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このミステリーがすごい!2018年版【海外編】ベスト10作品の紹介


このミステリーがすごい!2018年版が発売されましたね。毎年、宝島社から出版されている、国内・海外の今もっとも面白いミステリーが集結した『このミス』。今回は海外編の上位10作品についてご紹介していきたいと思います。

【海外篇】このミステリーがすごい 2018年版ベスト10作品の紹介


それではこのミステリーがすごい!2018年版で発表された海外作品ベスト10作品を思う存分堪能してくださいね!表記はタイトル、あらすじ、感想の順になっています。それでは第10位から順にご紹介していきたいと思います。国内編ベスト10入り作品についてはこちら。

このミステリーがすごい!2018年版【国内編】ベスト10作品


10位 シンパサイザー

「私はスパイです。冬眠中の諜報員であり、秘密工作員。二つの顔を持つ男――」捕らえられた北ベトナムのスパイは、独房で告白をつづる。息もつかせぬスパイ小説にして皮肉に満ちた文芸長篇。( 早川書房 より引用)


第10位は、『シンパサイザー』。なんとエドガー賞とピュリッツァー賞W受賞作です。日本でいえば芥川賞と直木賞を同時にとったような凄い作品。サイゴン陥落で、南ベトナムの人々と共にアメリカに脱出した北ベトナムのスパイによる告白の形で、ベトナム難民が直面した困難や矛盾が語られていきます。


主人公はフランス人神父の父とベトナム人の母を持ち、完全に属する場所がないので、南北ベトナム、アメリカ、民主主義、共産主義とあらゆるものに共鳴を受けるのですが、全面的に従属はできません。どこにも属することが許されない主人公の設定が巧みで効果的。緊迫感溢れる王道スパイ小説ながら、格調高く悲しい文学作品となっています。エンタメとしての軽いミステリーを期待すると痛い目を見そう…。

9位 ゴーストマン 消滅遊戯

恩義のある友からSOSが届いた。すべてのトラブルを解決し、彼女を死地から救い出す――それが私の仕事だ。 南シナ海で行なわれたサファイア強奪は、指揮をとる犯罪者アンジェラにとって大きなトラブルをもたらした。強奪の結果をマカオで待つ彼女のもとに届けられたのは部下の生首とサファイアが一粒。そしてメッセージ――ブツを返せば残りのサファイアは返す。襲った密輸船にはサファイア以外のものも積まれていたのだ。はるかに価値があり、はるかに危険なブツが。この危機を切り抜けるには信頼できる相棒が要る。そこで彼女は私に連絡をよこしたのだ。私は世界でも指折りの強盗だ。だが私に犯罪のすべてを教えたのがアンジェラだった。彼女には恩義がある。だから私は即座にマカオへ飛ぶ。そこで待つのは冷血の殺し屋ローレンスと、私たちの退路を断つ中国マフィア。ゴーストマン師弟コンビが暗黒街で知略を尽くす。(文藝春秋より引用)


第9位『ゴーストマン 消滅遊戯』は、マカオ、香港を舞台に犯罪のプロであるゴーストマンが謎の襲撃者と闘うお話。


強盗団の師弟であるアンジェラとゴーストマン、謎の殺し屋、中国マフィアの三つ巴の戦いが、スタイリッシュな文章で面白犯罪トリビアを織り交ぜながら綴られています。前作『ゴーストマン 時限紙幣』と共に楽しませてくれた著者ロジャー・ホッブズさん死去のため、もう新作が読めないことが残念です。

8位 その犬歩むところ

ギヴ。それがその犬の名だ。彼は檻を食い破り、傷だらけで、たったひとり山道を歩いていた。彼はどこから来たのか。何を見てきたのか…。この世界の罪と悲しみに立ち向かった男たち女たちと、そこに静かに寄り添っていた気高い犬の物語。『音もなく少女は』『神は銃弾』の名匠が犬への愛をこめて描く唯一無二の長編小説。(文藝春秋より引用)


そして8位は、ボストン テラン『その犬の歩むところ』。GIV(ギヴ)という名の犬と出会った人々の物語です。近現代アメリカの精神的構造が、人間ではない犬が主人公になることで純粋に描かれている良作。実際に犬を飼っていたからか余計に響きました。


善良な人、傷ついた人、傷つけられた人、傷つけずにはいられない人、自然の猛威。苛酷な運命に翻弄されても決して侵される事のない、ギヴの無償の愛と優しさが、出会う人々を癒します。真っ直ぐに人間性善説的な作品ですが、犬を通して描く事で説得力が増しているように思います。とても気持ちの良い作品。

7位 渇きと偽り

「ルークは嘘をついた。きみも嘘をついた」意味深な手紙を受けとった連邦警察官フォークは二十年ぶりに故郷を訪れる。妻子を撃ち、自殺したとされる旧友ルークの葬儀に出るためだ。彼は手紙の送り主であるルークの両親から、息子の死の真相を突き止めてくれと頼まれる。生まれ育った町での捜査は、フォークの脳裏に苦い記憶を呼び起こしていく。かつて彼がここを離れる原因となった、ある事件の記憶を…。灼熱の太陽にあえぐ干魃の町で、人々が隠してきた過去と秘密が交錯する。オーストラリア発のフーダニット。(早川書房より引用)


第7位の『渇きと偽り』幼馴染が故郷の町で一家心中した。その死の真相を探ると共に、20年前に主人公が町を追われるきっかけになった事件が語られます。


海外のミステリーではたまに見るパターンですが、田舎の閉塞的な嫌らしさと干ばつという極限状態から来る心理描写や集団心理に引き込まれます。謎解きと言うよりも人間ドラマがメインとなっていますがかなり面白い!この本がデビュー作とは思えない力量です。

6位 ジャック・グラス伝 宇宙的殺人者

稀代の犯罪者ジャック・グラス。彼が起こす犯罪は、不可能にして宇宙的。彼はいかにして殺人者となり、そして伝説の男となったのか? 絶対に解けるはずのない謎解きに、ミステリマニアの変人令嬢ダイアナが挑むのだが……!? 黄金時代の香り漂うSFミステリ。(早川書房より引用)


第6位『ジャック・グラス伝』は、SF+ミステリーの読み味。人口数兆に達した人類は太陽系全域に居住し、ウラノフ一族が独裁により民衆を厳しく統制していた。革命家のジャック・グラスがウラノフに対抗すべく暗躍する物語。


第一部はSF要素が強く、ミステリー要素が増えるのは、第二部以降。第三部では信じられないくらいセンチメンタルなロマンスに移行します。ストーリー運びに飛躍があり過ぎる感じもしましたが、何でもありのSF設定をしっかり活かしたダイナミックで楽しい作品。

5位 黒い睡蓮

モネの“睡蓮”で有名な村で発生した、奇妙な殺人事件。殺された眼科医は女好きで、絵画のコレクターでもあった。動機は愛憎絡み、あるいは絵画取引きに関する怨恨なのか。事件を担当するセレナック警部は、眼科医が言い寄っていた美貌の女教師に話を聞くうちに、彼女に心惹かれていく。一方、村では風変りな老女が徘徊し…。『彼女のいない飛行機』で人気を博した著者の傑作ミステリ。(集英社文庫より引用)


第5位『黒い睡蓮』は、巧妙な仕掛けのあるフレンチミステリー。ばらばらに思われていた事柄が一本の線に繋がる感の味わえる作品です。


モネの睡蓮で有名な村ジヴェルニーで起こった殺人事件を軸に物語は進んでいきます。モネの話もたくさん出てくるので教養小説的な面もありますが、そんなこと全てが吹き飛ぶくらいの破壊力…読後感もとても良かったです。モネについて簡単な知識を持ったうえで読んむとより親しみやすいですよ。

4位 湖畔荘

ロンドン警視庁の女性刑事が、女児を置き去りにして母親が失踪というネグレクト事件に関わり問題を起こし、謹慎中にコーンウォールの祖父の家近くで、打ち捨てられた屋敷?湖畔荘を偶然発見する。そして70年前にそこで赤ん坊が消える事件があり、迷宮入りになっていると知る。興味を抱いた刑事は謎の赤ん坊消失事件を調べ始めた。かつてそこで何があったのか? 仕事上の失敗と自身の問題と70年前の事件が交錯し、謎は深まる!(東京創元社より引用)


4位の『湖畔荘』は、1930年代と2000年代のイギリスを舞台にしたミステリー。湖畔荘という屋敷で、1933年の夏祭りの夜に起こった幼児失踪事件をめぐる物語です。


過去と現代が目まぐるしく替わり、回想シーンも多いので時間軸がグラグラ、過去と現在を行き来する物語は数多いですが、本作ではさらにそれぞれが複数の視点にコロコロと入れ替わります。そのため物語はじりじりとしか進まず、それがじれったくて先が知りたくてページを捲る手が止まりませんでした。1つずつ潰して行く推理、そして最後はグランドフィナーレ…読後はすばらしく気持ちがいい!とても素敵な作品です!

3位 東の果て、夜へ

十五歳の少年イーストは生まれて初めてLAを出た。これから人を殺しに行くのだ。標的の裏切り者は遠く離れたウィスコンシンに旅行中で、法廷に立つため来週戻ってくる。その前に始末しろという所属組織の命令だった。イーストに同行するのは、殺し屋である不仲の弟をはじめとした少年たち。崩壊の予感と軋轢を抱えながら、二〇〇〇マイルに及ぶ長い旅が始まる。孤独なる魂の彷徨を描いて絶賛を浴びたクライム・ノヴェル。
(早川書房より引用)


第3位は、黒人少年達のギクシャクとしたロードノベル『東の果て、夜へ』です。LAで麻薬斡旋所見張り役をしていたイーストは、警察の手入れが切っ掛けで、仲間3人と共に2千マイルも東のウィスコンシン州で判事殺害を指示され向かいます…。


あとにした西は振り返らずに、光景がただ流れていきます。無口で普段子供らしい所を見せないだけに、初めて見る雄大な景色に心を奪われる様子や、一人になって抑えきれず泣きだす姿など、イーストが稀に見せる15歳の少年らしさが痛切。イースト目線から離れるある場面もとても印象的でした。これは映像にしたら映えそう!

2位 13・67

現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の本格ミステリー。どの作品も結末に意外性があり、犯人との論戦やアクションもスピーディで迫力満点。本格ミステリーとしても傑作だが、雨傘革命(14年)を経た今、67年の左派勢力(中国側)による反英暴動から中国返還など、香港社会の節目ごとに物語を配する構成により、市民と権力のあいだで揺れ動く香港警察のアイデェンティティを問う社会派ミステリーとしても読み応え十分。 (文藝春秋より引用)


第2位は、大傑作との呼び声も高い全6編からなる本格ミステリ連作短編集『13・67』。香港の警察官クワンを主人公にして、2013年を舞台にしたストーリーから徐々に遡って行き最後は1967年と歴史をさかのぼる形で書かれています。上質な本格ミステリとしても、変わり行く香港社会を描いた小説としても、主人公の数奇な一生を辿る物語としても、とにかく面白い!あらゆるミステリージャンルの垣根を越えた傑作『13・67』についてはこちらで詳しくご紹介しています。

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1位 フロスト始末

今宵も人手不足のデントン署において、運悪く署に居合わせたフロスト警部は、強姦・脅迫・失踪と、次々起こる厄介な事件をまとめて担当させられる。警部がそれらの捜査に追われている裏で、マレット署長は新たに着任したスキナー主任警部と組み、フロストをよその署に異動させようと企んでいた…。史上最大のピンチに陥った警部の苦闘を描く、超人気警察小説シリーズ最終作。(東京創元社より引用)


強豪を抑えて堂々の第1位は、『フロスト始末』です。こちらシリーズ最終章。下品で口は悪いし、立て続けに事件は起こるのにさっぱり解決の目途も立たない…決して敏腕でも正義漢でもないフロスト警部。


今作、デントンへやって来たのは最低最悪とも言うべき主任警部で、フロストはこれまでのツケを払わされるかのごとくいきなりのピンチ、デントン署から追放されるかもという危機が冒頭からちらつきます。そんな中、誘拐、連続少女強姦殺人、脅迫、バラバラ死体と次々に起こる大小様々な事件を抱えて完全にキャパオーバーとなりヘマばかり。


窮地に次ぐ窮地をなんとかしのぎきり、最後の最後では大逆転、やっぱりフロストはこうでなくちゃ、とニヤリとしてしまいます。いろんな事件が脈絡なく発生しながら、なんとなく一つの作品にまとまってしまう独特の作風にあらためて感心しました。著者死去とのことで続編が無いのが本当に残念です。

あとがき

このミステリーがすごい!2018年版【海外編】ベスト10作品をご紹介しました。うーん、どれもベスト10入り納得の傑作揃いでしたね。ちなみに海外11位以降は、

11位 コードネーム・ヴェリティ
12位 ハティの最期の舞台
13位 暗殺者の飛躍
14位 約束
15位 湖の男
16位 月明かりの男
17位 スティール・キス
18位 書架の探偵
18位 ソニア・ウェイワードの帰還
20位 悪魔の星
20位 眠る狼

となっています。気になる作品が見つかれば是非読んでみて下さいね!

おすすめのミステリー小説 50選!


このミステリーがすごい!2018年版【国内編】ベスト10作品の紹介

このミステリーがすごい!2018年版が発売されましたね。毎年、宝島社から出版されている、国内・海外の今もっとも面白いミステリーが集結した『このミス』。今回は国内編の上位10作品についてご紹介したいと思います。


2019年版はこちら

【国内篇】このミステリーがすごい 2018年版ベスト10作品の紹介


それではこのミステリーがすごい!2018年版で発表されたベスト10作品を思う存分堪能してくださいね!表記はタイトル、あらすじ、感想の順になっています。それでは第10位から順にご紹介していきたいと思います。海外編ベスト10入り作品についてはこちら。

このミステリーがすごい!2018年版【海外編】ベスト10作品


10位 開化鐵道探偵

明治十二年晩夏。鉄道局技手見習の小野寺乙松は、局長・井上勝の命を受け、元八丁堀同心の草壁賢吾を訪れる。「京都‐大津間で鉄道を建設中だが、その逢坂山トンネルの工事現場で不審な事件が続発している。それを調査する探偵として雇いたい」という井上の依頼を伝え、面談の約束を取りつけるためだった。井上の熱意にほだされ、草壁は引き受けることに。逢坂山へ向かった小野寺たちだったが、現場に到着早々、仮開業間もない最寄り駅から京都に向かった乗客が、転落死を遂げたという報告を受ける。死者は工事関係者だった!現場では、鉄道工事関係者と、鉄道開発により失業した運送業者ら鉄道反対派との対立が深まるばかり。そんな中、更に事件が…。( 東京創元社より引用)


第10位『開化鐵道探偵』は、文明開化の時代の本格ミステリ。探偵は元八丁堀で助手は鉄道技手見習い、日本版ホームズとワトソンといった感じです。


一見難しそうな印象をうける本作ですが著者が鉄道会社勤務というだけあって分かりやすく説明してくれるので、かなり読みやすくなっています。犯人を導き出す過程がとても論理的、すごいトリックがあるわけでも、奇抜な展開があるわけでもなく派手さはないのですが、事件の規模に比して真相は闇が深い!明治の文明開化時代の時代背景を味わいながら、まったりと楽しめる作品です。

9位 盤上の向日葵

埼玉県天木山山中で発見された白骨死体。遺留品である初代菊水月作の名駒を頼りに、叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志していた新米刑事・佐野のコンビが捜査を開始した。それから四か月、二人は厳冬の山形県天童市に降り立つ。向かう先は、将棋界のみならず、日本中から注目を浴びる竜昇戦の会場だ。世紀の対局の先に待っていた、壮絶な結末とは―!?(中央公論新社より引用)


第9位『盤上の向日葵』は、骨太な将棋ミステリー。名駒という将棋の駒と共に埋められた遺体の遺棄事件を追う刑事と異例の天才棋士の幼少期、2つの時間軸を交互に描きどう交わるのかを楽しむ作品。


将棋に関してほとんど素人の私でも臨場感あふれる対局模様と、最後までどこへ行きつくのかという焦燥感で凄く楽しめましたし、題名の意味の切なさも心に残る作品でした。エンディングはまるで映画の様で味がありましたよ!

8位 かがみの孤城

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 (ポプラ社より引用)


そして8位は、辻村深月さん『かがみの孤城』些細なことで、学校での居場所を無くし、行けなくなってしまった少女こころが主人公。部屋の鏡の中に引き込まれ、出会った同じように学校に行けない少年少女たちと…あっという間に物語の世界に入り込んでしまいます。


最後の100ページくらいからは鳥肌がたちっぱなし。特別でない普通の子をこんなに素敵な物語にする力のある辻村さんはやっぱり凄い!色々な世代の人に読んでもらいたい作品です。

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7位 遠縁の女

『機織る武家』血の繋がらない三人が身を寄せ合う、二十俵二人扶持の武家一家。生活のため、後妻の縫は機織りを再開する。『沼尻新田』新田開発を持ちかけられ当惑する三十二歳当主。実地検分に訪れた現地のクロマツ林で、美しい女に出会う。『遠縁の女』寛政の世、浮世離れした剣の修行に出た武家。五年ぶりに帰国した彼を待っていたのは、女の仕掛ける謎―。(文藝春秋より引用)


第7位の『遠縁の女』、基本的には江戸後期の武士の姿を描いた3つの中編からなるちょっと変わった味わいの時代小説。武家の女性とそれを取り巻く社会がテーマでどの短編にも女性に惑わされたり、やり込められたりする武士が登場します。


その当時を生きた人々の息遣いが聞こえてくるようで、別に物語に大きな起伏があるわけではないのですが、読後には余韻にひたっていること間違い無し!味わい深い作品です。

6位 狩人の悪夢

人気ホラー作家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、右手首のない女性の死体が発見されて…。臨床犯罪学者・火村と、相棒のミステリ作家・アリスが、悪夢のような事件の謎を解き明かす!(KADOKAWAより引用)


第6位『狩人の悪夢 』は、25年も続く安定の火村・アリスシリーズ長編。今回のテーマは悪夢、ベストセラー作家の近くでおこった殺人事件に火村とアリスが挑みます。手首の切り取られた遺体、夜な夜な徘徊する夢遊病者、必ず悪夢を見ると云われている部屋…怪奇ムードの漂う設定、凄惨な事件を扱っているのに読後は柔らかい気持ちになる本。


シリアスな現場でのところどころにある火村とアリスの小ボケにも癒されます。派手さや意外さは少ないですが、安心して読めるミステリー。とはいえ、最後の章で全部明らかになる爽快感は最高ですよ!

5位 いくさの底

戡定後のビルマの村に急拵えの警備隊として配属された賀川少尉一隊。しかし駐屯当日の夜、何者かの手で少尉に迷いのない一刀が振るわれる。敵性住民の存在が疑われるなか、徹底してその死は伏され、幾重にも糊塗されてゆく―。善悪の彼岸を跳び越えた殺人者の告白が読む者の心を掴んで離さない、戦争ミステリの金字塔!( KADOKAWAより引用)


第5位『いくさの底』は、日本人の少尉を殺したという衝撃の告白から幕が上がります。一体誰がなぜ…?舞台設定も何もかもが戦場でなければ成り立たない、まさに戦争ミステリー。


日本軍、村人、支那軍、華僑の間の歪んだ関係は、硬質な文章にも煽られて緊張感たっぷり。戦闘シーンはありませんが、著者がまるで戦争を体験したかのようなリアリティのある描写で表に出て来ない戦争の恐ろしさを感じ物語に引き込まれました。ミステリーとしても物語としてもベスト5入り納得の傑作です。

4位 ミステリークロック

犯人を白日のもとにさらすために――防犯探偵・榎本と犯人たちとの頭脳戦。様々な種類の時計が時を刻む晩餐会。主催者の女流作家の怪死は、「完璧な事故」で終わるはずだった。そう、居あわせた榎本径が、異議をとなえなければ……。表題作ほか、斜め上を行くトリックに彩られた4つの事件。( KADOKAWAより引用)


貴志さんの作品の中で最も本格テイストの溢れる「榎本シリーズ」。防犯コンサルタントの榎本とトンチンカンな推理で場の緊張をゆるくする女弁護士・青砥が密室殺人事件に挑みます。第4位の『ミステリークロック』は、①ゆるやかな自殺②鏡の国の殺人③ミステリークロック④コロッサスの鉤爪の「時間」が鍵となる4編からなる短編作品集。


私にはトリックが難解で読了まで時間がかかってしまいましたが、ぶっとびっぷりを楽しむのもいいと思います。本格ファンには堪らないと思いますが、あくまでも個人的に一般読者にはちょっと敷居が高いなと感じた作品。

3位 機龍警察 狼眼殺手

経産省とフォン・コーポレーションが進める日中合同プロジェクト『クイアコン』に絡む一大疑獄。特捜部は捜査一課、二課と合同で捜査に着手するが何者かによって関係者が次々と殺害されていく。謎の暗殺者に翻弄される警察庁。だが事態はさらに別の様相を呈し始める。追いつめられた沖津特捜部長の下した決断とは―生々しいまでに今という時代を反映する究極の警察小説シリーズ、激闘と悲哀の第5弾。(早川書房より引用)


第3位は、内部の駆け引きや各セクションの足の引っ張り合い、事件の処理の仕方など警察小説として読み応え抜群!『機龍警察 狼眼殺手』です。長編が3作連続ベスト10入りしている機龍警察シリーズの最新作。量子通信網の利権絡みで中国マフィアの大物が謎の凄腕暗殺者・狼眼殺手に暗殺されます。復讐に燃える中国黒社会から日本に放たれる凄腕の武闘派たち…。


シリーズ5作目ともなると、登場人物のバックグラウンドも安定していて、それぞれの人間模様がきちんと深みをもって展開されます。今作では龍機兵戦がないのには驚きましたが代わりに龍機兵の根幹的な部分に関わるお話が…。ということで第1作から順に読むのが一番!本当に面白いシリーズです。

2位 ホワイトラビット

楽しさを追求したら、こういう小説になりました。最新書き下ろし長編は、予測不能の籠城ミステリーです! 仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていく――。(新潮社より引用)


第2位は、伊坂 幸太郎さんの『ホワイトラビット』。白兎事件という籠城事件の関係者たちによる物語。多彩な登場人物、スピード感、「えっ」という場面描写の連続、冒頭から伊坂ワールド全開です。


場面展開や時系列の複雑さも愉快な語り手に導かれるまま読んでいけば違和感なく繋がります。主要人物の殆どが法を犯しているのですが徹底的に悪い人だけ滅びる爽快感も最高!ワクワク・ニマニマの止まらない傑作です。

1位 屍人荘の殺人

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。緊張と混乱の一夜が明け―。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった…!!究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?!(東京創元社より引用)


そして第1位は今村昌弘さんの『屍人荘の殺人』。この状況下での密室殺人は、まさに極限。見取り図があったり登場人物の紹介があったりと期待が膨らむ形で読み始めたら、今までにない形でクローズドサークルが成立。あれを思う存分に使うとは思いもよりませんでした。


世界が一転するような鮮やかなトリックというよりは、複数の謎を1つ1つ丁寧に解き矛盾のない答えを探すというテイストのミステリで、さり気ない伏線の張り方も巧い!流行りにも乗っかっていて緊迫感もあり、めちゃくちゃ楽しかったです!

あとがき

このミステリーがすごい!2018年版【国内編】ベスト10作品をご紹介しました。うーん、どれもベスト10入り納得の傑作揃いでしたね。ちなみに国内11位以降は、

11位 ブルーローズは眠らない
12位 地獄の犬たち
13位 あとな野となれ大和撫子
14位 タフガイ
15位 鮎川哲也探偵小説選
16位 帝都大捜査網
17位 いまさら翼といわれても
18位 マツリカ・マトリョシカ
18位 天井の葦
18位 月の満ち欠け

となっています。気になる作品が見つかれば是非読んでみて下さいね!

おすすめのミステリー小説 50選!

華文ミステリー『13・67』は読みごたえ抜群の大傑作!


連作短編の構成に凝らされた緻密な仕掛けにおどろくとともに、香港返還という歴史的事件を俯瞰しながら香港の悲哀を描き出した、『本格ミステリと社会派ミステリの融合』を史上最も体現しているといっても過言ではない小説が、ツイッターなどSNS上で大絶賛され話題となっていますね。


ここまで凄い凄いと言われている短編集ってあまりないような気がします。今回は、ミステリ史にその名を刻むこと間違いなしの大傑作華文ミステリー『13・67』をご紹介していきたいと思います。

作者『陳 浩基』さんについて

『13・67』の作者である『陳 浩基』さんは香港出身で「 島田荘司推理小説賞 」を受賞してデビュー。日本のミステリにも造詣が深く、愛読作家には、横溝正史、京極夏彦、清涼院流水さんを挙げているとのことです。


2015年の台北国際ブックフェア賞など複数の文学賞を受賞し世界12カ国から翻訳オファーを受け、各国で刊行中。台湾では新作の『網内人』も話題となっているそうですよ。

陳浩基(ちん こうき、サイモン・チェン、1975年 - )は香港の推理作家、SF作家、ホラー小説作家。男性。香港や台湾で作品を発表している。台湾推理作家協会の海外会員。(ウィキペディアより引用)


『13・67』の感想

現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の本格ミステリー。どの作品も結末に意外性があり、犯人との論戦やアクションもスピーディで迫力満点。(文藝春秋より引用)


警察小説と本格ミステリの融合具合が最高な一冊。香港を舞台に「天眼」の異名を持つ刑事クワンが超人的な推理能力を魅せ大活躍、息詰まる展開に興奮しっぱなしでした。


そんな名刑事の功績を逆年代記で描く連作短編。雨傘革命前夜の2013年から始まって、1967年の67暴動へと遡る形式を取り、香港の激動の歴史が描かれていて各時代の香港の雰囲気を間近に感じることができます。


各時代ごとに6つの事件の顛末が書かれているのですが、ひとつひとつのクオリティが1編ずつ本にしてもいいくらいとても高い!そして連作としての仕掛けは、最後の一文で再び第1話を再読する幸せを味合わせてくれます。最後の驚きは、映像ではなく文字だからこそな感動もあります。もう超おすすめの大傑作!もちろん翻訳にも違和感なく読み進められました。続いて各編毎にご紹介していきます。

『13・67』各編について

それではここから各編についてあらすじを含めてそれぞれご紹介していきたいと思います。タイトル横の年号は作中での時代背景です。

※できる限りネタバレのないようにしているつもりですが察しのいい方には微妙なところもあるかもしれませんのでご注意下さい。

1.黒と白のあいだの真実 (2013年)

昏睡した名探偵の脳波を使って謎解きをするという、異色のアイデア。末期ガンに侵され言葉を発することすら出来ない状態の名探偵・クワンは、病室で機械に繋がれています。


機械は画面と音で「Yes」・「No」の意志だけを伝え、この意思表示によって事件を解決しようと言うのです…。あらすじだけでもうワクワクが止まりません。病人に繋がれた機械が放つ音だけで安楽椅子探偵をするという設定も抜群に魅力的、どこに向かうのか見守っていると…二転三転また四転と前代未聞のギミックにはじめからいきなり感情の揺さぶられる衝撃です。

2.任侠のジレンマ (2003年)

そしてここからが実質のメイン、名探偵クワンの独壇場が始まります。正義感の塊であるロー警部、裏社会の黒幕・左漢強が率いる『洪義聯』というマフィアを捕まえたいと考えますが、その作戦に失敗してしまいます。


その矢先、左漢強が運営する芸能事務所所属のアイドル・唐穎が殺害されるシーンを撮影した動画が警察に届きます。ロー警部は、雪辱を遂げるため果敢な作戦を進めるのですが…その裏で動くクワンの本当の狙いとは?


いかにも香港らしいマフィアもの。刑事が巨悪に挑む格好良さはもう最高、前話では寝たきりだったクワンですが、この章では現役時代での凄さを思い知らされました。

3.クワンのいちばん長い日 (1997年)

クワンが警察を定年退職する前の最後の出勤日。部下たちが彼の退職を祝おうとした矢先に半年間鳴りを潜めていた連続硫酸爆弾事件がみたび起こります。さらに交通事故、マンション火災、そして8年前にクワンが捕らえた宿敵の脱走と次々と事件の一報が届きます。


同時並行型と思わせておきながら、クワンの推理でそれらがすべて真犯人の計略であったことが明らかになります。詰め込みすぎな事件を見事な構成力でまとめあげていて行き着く先が全く想像外!伏線がきちんと提示されていたことに後から気付き驚かされました。


ここまで3話は、いかにも本格ミステリらしい大胆なトリックと犯人との知恵比べがたっぷり楽しめます。

4.テミスの天秤 (1989年)

こちらは香港警察内部の対立を描いた、内幕もの。警察は指名手配犯の石本勝を挙げるため、雑居ビルに潜む犯人を監視するところから物語は始まります。万全の張り込み体制にも関わらず石の一味は突如としてビルから逃走を図ります。猪突猛進で知られる刑事は新米のローらとともに突入を決断。大勢の市民を巻き込んだ大惨事に発展してしまった激しい銃撃戦の裏に隠された、2重の犯罪をクワンが暴きます。


前半では、スピーディーな展開とまるで映画を小説化したようなアクション描写を思い切り楽しめます。そして後半はミステリーパート、大胆不敵な細部にわたる仕掛けがとにかく凄い!あまりに狡猾な犯人を更に上回るクワンも頼もしいばかりです。

5.借りた場所に (1977年)

短編が進むごとに社会派の一面、特に香港警察の汚職濃度が増していきます。借金返済のため香港に出稼ぎに来たグラハムら英国人一家。廉政公署で警察の腐敗を暴く彼のもとに、息子を誘拐したという脅迫電話が届きます。


犯人の指示に振り回される中、クワンは善悪の逆転するようなある不可解な行動を取ります…。誘拐犯対警察、緊迫感とスピード感があってコンゲームものとしてもやっぱり傑作!

6.借りた時間 (1967年)

世間では反英暴動が頻発し、香港警察は暴力と収賄で腐りきっていました。貧困にあえぎながらその日暮らしをする私は、隣人が爆弾テロを計画していることを知ります。知人の警官に事情を話すと、彼は一般人の私の知略を見込み、強引に捜査協力を依頼します…。


これまでの短編が三人称だったのに対して、突然本編の語り手は『私』となります。ほかの作品とはまた違った感覚で、こんな作風もできるのかと堪能していたのも束の間、ある人物の驚くべき姿が明かされて物語は幕となります。驚きが最大限の効力を発揮するこのラストにおける破壊力。全体をとおした上での、この終わりに満点以外考えられません。完璧です。


あとがき

古今東西の名作と肩を並べる完成度で今後、語り継がれること間違いなしの大傑作海外ミステリー『13・67』をご紹介してきました。


名探偵の人間離れした活躍を描く名探偵小説であると同時に、犯人の凄すぎる策略を描いた名犯人小説でもあって、さらに歴史小説のような重厚さや本格ミステリの緻密な仕掛けと、そこから描き出される香港の悲哀など様々な余韻で読者を楽しませてくれます。


華文ミステリの歴史的傑作といえる本作、評判を見て少しでも気になってる方は絶対に読む事をおすすめします!!


おすすめのミステリー小説 50選!


おすすめのバトル・アクション漫画 白熱したバトル描写が面白い!


今回は、おすすめのバトル・アクション漫画をご紹介していきたいと思います。せっかくなのでジャンル別にご紹介していきたいのですが、いざジャンル分けしようと思うとこれが結構難しい…どれも格闘要素もファンタジー要素も、異界要素だってあるようなないような…ということで私個人の見解でザックリとジャンル決めしていますのでご了承下さい。

はじめに

バトル・アクション漫画といえば『ONE PIECE』や『HUNTER×HUNTER』、『進撃の巨人』や『DRAGON BALL 』などなどビッグネームが並ぶ激戦ジャンルですね。言ってみればおすすめ作品だらけ。そんな中から今回は、格闘モノ、ガンアクション、SF・ファンタジー・時代モノ、異界モノとジャンル別に是非みなさんに読んで見てほしいおすすめのバトル・アクション漫画をご紹介していきたいと思います。また参考として、作品毎にAmazon、BookLive、楽天ブックスのレビュー評価と総合評価を掲載しておきましたので参考にしてみて下さい。評価の高い作品はやっぱり素直に面白いです!気になる作品が見つかれば是非気軽に手に取ってみてくださいね!

おすすめのバトル・アクション漫画

それではおすすめの作品を厳選してご紹介していきたいと思います!あらすじと簡単なレビューも記載していますので参考にして頂ければ幸いです。ごゆっくりお楽しみ下さい。

格闘・剣術


まずは格闘・剣術のバトル漫画でのおすすめ作品をご紹介します。拳×拳、単純明快だからこそ熱くて面白い!

刃牙道


出典:©︎ 刃牙道

地上最強の生物である父・範馬勇次郎との史上最大の親子喧嘩を終え、範馬刃牙は今…!? 一方、強き者に焦がれる徳川翁は“神に背く”空前の大実験を執り行う!! シリーズ第四章、ついに開幕!! 今、強さの歴史が変わるッッ!! 少年チャンピオン・コミックスより引用)

Amazon 2.5 BookLive 4.0 楽天 4.5 総合 3.67

まずはおなじみ『刃牙』シリーズの第四章『刃牙道』。もう最強同士が決着してしまってる以上、このくらいファンタジーに傾いた方が面白い!と思える展開。刃牙と言えば、出落ちが基本、軍人、ヤクザ、義兄弟、死刑囚、中国拳法、古代原人ときて今回は日本が誇る最強の“剣豪”宮本武蔵のクローン登場です。


相変わらずな無茶苦茶な展開ですが、どうなるかわからない感じで気になるのも相変わらず。Amazonの評価は2.5ポイントと低めに感じますが、『刃牙愛』からの苦言が多いようなのであまり気にしなくても良いと思います。どれだけ予想外な展開が待ち受けているかを思いきり楽しみましょう。


ケンガンアシュラ


出典:©︎ ケンガンアシュラ

家庭は崩壊、仕事はできない56歳のダメリーマン、山下一夫(ヤマシタカズオ)が会社の会長から突然呼び出された!弱気なおっさん・山下一夫は、日本経済の「裏」を知る――企業が巨額の利益を賭けて、雇った闘技者の殴り合いでビジネスを決める格闘試合の存在。…その名も「拳願仕合(ケンガンジアイ)」!!!!そして一夫に命じられた任務は――自社の闘技者、暴力を体現したような若者・十鬼蛇王馬(トキタオウマ)の世話係!!!果たして、ダメリーマン・山下一夫の運命は…!!??暴力×企業×人間ドラマ。男たちは「なぜ」闘い、拳で「何」をつかむのか?「究極」の格闘エンターテインメントが今、始まるッ!!!!(裏少年サンデーコミックスより引用)

Amazon 3.7 BookLive 4.5 楽天 5.0 総合 4.40

裏サンデーで連載中の格闘モノ。江戸時代から続く裏企業スポーツ・拳願仕合(企業・商人たちが巨額の利益を賭け、雇った闘技者を闘わせる素手格闘仕合)を軸に、個性的な格闘家達の死闘が描かれています。


企業間の争いを秘密裏にステゴロで決めて巨額を動かす。面白い設定に加えてこちらの漫画には魅力のあるキャラクターがたくさん出てきます。1人1人の個性が強くて、というか強すぎて主人公・王馬が霞むレベル。


そしてもう1人の主人公ともいえる冴えないサラリーマンの山下一夫、王馬の世話役となる枯れたおじさんを奮い立たせる爽快感もたまりません!勢いこそがすべてのゴリゴリの格闘漫画、単純明快だからこそ熱いし面白い!魅力的な女性キャラも多いので恋愛方面もちょっと気になるおすすめ漫画ですよ。


高校鉄拳伝タフ


出典:©︎ 高校鉄拳伝タフ

キー坊こと宮沢熹一は見た目はヤンキーでケンカも大好きだが、実は純情でお人好しな高校生。ある日、キー坊は、トラックをたった5分で解体した“阿修羅のように”強い男・黒田光秀と出会う。黒田と戦うため、特訓を始めるキー坊だが…!?(ヤングジャンプ・コミックスより引用)

Amazon 4.0 BookLive 3.0 楽天 -.- 総合 3.50

格闘技漫画の名作、最初の頃は不良同士のケンカばかりで如何にも不良漫画といった感じでしたが、黒田光秀の登場で一気に格闘系に。


主人公の宮沢熹一は、史上最強の実戦的古武術『灘神影流活殺術』継承者の家庭に生まれた高校生。熹一があらゆるスポーツ、武道経験者を相手に戦いを挑みます。殺伐とした命のやりとりも彼の気の良いキャラに救われます。主に日常生活での闘いを描いているので、リアルで感情移入しやすいですよ!


ワンパンマン


出典:©︎ ワンパンマン

一撃必殺! 強くなりすぎて、どんな凶悪な怪人もワンパンチで倒してしまうヒーロー“サイタマ”。平熱系最強ヒーローの伝説開幕!! WEB界のカリスマと超絶絵師タッグが贈る、日常ノックアウトコミック!!(ジャンプコミックスより引用)

Amazon 4.1 BookLive 4.0 楽天 4.5 総合 4.20

「趣味でヒーローをやっているものだ」まともにヒーローをやるのが馬鹿馬鹿しくなる漫画。いきなり雰囲気が変わりましたが拳で勝負してるから格闘系でいいですよね。


強くなりすぎて、どんな凶悪な怪人もワンパンチで倒してしまうヒーロー『サイタマ』、その無感情さに思わず吹き出してしまいます。ワンパンチでどんな敵も倒す、絶対的に強い男の話。と言う話は結構みんな考えると思いますが、実際に描く人はそう居ませんよね!ONE氏の原作を村田先生のダイナミックな構図、迫力のある絵でしっかり楽しめますよ!


無限の住人


出典:©︎ 無限の住人

父を殺し、母を攫(さら)った剣客集団『逸刀流(いっとうりゅう)』に復讐を誓う少女・浅野 凜(あさのりん)は、「百人斬り」の異名を持ち、己の身体に血仙蟲(けっせんちゅう)という虫を寄生させることで不死の肉体を持った剣士・万次(まんじ)を用心棒として雇い、逸刀流の統主である宿敵・天津影久(あのつかげひさ)を追う旅を始める――。(KCデラックス アフタヌーンより引用)

Amazon 4.5 BookLive 4.0 楽天 -.- 総合 4.25

23年も前の漫画ですが知る人ぞ知る名作。血仙蟲を額に埋め込んだ不死身の卍という男、100人斬りの異名を持ち二刀流プラスいくつもの刀剣を身体に仕込んでいます。でも割とあっさりと斬られます。そして痛そう。格好つけても全部瀕死になって、それでも泥臭く勝利していく姿に魅せられます。


独特の絵や効果音、そして人を斬ったときの派手で絵画的な一枚絵が素晴らしく個性的。全体的にカラッとしたところがないので痛快とは言い難いのですが、この湿った味わいがこの作品の魅力です。


ガンアクション


お次は、結構過激な描写多め、おすすめのガンアクション漫画です。クレイジーな空気を楽しみましょう。

GUNSLINGER GIRL


出典:©︎ GUNSLINGER GIRL

公益法人社会福祉公社――表向きは障害者支援のための首相府主催の組織だが、その実態は瀕死の少女たちに機械の身体を与え、その少女たちに政府に敵対する勢力を秘密裏に排除させる諜報機関だった。一家殺害事件の生き残りの少女・ヘンリエッタは「条件付け」という洗脳処理により、以前の記憶を封印され「義体」となる。そして元軍人のジョゼ・クローチェは、テロリストに家族を殺され、復讐心に捕らわれ社会福祉公社に入り「担当官」となる。義体と担当官、二人はつねに行動を共にし、銃を手にテロリストの戦いに身を投じていく。架空のイタリアを舞台とした、少女と銃、そして周囲の大人たちが織り成す群像劇。(電撃コミックスより引用)

Amazon 3.8 BookLive 4.0 楽天 4.3 総合 4.03

悲惨な境遇に追い込まれた女の子が、命と引き換えに手に入れたのはサイボーグの肉体。身体を改造され精神的に洗脳を行う事によって、一種の兵器として政府に利用されます。まあまあ悪趣味な設定ですよね。


描かれているのは胸のすくような大活劇でも感動を誘うような奇跡の物語でもなく社会の部品として生きる少女の日常ですが、それだけで面白い!あまり健全な精神状態で見るものではないですが、温かい気持ちにはどうしたってなれませんが、おすすめの漫画。


ガン×クローバー


出典:©︎ ガン×クローバー

特別な警護が必要な要人の子弟とその護衛だけが通う特殊な学校・三門高校。三門高校の生徒で傭兵の早間守人は、多重人格症の転校生・奈々世一葉の護衛任務を命じられた。守人は、奈々世を守りきることができるのか?(ドラゴンコミックスエイジより引用)

Amazon 4.3 BookLive 4.0 楽天 -.- 総合 4.15

世界中から付け狙われる少女・一葉を守ることになったのは、冴えないようでいて実は凄腕傭兵の守人。警護の対象となる一葉も七人の人格を持つ危険な多重人格少女。ザックリといえば主人公がヒロインの護衛をしながら学園生活を謳歌している物語です。


多重人格、傭兵、オッドアイ、腕に謎の文字書き始めたり…などの要素をてんこ盛りにした学園ものアクション、ちょっとだけラブコメ要素もありますよ。好きな人には堪らない漫画だと思います。


デストロ246


出典:©︎ デストロ246

青年実業家の透野隆一は南米のマフィアから2人の美少女殺し屋を買い付ける。翠と藍と名付けられた彼女たちは透野の命令で、彼の妻子を殺した人間を狩ることに。だがその道行きで別の殺し屋女子たちと出会い、事態は思わぬ方向へ加速していくのだった…。( サンデーGXコミックスより引用)

Amazon 4.8 BookLive 4.0 楽天 4.4 総合 4.40

殺し屋の女の子がバシバシ人を殺しまくるお話。魅力的なキャラクターがいくつものグループに分かれて火花を散らしてる感じだけでもうワクワクしかありません。


主要なキャラはほぼ女の子、様々な見た目だったり性格だったりしますが、みんな共通して強くて危険!殺伐としたシビアな肉弾や銃撃戦と、クレイジーな空気を楽しむにはもってこいの作品だと思います。万人におすすめできる内容とは言い難いですがエグいのもグロいのも大丈夫という方は是非一度読んでみて下さい!面白いですよー!


時代バトル漫画


人気の高い時代漫画でバトル展開のある作品をご紹介します。歴史に詳しければより楽しめる作品も多くありますよ。

鬼滅の刃


出典:©︎ 鬼滅の刃

時は大正時代。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変する。唯一生き残ったものの、鬼に変貌した妹・禰豆子を元に戻すため、また家族を殺した鬼を討つため、炭治郎と禰豆子は旅立つ!!(ジャンプコミックスより引用)

Amazon 4.1 BookLive 4.0 楽天 4.5 総合 4.20

鬼に家族を惨殺され、鬼の血を浴び鬼化した妹・禰豆子を元に戻すために、鬼殺の剣士を目指す炭治郎の物語。ジャンプ連載作品です。


正直、あらすじを読んで、ありきたりかなとか、この絵苦手と思う方もいるかもしれません。でもそんな感じで敬遠してる人はもったいない!シリアス要素もありつつ、独特の世界観やスピード感、物語の進み方やたまにあるシュールなギャグなど、笑いあり涙ありで心臓を掴まれることまちがいありません。是非とも一度は読んで欲しい超おすすめ作品。


ゴールデンカムイ


出典:©︎ゴールデンカムイ

『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!(ヤングジャンプコミックスより引用)

Amazon 4.6 BookLive 4.0 楽天 5.0 総合 4.53

明治時代の北海道が舞台、日露戦争において「不死身」と呼ばれた杉元佐一。かつての想い人である親友の妻のために、一攫千金を夢見て北海道に来た彼でしたが、アイヌの莫大な金塊が隠されているという話を聞かされます…。


バトルあり、ギャグあり、グルメありととにかく様々な要素をこれでもかと詰め込まれているのに、話はシンプルでテンポが良くとても読みやすい作品。設定もストーリーも説得力を持たせるだけの作者の知識と画力があります。面白くなる要素しかない大人気作品。ただ、結構グロ描写があるのでそこだけは注意が必要です。


ドリフターズ


出典:©︎ ドリフターズ

紀元1600年、天下分け目の関ヶ原……敵陣突破の撤退戦「島津の退き口」「捨てがまり」で敵将の首を狙うは島津豊久!! 生死の狭間で開いた異世界への扉……現在では無い何時か、現実では無い何処かへ、戦国最強のサムライは、新たな戦世界へ招かれる!! (ヤングキングコミックスより引用)

Amazon 4.2 BookLive 4.0 楽天 4.6 総合 4.27

コントの方ではなく漂流者としてのドリフターズをテーマにした漫画。異世界に送られた歴史上の英雄達が、ドリフターズ(漂流者)VSエンズ(廃棄物)として、国取り合戦を始めます。歴史上の人物が戦う系のストーリーもすっかり定着してきましたが、この作品は人選に作者のこだわりが感じられて結構好きです。


活躍した時代の違う歴史上の人物が出会ったり、ゲーム等でお馴染みのファンタジーな亜人種が出てきたりと何とも不思議な世界観ですが、この風呂敷の広がりっぷりが期待を高めます。SFに拒否反応がなくて、歴史に詳しければかなり楽しめる内容だと思いますよ!


ヴィンランド・サガ


出典:©︎ ヴィンランド・サガ

千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。そのなかにあってなお、最強と謳われた伝説の戦士が息子をひとり授かった。トルフィンと名づけられた彼は、幼くして戦場を生き場所とし、血煙の彼方に幻の大陸“ヴィンランド”を目指す!( アフタヌーンKC より引用)

Amazon 4.6 BookLive 4.5 楽天 4.2 総合 4.43

父親を殺され、ヴァイキングの元で修羅の道を生きることになるトルフィン。「修羅」だったトルフィンが、新天地ヴィンランドを目指しながら「人間」へと成長していくお話です。


西暦1000年ごろにスカンジナヴィア半島で暮らしていたヴァイキングを主題としているこの漫画では、住居や衣服などの生活様式も丁寧に描かれていて史実通りとは思いませんが、時代考証がしっかりしているものはやっぱり面白い!世界史ではほとんど出てこない所ですから、前知識無しで楽しめますよ。もちろん戦闘シーンの迫力もものすごいです。


SF・ファンタジー


SFアクション、バトルファンタジーのおすすめ漫画をご紹介します。

SERVAMP


出典:©︎ SERVAMP

高校1年生・城田真昼が道ばたで拾った一匹の可愛い黒猫・クロの正体は、「サーヴァンプ」という下僕の吸血鬼。しかも性格は超ひきこもりニート系。契約によってクロの主人となった真昼は、吸血鬼同士の争いに巻き込まれ戦うはめになるのだが……?(MFコミックス ジーンシリーズより引用)

Amazon 4.4 BookLive 3.5 楽天 -.- 総合 3.95

主人公が拾ったネコが実は吸血鬼で…から始まる吸血鬼と主従関係を結んでバトルをしていく物語。七つの大罪をベースにした個性的な吸血鬼たちの活躍が描かれています。


吸血鬼、主従、契約、鎖、七つの大罪など、女子が好きそうな、ちょっと厨二っぽい設定が盛りだくさん。一定距離離れられないとか、血を飲ませるとか、そういうのも好きだなー。アクションシーンはサラッと流しちゃう描き方なのがちょっと残念ですが、感動もあり、笑いもあり、でとても面白い作品です。


テラフォーマーズ


出典:©︎ テラフォーマーズ

「全く見た事のないものと出会う時、人間は人間ではいられない。」西暦2599年──。火星のテラフォーミングが進行し、その地表は一面の苔とある生物で覆われていた。そして、選ばれし15人の若者達は重要任務の遂行を期待され、有人宇宙船『バグズ2号』に搭乗し、火星へと向かう。かの地で彼らを待つ、想定外の進化を遂げた生物の正体とは…!?(ヤングジャンプコミックスより引用)

Amazon 3.8 BookLive 4.0 楽天 4.6 総合 4.13

火星を人間が住める環境にするため行われたテラフォーミング、火星にストロマトライト(地球上に酸素が増える元となった原始藻類)とGを放った…の500年後のお話。


まさかのGvs人類。次から次に人が惨殺されていきますが、Gのリアルな絵を見るより遥かにマシ。Gだけでなくいろんな虫が出てきますが、やっぱりGが一番気持ち悪い。設定も展開も強烈で面白いんですが虫が苦手な人はご注意下さい。


異界モノ


こちらもジャンルとしてはSFなんですが、その中でも異界を舞台にしたおすすめ作品をご紹介します。

ワールドトリガー


出典:©︎ ワールドトリガー

異次元からの侵略者「近界民」の脅威にさらされている三門市。そこに住む少し正義感の強い中学生・三雲修は、謎の転校生・空閑遊真と出会う。遊真の行動に振り回される修の運命は!?(ジャンプコミックスより引用)

Amazon 4.4 BookLive 4.5 楽天 4.9 総合 4.60

週刊少年ジャンプで連載のSFアクション。異界からの乱入者、しかも人間よりも大きくて能力も上。それに対抗する専門組織…と、物語の基本要素はかなり見慣れたものばかり。そんな中、謎の転校生・遊真の存在が異彩を放つ設定となっています。


どう見ても小さくて可愛い男子中学生なのに、車にぶつかっても怪我もなく車はヘコんでるという…異次元から来るネイバーもしょっぱな簡単に倒してしまいます。正義感の強い中学生だけどできないキャラの修と天真爛漫なスーパーキャラ・遊真の組合せは超魅力的!個人的に頭脳戦が大好きなのでお話の組み立てもトップクラスで大好物です。おすすめですよ!


血界戦線


出典:©︎ 血界戦線

紐育(ニューヨーク)崩壊後、一夜にして構築された都市・ヘルサレムズ・ロット。異界と現世が交わるこの魔都に於いて、世界の均衡を保つ為に暗躍する秘密結社が存在した!!(ジャンプコミックスより引用)

Amazon 4.2 BookLive 4.5 楽天 4.4 総合 4.37

かつてニューヨークのあった場所に異界と繋がるゲートが開き、異形の生き物や不可思議な現象が起こる世界が舞台。そこで世界の均衡を守るために暗躍する秘密結社ライブラと、特殊能力「神々の義眼」をもつ主人公レオの活躍を描くアクションもの。


絵柄のゴチャゴチャ感が勢いと混沌を現しているようで個人的には好きです。技名を叫んでから殴るというコンセプトも清々しくて逆に興味を惹かれた理由の1つ。個性派揃いのキャラクターと、壮大なストーリーが全10冊の中にぎゅっと詰め込まれているので、内容がとっても濃くなっていますよ。



まとめ

おすすめのバトル・アクション漫画をジャンル別にご紹介してきました。どれも本当に面白い傑作ばかりです!気になる作品があれば是非手に取ってみて下さいね。

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今回は、新作から名作まで間違いなく面白いので是非鑑賞してみて欲しい「おすすめのアニメ映画」を厳選してご紹介していきます。ジャンルはラブストーリー、青春もの、アクション、SF、ファンタジー、戦争ものまで幅広くなっていますが、ある程度ジャンル毎にまとめていますので好みの作品が探しやすくなっていると思います。どの作品も自信を持っておすすめできる素敵な作品ばかりです!気になる作品があれば是非鑑賞してみてくださいね。

おすすめの面白いアニメ映画

  • 掲載の順番はランキング形式ではありません。ある程度ジャンル分けしていますが同監督作品などはジャンルを問わず続けてご紹介しています。
  • 表記はタイトル・公開年・上映時間・あらすじ・感想の順です。


それではおすすめのアニメ映画を厳選してご紹介していきたいと思います。美しい映像や音楽、涙あり笑いありの珠玉のストーリーをごゆっくりとお楽しみ下さい。

秒速5センチメートル


出典: (C) 秒速5センチメートル
2007年【60分】

小学校の卒業と同時に離ればなれになった、遠野貴樹と篠原明里。そのとき、二人の間には二人だけの特別な想いが存在していた。しかし、無情にも時だけが過ぎてゆく……。そんな日々を重ねたある日、ついに貴樹は明里に会いに行くことを決意。訪れた約束の日、チラホラと舞う雪がスピードを増し、辺りを白く包んで行った……。


3話の短編からなっている新海誠さん作品。美しい映像と共に綴られる「時間」と「距離」の物語。それぞれの人生の流れるスピードがみんな違って、すれ違っていく様が切ない映画。ゆったりとした雰囲気がずっと続いてる感じで心地いいのですが、少年の日の恋をいつまで経っても引きずり続ける男の未練が描かれているという点で万人向けな作品ではない感じもします。浸りたい時用におすすめ。

言の葉の庭


出典: (C) 言の葉の庭
2013年【45分】

靴職人を志す15歳の高校生タカオは、雨が降るといつも学校をさぼって公園で靴のスケッチに熱中していた。そんなある日、彼は27歳のユキノと出会い、雨の日だけの再会を繰り返しながらお互いに少しずつ打ち解けていく。タカオは心のよりどころを失ってしまったユキノのために、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作ろうと決心する。


映像が素晴らしく美麗なこちらも新海誠さんの短編映画。ちょっと変わった2人が恋する物語なのですが、すごいテンポで進んでいくので、前半でこんなにまとまってしまって後半どうなるの!?と思っていたら、エンドロールが…。それまで静かだったのにいきなりブワーッと泣かせてくる作品です。

君の名は。


出典: (C) 君の名は。
2016年【107分】

1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。


新海誠さんの映画では珍しくハッピーエンドの作品。映像も今まで以上に緻密でキレイ。時間とか記憶とか、色々越えて再開するラストはやっぱり泣けます。良い意味で万人向けされているので新海さんの他の作品を見るならやっぱりこの作品からだと思います。ここまで話題になっているとハードルも上がりそうですが、やっぱりおすすめ!観ていない方は是非。

聲の形


出典: (C) 聲の形
2016年【130分】

西宮硝子が転校してきたことで、小学生の石田将也は大嫌いな退屈から逃れる。しかし、硝子とのある出来事のために将也は孤立し、心を閉ざす。5年後、高校生になった将也は、硝子のもとを訪れることにし……。


幼い頃いじめていた耳の聞こえない女の子へのいじめのせいでガキ大将だった主人公はクラスで孤立。学校に行かなくなった…。そして高校生になって再会し、いじめていた癖に今更という気持ちを抱きつつ徐々に彼女に惹かれていきます。同時期に上映された『君の名は。』の影に隠れてしまっていたのが勿体無いと思えた作品。聴覚障害なんて関係なく本当の意味でお互いの聲を聞いたり伝えたりできるのはすごく幸せな事だと思わせてくれる素敵な映画です。

千年女優


出典: (C) 千年女優
2001年【87分】

映像製作会社社長・立花源也は、かつて一世を風靡した大女優・藤原千代子の半生を振り返るドキュメンタリー制作を依頼された。千代子の大ファンだった立花は若いカメラマンを引き連れ、30年前に人気絶頂の中、忽然と姿を消し、以来公の場に現われなかった千代子の屋敷へ向かった。ようやく姿を現した千代子は、歳は老いても昔の清純な印象を残していた。そして、戸惑いながらも自らの人生を語り始めた。それは、女優になる前、女学生の頃に恋した名も知らぬ男性を、生涯をかけて追い求める壮大なラブ・ストーリーだった。


引退した往年の名女優から語られる彼女の人生をかけた恋のお話。今敏監督作品らしく、現実と虚構の境目が曖昧になる構成がふんだんに使われています。アニメーションながら現実的、それでいて非現実的な夢を見ているような世界観。凄く独特で引き込まれます。

東京ゴッドファーザーズ


出典: (C) 東京ゴッドファーザーズ
2003年【90分】

東京・新宿。元競輪選手のギンちゃん、元ドラッグ・クイーンのハナちゃん、家出少女のミユキのホームレス3人は、町の片隅で威勢よく生きていた。そんな彼らはクリスマスの夜、ゴミ置き場の中からひとりの赤ん坊を見つける。ギンちゃんは、すぐに警察に届けるべきだと主張するが、ずっと赤ん坊を欲しがっていたハナちゃんは、勝手に“清子”と命名して大はしゃぎ。結局、ハナちゃんに押し切られる形で3人は自分たちで清子の親探しをすることに。手掛かりはスナックの名刺と数枚の写真だけ。それでも3人は希望を抱いて奔走するのだが…。


続けて今敏さん作品のご紹介。ホームレスの三人組が拾った赤ん坊を本当の親に返しにいくお話。絵に描いたような奇跡の連続なのに全くあざとくないし、ホームレスの話なのに泥臭さが全くないという素敵なアニメ。ちょっとノスタルジーな雰囲気も、偶然が重なるストーリーも見ていてとても心地よく、笑いも涙もとまりません!面白いですよ。

パプリカ


出典: (C) パプリカ
2006年【90分】

夢に入り込んで患者の治療を行う装置“DCミニ”が盗まれ、精神医療総合研究所に勤める若きサイコ・セラピストの千葉敦子は、“DCミニ”開発者の時田とともに島所長の元へと集まる。しかし、所長の島が突然、意味不明な内容の演説をとうとうと語り出す。“DCミニ”を盗んだ者たちによる夢の侵略が現実のものとなり始め……。


こちらも今敏さん。映像やデザインは本当に美しいのに、気持ちの悪い感覚のギリギリのアニメ。題材が夢なのでなかなかカオスで、さらに色々な夢をごちゃまぜにするからさらに混沌とした世界観が面白い!狂ってしまいそうになる音楽とストーリーが絶対病みつきになりますよ。今敏監督は間違いないですね。

サマーウォーズ


出典: (C) サマーウォーズ
2009年【114分】

天才的な数学力を持ちながらも内気な性格の小磯健二は、あこがれの先輩・夏希に頼まれ、長野にある彼女の田舎へ。そこで二人を待っていたのは、大勢の夏希の親せきたちだった。しかも、健二は夏希から「婚約者のふりをして」と頼まれ、親せきの面々に圧倒されながらも大役を務めることに……。


今以上に世の中にネットが浸透した世界で起こる事件に立ち向かう大家族と少年のお話。家族のチート感と田舎感と仮想世界のかっこよさ!なんと言ってもおばあちゃんかっこよ過ぎ。深刻に考えず軽い感じの緊張感で見られる夏の定番作品です。

おおかみこどもの雨と雪


出典: (C) おおかみこどもの雨と雪
2012年【117分】

19歳の大学生花は、あるときおおかみおとこと運命的な恋に落ち、やがて雪と雨という姉弟が誕生する。彼らは、人間とおおかみの両方の血を引くおおかみこどもとしてこの世に生まれたのだが、そのことは誰にも知られてはならなかった。人目を忍びながらも家族四人で仲良く都会の一角で暮らしていたが、ある日、一家を不幸が襲い……。

こちらも細田監督作品、ナレーションで物語を進めつつ、大事なところは行間を読ませます。淡々と描かれて行く母の恋愛から子供達の誕生と成長、新生活での奮闘が綺麗な音楽に乗せて描かれたとても素敵な映画。辛い場面も多いのですが、前向きな余韻の残る作品です。

蛍火の杜へ


出典: (C) 蛍火の杜へ
2011年【44分】

夏休みを利用し、祖父の家に来ていた蛍は、妖怪たちが住むという“山神の森”で迷子になってしまい、どうしようもなくなり泣き出してしまう。そんな蛍の前にキツネの面をかぶった少年ギンが現われ、ギンに助けられた蛍は毎年夏になるとギンのところに行くようになる。2人は惹(ひ)かれ合っていくが、ギンは人でも妖怪でもなく触れようとすると消えてしまう奇妙な存在で……。


『夏目友人帳』の作者、緑川ゆきさんの原作。田舎で女の子が不思議な青年と出会い、毎年の夏に会って成長していく45分と短めの作品。どこか物寂しい儚い世界観がとても良かったです。触れたいけど触れられない儚い恋を静かに優しく描いたおすすめの良作。むちゃくちゃ泣けます。

ももへの手紙


出典: (C) ももへの手紙
2012年【120分】

父親を亡くしたももは、11歳の夏に母と2人で東京から瀬戸内の小さな島へとやって来る。彼女の手には、「ももへ」とだけ書かれた父からの書きかけの手紙が遺(のこ)されていたが、その真意はついにわからずじまいだった。ももは仲直りできないまま逝ってしまった父親のことで胸がいっぱいで、慣れない場所での新しい生活になかなかなじめずにいた。


幅広い世代で安心して見られる王道な感じのストーリー。父と喧嘩したまま死別した少女が、広島の離島にきて妖怪と出会うお話。基本の流れはどことなくトトロっぽいのですが、ユーモラスなやりとりや、少し生意気だけどピュアなももの人間味が感じられて面白い!最後は家族への愛にやっぱり泣かされます。

サカサマのパテマ


出典: (C) サカサマのパテマ
2013年【99分】

果てしなく坑道が続く地下世界に暮らす、地下集落のお姫様・パテマ。天真らんまんで好奇心旺盛なパテマのお気に入りは、立ち入り禁止となっている「危険区域」を探険することだった。世話役のジィの心配をよそに、いつものように危険区域へ飛び出したパテマだったが、予想だにしなかった出来事に遭遇してしまい……。


設定が素敵、そしてラストが衝撃!逆さまの世界から突如やってきた少女のお話。世界観がとても魅力的で『空に落ちる』というのがすごくキャッチー、高所恐怖症の私には手に汗握るシーンがあって怖かった映画です。気になるのは、パテマがわがまま過ぎるところですかね。

傷物語I 鉄血篇


出典: (C) 傷物語
2016年【64分】

終業式が行われた3月25日。高校2年生の阿良々木暦は、同級生で成績優秀な羽川翼から、吸血鬼が町にいるという話を聞く。その夜、暦は地下鉄のホームで、手足がなく血まみれの姿で、助けを求める女を発見。その女は、羽川が言ったように金髪で美しく、冷たい目をしており……。


劇場三部作の第一作目、新房監督節がこれでもかと詰まった作品で化物語シリーズの原点、阿良々木暦と吸血鬼の邂逅のお話です。作画の本気度がすごくて、内容も次作を期待させるものですが少しグロいです。60分程度なのでサクッと見れますよ。

夜明け告げるルーのうた


出典: (C) 夜明け告げるルーのうた
2017年【113分】

両親が離婚して東京から寂れた港町・日無町に越してきた中学生の少年カイは、父親と祖父の三人で暮らしている。両親に対する複雑な思いを胸に日々を過ごす彼にとって、自ら作曲した音楽をインターネットにアップロードすることが唯一の楽しみだった。そんな中、人魚の少女ルーと出会い交流を深めていくうちに、カイは少しずつ周囲に心を開いていくが……。


転校してきた心を閉ざした男子高校生がルーという女の子に出会って変わっていくというお話。映像の熱量と疾走感、音とリンクしてる楽しさなど、アニメーションの魅力が満載の作品です。湯浅監督のポップな色彩感覚は登場キャラクターたちの不思議な雰囲気にとてもよくあっていて素敵でした。


時をかける少女


出典: (C) 時をかける少女
2006年【100分】

高校2年生の紺野真琴は、自転車事故をきっかけに、時間を跳躍する能力を持ってしまう。その能力のことを叔母の芳山和子に相談すると、それは“タイムリープ”といい、記憶の確かな過去に飛べる能力だという。半信半疑の真琴だが、日常の些細(ささい)な不満やストレス解消などのため、むやみやたらに能力を乱用しだし……。


切なくて甘酸っぱい文句なしの傑作アニメ。最初は、テストやカラオケなどくだらないことにタイムリープを使っていた真琴ですが、それを繰り返して色々な事が起こるに連れてタイムリープが何のためにあるのかを理解していきます。そして、ここぞと言う時に使う瞬間、画面に釘付け、大号泣です!夢中で駆け抜ける主人公と自分の高校時代を重ね合わせてしまい青春時代が愛おしくなる映画です。

心が叫びたがっているんだ


出典: (C) 心が叫びたがっているんだ
2015年【119分】

活発な少女だったものの、ある事を話したことで家族がバラバラになった上に、玉子の妖精にしゃべることを封印された成瀬順。そのトラウマが心に突き刺さり、隠れるようにして生きていく。ある日、通っている高校の地域ふれあい交流会の実行委員会のメンバーになり、さらにそこで上演されるミュージカルの主役を務めることに。困惑する順だったが、メンバーの坂上拓実、田崎大樹、仁藤菜月と行動を共にするうち、自分の中の変化に気付きだす。


幼い頃の何気ない言葉が両親の離婚を招いて喋れなくなってしまった少女が、ひたすらに明るく誠実で前向きな仲間たちとの関係を通して自らを肯定してゆく物語。前半のファンタジーを交えた表現が秀逸で、すんなりと入り込めます。そして最後は意外なハッピーエンド。扱っているテーマは重たいはずなのにとても綺麗な青春映画です。

劇場版 響け!ユーフォニアム


出典: (C) 劇場版 響け!ユーフォニアム
2016年【103分】

高校1年生の黄前久美子は、クラスメートの加藤葉月と川島緑輝と一緒に吹奏楽部をのぞいてみることに。そこで久美子は同じ中学の吹奏楽部だった高坂麗奈を見掛ける。葉月と緑輝は早速吹奏楽部に入ろうと決意するも、入部をためらう久美子の脳裏には、中学の吹奏楽コンクールでの麗奈とのある出来事があった。


アニメ一期の総集編ですが構成が上手くて全く遜色のない一つの完成品。意外とマイナーな楽器ユーフォ二アムがタイトルの青春部活アニメです。演奏シーンもいいですし、青春ものにあまりない部活のドロドロした所も見ごたえがありました。映像から伝わってくる言葉に出来ない感情の表現が素敵な作品です。

イヴの時間 劇場版


出典: (C) イヴの時間
2010年【106分】

子どものころからアンドロイドを人間視することなく、便利な道具として利用してきた高校生のリクオは、ある日、自家用アンドロイド、サミィの行動ログに不審な文字列が刻まれていることに気づく。親友のマサキと共にログを頼りに喫茶店、イヴの時間を訪れたリクオは、人間とアンドロイドを区別しない店のルールに驚く。


アンドロイドが人間とほぼ見分けが付かなくなっている未来…近未来SFなのに、日常を繊細に描写しているところがとても心地よく、かなり引き込まれる映画。存亡を懸けた闘いのようなシナリオになりがちですが、イヴの時間ではどのように共存していけば良いのかをテーマにゆっくりと暖かく描かれています。人間とロボットの違いってなんだろうと考えさせられるとても良い作品ですよ。

ハル


出典: (C) ハル
2013年【60分】

最愛の人、ハルを飛行機事故で失ったくるみ。ケンカしたままハルが帰らぬ人となり、くるみは生きる力をなくしていた。ヒト型ロボットのQ01(キューイチ)は、彼女のためにハルにそっくりのロボハルとなり、くるみと一緒に住むことにする。ロボハルが頼りにできるのは、かつて、くるみが願い事を書いたルービックキューブだった。


人間とロボットの純粋な愛をアニメーションで描くラブストーリー。絵はストロボエッジやアオハライドの作者である咲坂さんが描いてるから凄く綺麗、最愛の人を亡くした彼女が再び笑顔になれるようにと願うヒト型ロボットが、心を通わせていく様子を描いた作品です。60分と短編なので個人的に展開が早すぎるのがちょっと残念。

BLAME!


出典: (C) BLAME!
2017年【105分】

ネット文明が極度に発達した世界。巨大な階層都市は増殖し続け、人類は防衛システム“セーフガード”に駆除・抹殺される存在になっていた。“電基漁師”の村人たちを救うべく、食糧を求めて旅に出た少女・づるだったが監視塔に見つかり、仲間を殺されてしまう。逃げる手段を失い追い込まれたづるの前に現れたのは、探索者の霧亥だった。


人間の言うことをきかなくなった機械が、無限に都市を作り続けている未来。機械に支配されたディストピアの中で人間が生きるために足掻く物語。ストーリーはシンプルなのですが、世界観が緻密でしっかりとした作品。原作は20年以上も前に描かれたものだということに驚きます。無限に続く都市の描写は圧巻の一言。

楽園追放


出典: (C) 楽園追放
2014年【104分】

西暦2400年。ナノハザードによって地球は荒れ果ててしまい、人類のほとんどが知能だけを電脳世界に残して生活するようになっていた。そんな電脳世界の住人にして捜査官であるアンジェラは、圧倒的戦闘脳力を誇るスーツ「アーハン」を装着し初めて地上世界に降り立つ。地上世界の調査員ディンゴと一緒に旅をする中、さまざまな人物と対峙(たいじ)し、戦いを強いられていくことになる。


SFアニメ好きに是非オススメしたいキャラクター3DCGアニメ映画。人口の9割以上が宇宙空間の電脳世界で暮らすようになった世界のお話で、登場人物が少なくて話も理解しやすく、後味もすっきりとしています。特にアクションシーンは驚くほど見応えがあって、映像の凄さが際立ちます。

人狼


出典: (C) 人狼
1999年【98分】

敗戦から十数年。占領軍統治下の混迷を抜け、国際社会への復帰をめざし高度経済成長を続けるもう一つの〈日本〉。しかしスラム化した首都での凶悪犯罪が激増。武装する反政府勢力により首都圏治安警察機構・通称〈首都警〉との武力衝突が相次いだ。治安の番人として強化服と重火器で完全武装する、“ケルベロス”というその精鋭集団は、ゲリラを徹底的に排除してゆくのだったが……。


彩度の低い世界が印象的。1960年代あたりの、パラレルワールドの日本が舞台、童話「赤ずきん」をモチーフとした、武装化した赤軍的な市民ゲリラとそれを鎮圧する特機隊にまつわるお話です。少し単調な感じはしますし視た後に気分は落ち込んでしまいますが、最高到達地点とも言われるセルアニメーション技術やノスタルジックな世界観はとても美しかったです。

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊


出典: (C) 攻殻機動隊
1995年【80分】

西暦2029年。企業のネットが星を覆い、電子が駆けめぐる近未来。公安9課の草薙素子を隊長とする、通称“攻殻機動隊”のメンバーに、国際手配中の天才ハッカー・人形使いが捕らえられたという報が入る。完全にサイボーグ化し、電脳を有する人形使い。ネットの海から生まれた彼は、自らを生命体と主張し、亡命を提言する・・・。


押井守監督によるSFアニメの金字塔、色々な映画に影響を与えた名作。身体を極限まで機械化した主人公は悩んでいました。果たして自分は人間なのか?実はとうの昔に死んでるんじゃないだろうか?というストーリー。正直半分も理解できていませんが、20年以上前の映画なのにかなり作り込まれた世界観、重量感のある内容で絵の迫力もあって圧倒的です。

ジョバンニの島


出典: (C) ジョバンニの島
2014年【102分】

父・辰夫、祖父・源三と一緒に、北方四島の一つである色丹島に暮らしている10歳の淳平と7歳の寛太の兄弟。1945年に太平洋戦争が終わり、日本がポツダム宣言を受諾することに。その直後、ソ連軍が、択捉島、国後島、歯舞群島、色丹島に上陸して進駐し、淳平と寛太が通う学校にも兵士がなだれ込んでくる。やがて、二人はロシア人少女と心を通わせるようになるが……。


北方領土問題をテーマに描かれたアニメ映画ですが決して誰かを、ロシアを悪者にしないストーリーが素敵。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフに、当たり前が当たり前でなかった時代、そこで生きた人々の苦悩や我慢ほんの少しの幸せが描かれています。どこか蛍の墓を思い出すストーリー、本編で泣いてスタッフロールで笑いました。スタッフ豪華すぎ!

この世界の片隅に


出典: (C) この世界の片隅に
2016年【129分】

1944年広島。18歳のすずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。


戦争の悲惨さを描きながらもどこなくあたたかくなるような作品。戦争アニメといえば、火垂るの墓が有名ですが、当時の本当の生活、日常を描いたという点では、間違いなくこちらが優れていると思います。あくまで、あの時代に生きた人々の日常を丁寧に優しく描いています。いつまでも余韻が残り、深く考えさせられるおすすめの名作です。

千と千尋の神隠し


出典: (C) 千と千尋の神隠し
2001年【140分】

両親と共に引越し先の新しい家へ向かう10歳の少女、千尋。しかし彼女はこれから始まる新しい生活に大きな不安を感じていた。やがて千尋たちの乗る車はいつの間にか“不思議の町”へと迷い込んでしまう。その奇妙な町の珍しさにつられ、どんどん足を踏み入れていく両親。が、彼らは“不思議の町”の掟を破ったために豚にされてしまい……。


千と千尋の神隠しはジブリの中でも1番見てるかもしれない作品。細かな仕草や台詞、世界観まで作りこまれていて、秀逸なストーリーと相まって心温まる作品に仕上がっています。いつ見ても何回見てもその時その時で初めて観たかのような新しい発見が必ずあるまさに名作中の名作ですよね!

ルパン三世 カリオストロの城


出典: (C) カリオストロの城
1979年【100分】

ニセ札の噂が絶えないこの国へやって来たルパンは、悪漢に追われるひとりの少女クラリスを助けるが、彼女は再び連れ去られてしまう。実はカリオストロ公国・大公家のひとり娘であったクラリスは、強引に結婚を迫るカリオストロ伯爵によって城に幽閉されていたのだ。ルパンは既に城内に忍び込んでいた不二子の手引きで城に潜入するのだが…。


締めは金曜ロードショーでやってるとぜったいみちゃうやつ、誰もが知ってるルパンを一躍有名にしたのはこの映画じゃないでしょうか?アニメーションが細かくて宮崎駿さんの天才っぷりを深く痛感させられる作品です。景色も構図もカリオストロという架空の国の風俗もとてもとても素敵です。いつまでも愛され続ける名作!!


あとがき

間違いなく面白い!おすすめのアニメ映画を新作、名作の中から厳選してご紹介してきました。どの作品も絶対に満足できる素敵な映画ばかりですので気になる作品が見つかれば是非一度鑑賞してみて下さいね。

どんでん返し!衝撃がクセになるおすすめの叙述トリックミステリ 10選!


今回は、騙された時の衝撃がやみつきになる、おすすめの『叙述トリックミステリ』をご紹介していきたいと思います。

叙述トリックとは

叙述トリックとは文章中の仕掛けで読者を騙すトリックの事。私達読者の先入観を利用して、異なった解釈を与えることで、最後の最後で衝撃を与えてくれるテクニックです。所謂"どんでん返し"この衝撃が凄くクセになるんです。有名どころでは綾辻行人さんの『十角館の殺人』や殊能将之さんの『ハサミ男 』、島田荘司さんの『占星術殺人事件』などはよく耳にする作品だと思います。


それから『こちらで紹介している作品は叙述トリックを使っています』と言っている時点で、ある意味ネタバレとも言えそうですが、その上で尚、騙されてしまう本当に面白い良作ばかりですので心配いりません!気になる作品があれば是非参考にしてみて下さい。

おすすめの面白すぎる叙述トリックミステリ小説

表記はタイトル、筆者、あらすじ、書評の順になっています。本当に素敵で面白い作品ばかり!それではおすすめの叙述トリックミステリ小説で思い切り騙されて下さい!

異人たちの館/折原 一

8歳で児童文学賞を受賞し天才少年と呼ばれた小松原淳は、なぜ富士の樹海に消えたのか?母親の依頼で淳の伝記を書くことになった作家志望の島崎は、膨大な資料を読み、関係者に取材して淳の人生に迫るが、やがて不気味な“異人”の影が彼の周辺に出没するようになり…。( 文春文庫 より引用)


24年前に発表された作品ですが、今読んでも全然古びていません。一人の人間の伝記を書くために取材をしていく、というこれだけ聞くと地味なのに、先の読めない展開にぐいぐいと引き込まれる作品。限られた登場人物だけで、ここまで先が気になって読み進められる小説は中々ないと思います。


そして、私自身この作品を読んでいる間に『え~!』と何度叫んだことか…。どんでん返しが何度もあるので、600頁強もある長編ですが全く飽きることはありませんでした。多くの実在する事件をもとに様々な事件が描かれ、これでもかってぐらい読者を騙し、攻めて攻めて攻めまくる手法はさすがとしか言いようがありません。著者自らが自信を持ってオススメしてくれている良作です!

ボランティアバスで行こう!/友井 羊

東北で大地震が発生した。多くの支援活動が行われる中、大学生の和磨は、バスをチャーターして援助活動に参加する「ボランティアバス」を主催することに。行方不明になった父親の痕跡を探す姉弟に出会う女子高校生の紗月。あることから逃亡するため、無理やりバスに乗り込んだ陣内などさまざまな人がそれぞれの思惑を抱えてバスに乗り合わせるが。驚きのラストが感動に変わる!(宝島社文庫より引用)


気持ちは持っていても、なかなか1歩が踏み出せない災害復興ボランティア。東日本大震災で被害を受けた集落の復興支援を行う『ボランティアバス』に乗った人達がそれぞれの視点から語る優しいミステリーの連作短編集。ボランティアに参加する方、受ける方の思いが静かにスーッと心に入ってくる1冊です。


人が人を助ける理由を主軸に、多面的にボランティア活動を描き、魅力的な登場人物をつくり、そこにミステリとしての楽しさを盛り込んだ素敵な作品。そして、読み終えた時の大どんでん返しは驚き!最終章での驚きと感動は本当に気持ちいいですよ!!

贖罪の奏鳴曲/中山 七里

弁護士・御子柴礼司は、ある晩、記者の死体を遺棄した。死体を調べた警察は、御子柴に辿りつき事情を聴く。だが、彼には死亡推定時刻は法廷にいたという「鉄壁のアリバイ」があった―。(講談社文庫より引用)


御子柴弁護士シリーズの1作目。過去に世間を震撼させた事件を犯した少年が、弁護士となったお話。御子柴弁護士は、依頼人から高額報酬を受け取る一方で、カネにならない国選弁護人も引き受けます。


物語は、御子柴弁護士が死体を遺棄する場面から始まります。悪徳弁護士かと思いきや、法廷で検事や証人を追い詰めじわじわと真相を暴いていく様がかっこいい!過去は過去で、暗いモノを背負ってはいますが、贖罪の人生を歩んでる御子柴。誰もが見逃しがちな真犯人に気づき、どんでん返しで暴いてくれます。

アルバトロスは羽ばたかない/七河 迦南

児童養護施設・七海学園に勤めて三年目の保育士・北沢春菜は、多忙な仕事に追われながらも、学園の日常に起きる不可思議な事件の解明に励んでいる。そんな慌ただしい日々に、学園の少年少女が通う高校の文化祭の日に起きた、校舎屋上からの転落事件が影を落とす。警察の見解通り、これは単なる「不慮の事故」なのか?だが、この件に先立つ春から晩秋にかけて春菜が奔走した、学園の子どもたちに関わる四つの事件に、意外な真相に繋がる重要な手掛かりが隠されていた。 (東京創元社より引用)


七海学園の子どもたちが通う高校で起こった転落事故を描いた『冬の章』を軸に、春から秋までの章が挿入される形をとった連作短篇集。本作は、単体でも充分おもしろいのですが『七つの海を照らす星』の続編となっていますので、できれば順番に続けて読むと面白ろさがグッと増します。


児童養護施設で起きる日常の謎を解明しながら働く保育士の春菜。ある日、学園の子が通う高校で、屋上からの転落事故が起きます…何度も何度も騙されながら謎解きを繰り返して、最後に驚愕。終盤に明かされる転落事故の真相は、衝撃を通り越して読者に痛みを伴います。噂に違わぬ傑作ですのでミステリーファンなら絶対に読んでおきたいおすすめの一冊です。

武家屋敷の殺人/小島 正樹

探偵役は、若き弁護士とリバーカヤック仲間のフリーター。孤児院育ちの美女が生家探しを弁護士に依頼に来て、手がかりは捨てられたときに残された日記くらいだと言う。具体的な地名はいっさい出てこない代わりに、20年前の殺人と蘇るミイラの謎が書かれた日記をもとに調べ当てると、思わぬ新たな殺人が起こる。最後のどんでん返しまで、目が離せないジェットコースター新感覚ミステリー。(講談社ノベルスより引用)


孤児院育ちの女性が、自分の生家を探してほしいと弁護士の川路の元に訪れます。手掛かりは捨てられた当時、赤ん坊の自分と一緒に置いてあった叔父の日記。ただその日記には普通では考えられない奇妙なことが綴られていて…魅力的な謎が次々とだされ、それが解かれたらまた違う謎が…という愛に溢れた作品。


出だしからものすごく引き込まれますし、トリックも満載!テンポも良くて面白いのですが、一つの話の中にちょっと盛り込み過ぎな感はあります。そんな謎の数々を、最後に全てまとめて解決するのではなく、何度もどんでん返しを踏まえて解決していく展開がお見事な一冊。

Another(アナザー)/綾辻 行人

夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい何が起きているのか!?いまだかつてない恐怖と謎が読者を魅了する。(角川文庫より引用)


主人公が転校した先のクラスに漂う、奇妙な違和感。『いないもの』とされる謎めいた同級生のメイと、同級生たちと周辺の人々に起こる不幸…。呪い?最後の章でようやく関係者のみに語り継がれてきた三年三組の秘密が知らされます…。この負の連鎖を止める事は出来るのか?転校生である主人公の視点で語られるお話。


とにかく不気味で、違和感だらけなのに何が起こっているのかが分からない…。全体的にジメジメとしたホラー作品で本格ミステリーではないのですが、そこはさすが新本格物の名人!ホラーの中にも伏線の張り方から叙述トリックまでしっかりと健在。アニメ版もおすすめです!

殺人鬼フジコの衝動/真梨 幸子

一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして新たな人生を歩み始めた十一歳の少女。だが彼女の人生はいつしか狂い始めた。「人生は、薔薇色のお菓子のよう」。呟きながら、またひとり彼女は殺す。何がいたいけな少女を伝説の殺人鬼にしてしまったのか?精緻に織り上げられた謎のタペストリ。最後の一行を読んだ時、あなたは著者が仕掛けたたくらみに戦慄し、その哀しみに慟哭する…。(徳間文庫より引用)


フジコもお母さんも怖い、でも一番コワイのは……もうびっくり。イヤミスの中でも代表的な作品でイヤミスの名に違わず全編に渡り救いがない物語。貧困や虐待の連鎖、学校でのいじめ、フジコが感じる劣等感がすごくリアルに描かれていて読んでいてとてもつらい。


両親と妹を何者かに殺された主人公フジコ。小学生から成人になるまでに幾たびと沸き起こる殺人の衝動。どこまでも続く残虐な負のスパイラル…。物凄く辛い内容とは裏腹に、文章は凄く読みやすくてアッという間に惹き込まれてしまいますよ。そして、後書きで鳥肌!

真梨幸子さんのおすすめ作品10選


儚い羊たちの祝宴/米澤 穂信

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。(新潮文庫より引用)


夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル『バベルの会』。格式高く異様な家柄での事件を怪談話のように書き上げた連作短編集です。こちらの作品、どの短編にも最後の一言に背筋が凍るような恐怖が隠されています。


独特な少し古典調な語りで恐さを誘うミステリー調ホラー。内容はかなりダークですが、登場人物はみんな浮世離れしているので気が重くなるようなことはありません。清らかな文章の中に潜む残酷な真実…痺れます。5つの短編集なんですが、どの話が一番と決めきれないほど良作揃い!個人的には『玉野五十鈴の誉れ』のオチが秀逸だと思いました。

米澤穂信さんのおすすめ作品10選


チェーン・ポイズン/本多 孝好

誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?1年頑張ったご褒美を差し上げます」それは決して悪い取り引きではないように思われた―。新境地を開いた驚愕のミステリー。(講談社文庫より引用)

自殺志願の30代OLの前に「本当に死ぬ気なら一年待ちませんか?」と命の取引がもたらされます。一年後に訪れる眠るような死を希望にして日々を生きる女性と、不可解な共通点のある三人の服毒自殺者の謎を追う雑誌記者。


最後の一文がたまらなくいい!死へと近づいていくので全体は重苦しく鬱々した雰囲気ですが、設定が重苦しい分、爽やかな読後感が味わえます。このギャップがとても印象的な作品。叙述ミステリーがメインではなく『生きること』をテーマにした一冊としても素敵な作品。

名前探しの放課後/辻村 深月

依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ一つの記憶。いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」二人はその「誰か」を探し始める。(講談社文庫より引用)


突然3ヶ月前にタイムリープした依田いつか。 元の記憶を辿るとその間に同級生の自殺があった事実を思い出すのですが、肝心な名前や特徴の記憶だけが欠落していて自殺者の特定ができません。 自殺を阻止するため同級生あすな達と共に容疑者を探し始めます…。 一人の男子のタイムスリップから始まり、一人の生徒の自殺をチームで阻止するという設定。それぞれの場面で各自が熱く青春をしていて、心に響くものがある作品。


いろんな展開を想像しながら読みましたが、ラストは予想の上の上をいってました。タイムスリップの謎まできちんと回収されますよ!そして、あの物語と繋がりがあったり、あの人があの物語のあの人だったり…これぞ辻村ワールド!この作品が気になった方は、読む前に是非『ぼくのメジャースプーン』を読んでおいて下さいね。

辻村 深月さんのおすすめ作品6選


あとがき

どんでん返し!衝撃がクセになる叙述トリックミステリ小説をご紹介してきました。どれも本当に面白くて気持ちよく騙される良作ばかり!読後感も最高の作品ばかりです。いろんな展開を想像しながらお楽しみ下さいね。気になる作品が見つかれば是非一度手に取ってみて下さいね。最後まで読んで頂いてありがとうございました!

おすすめのミステリー小説 50選!


おすすめのSFミステリー10選!壮大で不思議な世界で謎解きを楽しもう!


壮大な世界観を描くSF(サイエンスフィクション)小説とミステリーの融合した『SFミステリー』ワクワクしない訳がありません!


今回は、そんなSFミステリーの中でもおすすめの作品をご紹介していきたいと思います。本当に面白い作品ばかりです!思い切りワクワク・ドキドキしながらお楽しみ下さいね。

おすすめのSFミステリー小説

表記はタイトル、筆者、書評、あらすじの順になっています。本当に素敵な作品ばかり!それではおすすめのSFミステリー小説の壮大で不思議な世界観を堪能してくださいね!

死なない生徒殺人事件/野崎 まど

この学院には永遠の命を持った生徒がいる、そんな噂が受け継がれている女子校に赴任してきた若手教師が、噂の真相に迫っていくお話。


死なない生徒、不死がテーマのSFミステリーです。なんですが、あらすじを見て頂ければわかる通り早速死んじゃいます…最初の掴みからとてもうまい!


序盤で提示される不死の謎に興味を惹かれて、そこからは読みやすい文体と魅力的な登場人物で最後まで一気に持っていかれます。文章の微妙な違和感が後に効いてきたり、とてもよくできた謎解きだと思います。おすすめですよ!

「永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」生物教師・伊藤が着任した女子校「私立藤凰学院」にはそんな噂があった。話半分に聞いていた伊藤だったが、後日学校にて、ある女生徒から声をかけられる。自分がその「死なない生徒」だと言ってはばからない彼女だったが、程なく彼女は何者かの手によって殺害されてしまう―。果たして「不死」の意味とは?そして犯人の目的は!?第16回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞者・野崎まどが放つ、独創的ミステリ。 (メディアワークス文庫より引用)


800年後に会いにいく/河合 莞爾

タイムマシンではなく意外な方法で800年後の彼女に会いに行く。何の取り柄もない旅人君の人生が、街でアルバイトのチラシをもらった時から大転換!


クリスマスイブに出会ったメイは800年後に住んでいます。そしてスズランが無いと人類が滅んでしまうとネットで800年前の旅人に訴えるのですが…といった感じで、もうつかみはバッチリ、ちょっと照れちゃうくらいのストレートないいお話。最後もすっきりほっこりでとても良い結末のSFミステリー。

「西暦2826年にいる、あたしを助けて」。彼女の「真実」を知った時、あなたはきっと涙する。 かつてない、恋愛SFミステリー誕生! クリスマスイブの夜、残業をしていた飛田旅人のPCに突然、謎の少女からメッセージが届く。「このままでは死んでしまう。あたしにスズランを届けて」。再生された動画ファイルの作成日付は、2826年12月24日とあった。メイと名乗るその少女は何者なのか。そしてなぜスズランが必要なのか。「メイに会いたい。でもどうやって?」。思い悩む旅人に、上司で天才技術者の菜野マリアが、800年後の未来に行くための〝あっと驚く、思いもよらない方法〟を提案する――。〝彼女〟の真実を知った時、あなたはきっと涙する。いまだかつてない、恋愛SFミステリー誕生!(幻冬社より引用)


失われた過去と未来の犯罪/小林 泰三

全人類が記憶障害に陥り、10分ほどしか記憶を保てなくなった世界。人々は長期記憶の保持を外部メモリ装置に頼るようになります。うん、壮大なSFですね。


メモリを他の人に挿したらそれは誰なのでしょうか?人間の魂がどこにあるの?記憶が同じだったら生き返ったことになるの?記憶がなくなったらその人は死んだことになるの?色々と考えさせられます。全編とても面白くて興味深い作品です。

女子高生の結城梨乃は、自分の記憶が10分ともたないことに気が付いた。いち早く状況を理解した梨乃は急いでSNSに書き込む―「全ての人間が記憶障害に陥っています。あなたが、人類が生き残るために、以下のことを行ってください」。それから幾年。人類は失った長期記憶を補うため、身体に挿し込む「外部記憶装置」に頼り、生活するようになった。『アリス殺し』の鬼才が贈るブラックSFミステリ、ここに開幕。(KADOKAWAより引用)


人間の顔は食べづらい/白井 智之

自分のクローンは食べてもいいという食人法が制定された世界が舞台…この作者さんの作品は、基本気持ち悪いんですが、ミステリー小説としてすごくきちんとしています。


和志は、違法に自宅の地下でクローンを育てていました。食べる為に…ある日、和志は顧客の元に生首を送りつけた疑いをかけられます。しかしそれは、和志を奈落の底に落とす為の序章に過ぎませんでした…。


あまりにもぶっ飛んだ世界観に翻弄されるばかりで、そこそこ簡単なトリックにも全く気が付きませんでした。怒涛の展開とインパクトが抜群な一冊。

世界的に流行した新型ウイルスは食物連鎖で多様な生物に感染し、爆発的な数の死者をもたらした。ヒトにのみ有効な抗ウイルス薬を開発した人類は、安全な食料の確保のため、人間のクローンを食用に飼育するようになる。食用クローン人間の飼育施設で働く和志は、自宅で自らのクローンを違法に育てていた。ある日、首なしで出荷されたはずのクローン人間の商品ケースから、生首が発見される事件が発生する。和志は事件の容疑者とされるが、それは壮大な悪夢のはじまりに過ぎなかった。(角川文庫より引用)


百年法/山田 宗樹

不老不死の技術のある世界で、社会の成長が止まり、その打開策として『百年法』が施行されます。手術を受けてから100年後に死ななければならない法律…100年後、強制死に対する不安が社会、政治、国家を変えていきます。


SF小説という体裁ですが、設定はすごくリアルで理解しやすく、100年生きられるとしたらどんなメリットやデメリットがあるのかなども細かく書かれていてとても面白いです。登場人物が多いので頑張って下巻まで一気に読み終わらせましょう!

原爆が6発落とされた日本。敗戦の絶望の中、国はアメリカ発の不老技術“HAVI”を導入した。すがりつくように“永遠の若さ”を得た日本国民。しかし、世代交代を促すため、不老処置を受けた者は100年後に死ななければならないという法律“生存制限法”も併せて成立していた。そして、西暦2048年。実際には訪れることはないと思っていた100年目の“死の強制”が、いよいよ間近に迫っていた。経済衰退、少子高齢化、格差社会…国難を迎えるこの国に捧げる、衝撃の問題作。 (KADOKAWAより引用)


ナゼアライブ/川口 愉快

2020年、世界中で爆発的に増加した理由なき自殺は止まるのか?人は何故生きるのかを問う一作。文体はライトですが、主題はすごく重い…読み進めるほど息苦しくなるような展開ですが、最後に壮大なスケールで突きぬけ爽快。


SFとしてだけでなく、主人公とその仲間たちが織り成す青春群像劇としてもかなり楽しめるのですが、不意打ちのように『自殺』という冷や水をあびせられ、一瞬にして現実に引き戻される手法はさすが!

「おれ、死ぬわ」――理由なき自殺が、地球規模で爆発的に増えていく。幼稚園児までが自殺し、百人以上が集団死する異常事態。行方不明の父を持つ記憶障害者・日那多雄と悪友たちは、そんな生と死の狭間で青春を迎える。キミはナゼ生きる? そしてナゼ自殺する? この大量自殺は、いつか止まるのか…。SFホラーと青春群像劇が交錯するファンタジック・ミステリー長編小説! (文芸社より引用)


バイロケーション/法条 遥

買物の折りに贋札使用疑惑で逮捕された忍。直前に自分そっくりの人間が同じ番号の札を使っていた?姿、形は同じでも自分ではない自分が存在するバイロケーション。忍は愛する夫との生活を守るため、同士が集うバイロケーションをなんとかする『会』に参加するのですが…。


自分の現在の服装や持ち物、感情、記憶など全て同じのもう一人の自分が神出鬼没…なかなか真実が明かされず、モヤモヤとしますが、ページをめくる手が止まらない文章力!ゾクゾクする怖さと結末の悲しさで読後感は最悪ですが最高に面白い一冊です。

画家を志す忍は、ある日スーパーで偽札の使用を疑われる。10分前に「自分」が同じ番号のお札を使い、買物をしたというのだ。混乱する忍は、現れた警察官・加納に連行されてしまう。だが、連れられた場所には「自分」と同じ容姿・同じ行動をとる奇怪な存在に苦悩する人々が集っていた。彼らはその存在を「バイロケーション」と呼んでいた…。ドッペルゲンガーとは異なる新たな二重存在を提示した、新感覚ホラーワールド。第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。(角川ホラー文庫より引用)


ダレカガナカニイル…/井上 夢人

突然、誰かの意識が自分の中に住み着いてしまったら?警備会社に勤める主人公が突然の左遷で『解放の家』と呼ばれる怪しげな宗教組織の警備をする仕事に就くところから物語は始まります。突然頭の中から自分の事が誰だか解らない声が聴こえるようになるのですが…。


結構な厚さですがスラスラと読めて長さを感じません。『声』の正体が一体誰なのか…最後までわからないのですが、とにかくアッと驚くラストです。宗教の記載がかなりありますので気にする方は注意して下さいね。

警備員の西岡は、新興宗教団体を過激な反対運動から護る仕事に就いた。だが着任当夜、監視カメラの目の前で道場が出火、教祖が死を遂げる。それ以来、彼の頭で他人の声がしはじめた。“ここはどこ?あなたはだれ?”と訴える声の正体は何なのか?ミステリー、SF、恋愛小説、すべてを融合した奇跡的傑作。(講談社文庫より引用)


オルファクトグラム/井上 夢人

頭を強打された青年、匂いが色や形に識別される能力が身につきその犬にも勝る嗅覚で連続殺人犯を追い詰めます。これは、設定が斬新ですごく面白い!


匂いが色やイメージとなって目に映る様は、読者は文から想像するわけですが、これが綺麗でとても素敵犯人との駆け引きなど文章にスピード感もあってハラハラ系のミステリー小説が好きな人におすすめです!

手がかりは、犯人が現場に残したかすかな匂い。イヌの嗅覚をもつ片桐稔は、異次元の世界に少しずつ適応しながら犯人に迫るが…。手口が似た連続怪奇殺人事件が起きるなか、失踪したバンド仲間と犯人に意外な接点が!’01年度の「このミステリーがすごい!」第4位に撰ばれた愛と感動の超大作ミステリー。 (講談社文庫より引用)


女王の百年密室/森 博嗣

2113年、技術はかなり進歩していていかにもSF感の漂う作風。舞台は女王が支配する閉鎖された小世界、そのため時代錯誤な文化や王政、宗教が色濃く残っています…。


そこは100年前に作られて以来世界から孤絶したユートピアとなっていて、女王を中心に争いもなく、犯罪もなく、警察もない一見平和な街。そんな街で起こった殺人事件。犯人を捜す外の世界から来たミチルと、隠そうとする女王や王室の人たち。何を隠し、何を守ろうとしているのでしょうか?かなり面白いです!個人的に森博嗣さん作品トップクラス!

2113年の世界。小型飛行機で見知らぬ土地に不時着したミチルと、同行していたロイディは、森の中で孤絶した城砦都市に辿り着く。それは女王デボウ・スホに統治された、楽園のような小世界だった。しかし、祝祭の夜に起きた殺人事件をきっかけに、完璧なはずの都市に隠された秘密とミチルの過去は呼応しあい、やがて―。神の意志と人間の尊厳の相克を描く、森ミステリィの新境地。(新潮文庫より引用)


クラインの壷/岡嶋 二人

発表されたのは平成元年、まだVRなど夢物語の時代に、今のVR技術を更に発展させた技術を見越して見事なSFミステリーが描かれています。


しがない学生がゲーム構成を制作してコンクールに応募するも落選。しかしある会社から買い取りたいというオファーを受け、200万を受け取ります。一年半後会社からゲームテストの為来て欲しいとなりテストをするのですが…。著者の岡嶋さんは読み手の足場を崩してしまうのが本当に得意だと思います。最後、ハッピーエンドと思わせつつも怖っっ!

ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。現実が歪み虚構が交錯する恐怖。 (講談社文庫より引用)


あとがき

おすすめのSFミステリー小説をご紹介してきました。どれも壮大な世界で思い切り謎解きを楽しめる作品ばかり思います!気になる作品が見つかれば是非一度手に取ってみて下さいね。最後まで読んで頂いてありがとうございました!

おすすめのミステリー小説 50選!