッとと読めて満足度も高い素敵な短編小説。
影踏み
深夜の稲村家。女は夫に火を放とうとしている。忍び込みのプロ・真壁修一は侵入した夫婦の寝室で殺意を感じた―。直後に逮捕された真壁は、二年後、刑務所を出所してすぐ、稲村家の秘密を調べ始めた。だが、夫婦は離婚、事件は何も起こっていなかった。思い過ごしだったのか?母に焼き殺された弟の無念を重ね、真壁は女の行方を執拗に追った…。(Amazonより引用)
主人公は耳の中で死んだ双子の弟と会話をする泥棒。36歳の泥棒が様々な事件に巻き込まれ問題を解決していくという少しハードボイルドで少しミステリーな連作短編集。悪と正義が逆転するような展開が、陰はありますが面白い!そしてなんとも切ないラスト。
箱庭図書館
僕が小説を書くようになったのには、心に秘めた理由があった(「小説家のつくり方」)。ふたりぼっちの文芸部で、先輩と過ごしたイタい毎日(「青春絶縁体」)。雪面の靴跡にみちびかれた、不思議なめぐり会い(「ホワイト・ステップ」)。“物語を紡ぐ町”で、ときに切なく、ときに温かく、奇跡のように重なり合う6つのストーリー。ミステリ、ホラー、恋愛、青春…乙一の魅力すべてが詰まった傑作短編集!(Amazonより引用)
一般の作家志望の人が書いた多岐にわたるジャンルのボツ作品を乙一さんがリメイクした短編集。いたるところに漂う独特の切なさや共感を誘う世界観は、まさに乙一ワールド。甘酸っぱい青春から不思議なファンタジー、少し不気味な話まで全て味わえるおすすめの一冊。
我が家の問題
夫は仕事ができないらしい。それを察知してしまっためぐみは、おいしい弁当を持たせて夫を励まそうと決意し―「ハズバンド」。新婚なのに、家に帰りたくなくなった。甲斐甲斐しく世話をしてくれる妻に感動していたはずが―「甘い生活?」。それぞれの家族に起こる、ささやかだけれど悩ましい「我が家の問題」。人間ドラマの名手が贈る、くすりと笑えて、ホロリと泣ける平成の家族小説。(Amazonより引用)
客観的に見るとそれ程重くはないのですが、それぞれの家庭にとっては結構大きな問題。これに様々な方法で立ち向かう家族を温かく見守る短編集。深く聞いちゃいけないけれどなんとか力になりたい…どの家族もお互いに思いやりを持って暮らしていて、ほっこり癒されます。ご近所さんの家庭を覗き見したような読了感を楽しめますよ。
昨夜のカレー、明日のパン
7年前、25歳で死んでしまった一樹。遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。 (河出文庫より引用)
夫が亡くなった後も義父との生活を続けるテツコ。遺された人たちがゆっくりと前を向いて進んでいく優しい話ばかりで、リラックスして読める連作短編集。派手な展開などはありませんが、こんな生活を送れたらいいなと思わせてくれる心穏やかな日々が描かれています。読めば前向きな気持ちになれる一冊。
満願
「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。(Amazonより引用)
とても読み易く、どの話もなかなか想像のできない結末への持って行き方が鮮やか!最後は背筋がゾクゾクするようなミステリー短編集。ホラーに近い怖さがあって読了後も余韻が続きます。さすがの米澤穂信さん!全編とも傑作で、作品毎その世界観に引きずり込まれますよ。
▷関連記事
その日のまえに
僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。(Amazonより引用)
誰もが迎える「その日」をテーマに重松清さんの優しい文章で綴られる連作短編集。どの話も重たい話ですが、とても温かく涙があふれます。人の死について丁寧に見つめていて、当たり前の日常についてを深く考えさせられる一冊。
鍵のない夢を見る
直木賞受賞! 私たちの心の奥底を静かに覗く傑作集 。どこにでもある町に住む、盗癖のあるよそ者の女、婚期を逃した女の焦り、育児に悩む若い母親……彼女たちの疲れた心を待つ落とし穴。(文春文庫より引用)
閉塞的な地方の事件を巡って女性たちの心の闇を丁寧に描いた話。それぞれの話に出て来る主な人物の駄目なところがやけに際立つ….ですが、そこにリアルな人間味を感じて惹き込まれていく短編集。どれか一つくらいは誰かの心の中にありそうな闇…ダークな辻村深月さん作品もやっぱり面白い!
▷関連記事
天国旅行
現実に絶望し、道閉ざされたとき、人はどこを目指すのだろうか。すべてを捨てて行き着く果てに、救いはあるのだろうか。富士の樹海で出会った男の導き、命懸けで結ばれた相手へしたためた遺言、前世の縁を信じる女が囚われた黒い夢、一家心中で生き残った男の決意―。出口のない日々に閉じ込められた想いが、生と死の狭間で溶け出していく。すべての心に希望が灯る傑作短編集。(新潮文庫より引用)
心中や自ら選んだ死ををテーマにした短編集。あまり気持ちの良くない話もありますが、それぞれ生や死について考えさせられます。ですがそこは三浦しをんさん、各短編とも心にスッと入ってきますし、読み終えると何故か温かさを感じられる素敵な作品です。
ドミノ
一億円の契約書を待つ、締切直前のオフィス。オーディション中、下剤を盛られた子役の少女。推理力を競い合う大学生。別れを画策する青年実業家。待ち合わせ場所に行き着けない老人。老人の句会仲間の警察OBたち。真夏の東京駅、二七人と一匹の登場人物はそれぞれに、何かが起こる瞬間を待っていた。迫りくるタイムリミット。もつれ合う人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが次々と倒れてゆく!抱腹絶倒、スピード感溢れるパニックコメディの大傑作。(角川文庫より引用)
東京駅周辺を舞台に初めはバラバラだった28人分のストーリーが、最後にはドミノ倒しのように1本にまとまるドタバタコメディ。とにかく登場人物が多いのですがそれぞれのキャラがしっかりと立っているのでストレスフリーでさくさく読めます。テンポも良くハラハラ、ドキドキの連続でとても面白いですよ。
忘れ物が届きます
不動産会社の営業で訪れた家の主人が、小学生の頃の自分を知っているという。驚いた自分にその元教師が語ったのは、なぜか二十年前に起きた拉致事件の真相を巡る推理だった。当時の記憶が鮮やかに蘇る…(「沙羅の実」)。長い日々を経て分かる、あの出来事の意味。記憶を遡れば、過去の罪と後悔と、感動が訪れる。謎が仕組まれた、極上の「記憶」を五つ届けます。(光文社文庫より引用)
想い出の中に取り残された謎が、時を経て解き明かされるミステリー短編集。 短い作品の中に起承転結とどんでん返しがしっかりと盛り込まれていて、どのストーリーも意外性があって面白い!さらに読み終わると心がほっこりと温まります。普段、ミステリーをあまり読まない方にも読みやすいのでおすすめです。
フリークス
「J・Mを殺したのは誰か?」。私が読んだ患者の原稿は、その一文で結ばれていた。解決篇の欠落した推理小説のように…。J・Mは、自分より醜い怪物を造るため、5人の子供に人体改造を施した異常な科学者。奴を惨殺したのは、どの子供なのか?―小説家の私と探偵の彼が解明する衝撃の真相!(表題作)夢現、狂気と正常を往還する物語。読者はきっと眩暈する。(光文社文庫より引用)
綾辻行人さんが作家としてデビューする前に書いたミステリー短編小説で精神病棟に入院する3人の話。3編共に日記や手記が主軸となっている展開で、読めば読むほど謎に惑わされて最後に驚かされます。表題作の「フリークス」は読者への挑戦もあって読み応え抜群です。
夜の床屋
慣れない山道に迷い、無人駅での一泊を余儀なくされた大学生の佐倉と高瀬。だが深夜、高瀬は駅前の理髪店に明かりがともっていることに気がつく。好奇心に駆られた高瀬が、佐倉の制止も聞かず店の扉を開けると…。第4回ミステリーズ!新人賞受賞作の「夜の床屋」をはじめ、奇妙な事件に予想外の結末が待ち受ける全7編を収録。新鋭による不可思議でチャーミングな連作短篇集。(創元推理文庫より引用)
同一主人公による日常系ミステリー短編集。日常の小さな謎を積み重ねていくのですが、各短編ごとの色合いの違いが驚くほどハッキリとしています。少しネタバレになりますが終盤はまさかのファンタジー展開に…ここは賛否が分かれそうですが独特の世界観が楽しめる一冊。
さよなら神様
「犯人は○○だよ」。クラスメイトの鈴木太郎の情報は絶対に正しい。やつは神様なのだから。神様の残酷なご託宣を覆すべく、久遠小探偵団は事件の捜査に乗り出すが…。衝撃的な展開と後味の悪さでミステリ界を震撼させ、本格ミステリ大賞に輝いた超話題作。他の追随を許さぬ超絶推理の頂点がここに!(文春文庫より引用)
いきなり犯人の名前を告げられるところから始まる、どこまでも底意地が悪く、不穏な空気の漂うミステリー6編。犯人を先に教えられて、そこに至るまでの過程を推理していく展開は、普通の倒叙ミステリーと少し違って面白い!どの章も余すことなく後味の悪い作品です笑。
まとめ
おすすめの短編小説をご紹介してきました。1編毎に様々なストーリーを楽しめてそのどれもが面白い読み応え抜群の良作ばかりをご紹介してきました。気軽にに楽しめるのも短編小説の魅力、気になる作品があれば是非気軽に手にとってみて下さいね。
▷関連記事